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本編
3 糖度3 (あまり甘くありません)
しおりを挟む私は学院に向かう馬車の中で記憶とゲーム情報を確認した。
主人公が転校してくるのは、秋のダンスパーティーの数日前だったはずだ。
それで、学生筆頭でもあるディラン様が学院に慣れていない彼女をエスコートすることになるのだ。
確かそれに不満な私は主人公にダンスバトルを申し込む。
ゲームでは主人公は学院入学前に、バロメーター上げのパートがある。そこである程度ダンスのバロメーターを上げておかないと、入学早々のこのダンスバトルで、私に破れていきなりゲームオーバーになってしまうのだ。私も何度かセーブデータをリロードしたり、最初からやり直したりしたのを思い出した。
ヒーローを落とすはかなり簡単だが、ライバル令嬢に勝つには大変なゲームだったのだ。
このゲームのそういう恋愛と関係ない所が凝りまくっているところもゲーマー魂に火をつけてまたいいのだが……。
ということで、私の今の目標はダンスバトルだ。
ライバル令嬢のダンスがお粗末では、最愛のディラン様が究極ラブのご褒美ルートに入れないかもしれない。それはだめだ!!
学院に着くと、私はすぐにディラン様の元に向かった。ゲームではキャメロンはディラン様のことを『ディラン王子殿下』と呼んでいた。まさか、主人公とくっつく前の2人の時は『ディラン様』と呼んでいたという裏設定を知れたことで私は、少しだけ複雑な思いだった。
ディラン様は主人公が転校して来なければ、ハプニングキスをしなければ、ライバル令嬢と仲良く過ごしていたのかもしれない。
(いけない。いけない。ハイスペック令嬢とくっついた方がディラン様は幸せになるに決まっているわ!!)
私はぐっと手に力を入れて教室へと急いだ。
+++++
(ああ~~今日も美しいし、素敵だわ~~~)
教室に着くと、早速、愛しのディラン様を見つけた。なぜだろう、彼の周りだけ大袈裟ではなく輝いて見えた。
「おはようございます!! ディラン王子殿下」
「ああ、キャメロン!! おはよう、もう身体は大丈夫なのか?」
私があいさつをすると、ディラン様が惜しげもなく笑顔を向けてくれた。
(う……今日もディラン様は眩しい!! 素敵!! これ、課金無しで見てもいいの?? ああ~、有難いけど……心臓が痛い~~!!)
朝からディラン様の笑顔で早くも私の体調に異常が見られていた。
「はい。あの……その……昨日は……ありがとうございました」
昨日のことを思い出すと顔に熱が集まって、ディラン様の顔をまともに見れなくなった。
「あ……キャメロン……そんな顔をしないでくれないか? ここは教室だし……さすがにみんな前で昨日のようなことはできないからな。でも……少しならいいか」
ディラン様の言葉に顔を上げると、ディラン様が私の頬にキスをしてくれた。
教室内が一瞬静まりかえった気がしたが、クラスメイトはみんな目を泳がせながらも私たちから視線を逸らしていた。
「ディラン様?!」
私が思わず王子殿下をつけ忘れてディラン様の名前を呼ぶと、ディラン様は私の手をひいて席に座った。すると私の耳元で小声で呟いた。
「ふふふ、頬にキスくらいならあいさつだ。問題ないよ。それにこの後は、ダンスレッスンだろ? ずっとキャメロンのそばにいるから体調が悪くなったらすぐに言ってくれ。今日はできるだけ近くで支えるようにするつもりだ」
(近い~~~!! ディラン様の低音激甘エロヴォイス……鼓膜に直撃とか!! 殺人的だわ~~)
私はというと、「うんうん」と首を縦に振って頷くことにか出来なかったのだった。
「ふふふ。今日のキャメロンも可愛いな。よかった……いつも怖い顔の君に戻っていなくて」
ディラン様が何か言っていたが、ディラン様の妖艶な笑みを目の前で見てしまって言葉を理解することが出来なかったのだった。
そして私はもう一度気を引き締めた。
これはダンスバトルで私のバロメーターーを上げるためにも気を引き締めて練習する必要がある。
「ディラン王子殿下。(主人公とディラン様の)大切な将来のためにもダンスレッスンしっかりと頑張りますね」
私がディラン様に向かって真剣に宣言すると、ディラン様が急に私を抱きしめた。
「嬉しいよ。君がそんなにも僕たちの将来のことを大切にしてくれてたなんて!! 確かに(君との)ダンスは今後あらゆるところで披露することになるしね!! 頑張ろうね」
「はい」
私は腕の中で飛び出しそうな心臓を押さえながら答えたのだった。
ーーーーーーーーー
※第1回おまけです。
教室の隅では……
男子生徒『あれ? なんか2人の空気甘くない?』
女子生徒『甘いわ!! 確実に!! もしかして昨日、キャメロン様が休まれたのって……』
男子生徒『ああ……なるほど、それで……。ディラン殿下激しそうだしな~』
女子生徒『王子殿下ったら、初めから体力の限界まで……』
男子生徒『体力の限界って……想像しちゃうからやめて!』
女子生徒『ふふふ。執着溺愛系っぽいし、王子殿下のお相手は大変そうよね~』
男子生徒『……執着溺愛系。確かに! お相手そう大変だな……ってやめて! 想像しちゃうから!!』
キャメロンの知らないところで、事実とは全く違う噂が流れていたのだった……。
(ディラン様はご存知です)
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