22 / 95
第二章 霧のかかった未来
21 星祭りの腕輪(3)
しおりを挟むハンスに、腕輪の雰囲気を掴みたいので、一緒に、王都で一番大きな教会である、大聖堂に行こうというと、ハンスは快く同意してくれた。
そして、今、私たちは馬車で大聖堂に向かっていた。
「大聖堂に行くのは久しぶりだな~~」
ハンスの言葉に、私も同意した。
「ふふふ。私も、近所の教会にはよく行くけど、大聖堂に行くのは、去年、星祭りの絵を見に行った以来だわ」
「なかなか、大聖堂には行く機会なんてないしね。あ、でも、シャルが僕と結婚したら、まず、王都の大聖堂で式を上げた後に、ホフマン伯爵領の聖堂で2回式を上げることになると思うよ」
結婚式を2回上げる貴族がいるということは、知っていたが、てっきり、エカテリーナのような侯爵家のような高位貴族の方々だけの習慣だと思っていたので、驚いてしまった。
「正直に言うとね、僕、結婚式を2回しなきゃいけないって聞いて、『面倒くさいな~』って思ってたんだ。でもね、シャルとなら2回上げるのも楽しみなんだ! 2種類のウエディングドレス作ろうね」
「え!! それは、もったいないわ」
「もったいなくないよ!! 今では、シャルのウエディングドレス姿が2回も見れてよかったな~~って思ってるんだよ」
どうしよう。耳が熱いし、顔も熱い。恥ずかしくで俯いていると、ハンスが私の頭に手を置いて、ポンポンと撫でた。
「ふふふ。シャル、顔だけじゃなくて耳まで真っ赤だ~可愛い~~~」
「ハンスったら、もうからかわないで~~」
「ごめん、ごめん。でも、からかったつもりはないんだけどな」
顔の熱が引かずに真っ赤なまま俯いていると、馬車が止まった。しばらくすると、ピエールが馬車の扉を開けてくれた。
「着きましたよ」
「ありがとう。シャル行こう」
ハンスはピエールにお礼を言うと、私の手を取った。
「ええ。ピエール、ありがとう」
私はハンスの手を取って教会に向かったのだった。
☆==☆==
教会に着くと、すぐにその絵は、私たちの目に飛び込んで来た。
厳かで壮大で何度見ても背筋が伸びる。
「ん~前に見た時は、腕輪だけを見たことはなかったけど……白いローブに合わせるのか……それに、陛下の腕輪は、金で、王太子殿下の腕輪は、銀で、王子殿下の腕輪は青だな……」
ハンスは、次々と、絵を見て特徴を言葉にした。
実は、ハンスが乗馬や、剣術が得意なのは、相手の特徴をすぐに掴んでしまうからなのだ。
天才肌なのだろう。
だから、宝石の勉強も本気になれば、きっとすぐに出来るようになると、私もホフマン伯爵も信じてした。
だからこそ、ホフマン伯爵は、ハンスにやる気を出させるために腕輪をデザインするように言ったのだろう。
私は、ハンスの言うことを必死に紙に書いていった。
すると、あっという間に紙が埋まってしまった。
「ハンス、凄いわ」
「そうかな? これくらいはね……?」
今度は、ハンスの顔を耳が赤くなった。照れているのかもしれない。
私は、赤くなったハンスの顔を見ないように絵画を見つめたのだった。
140
あなたにおすすめの小説
【完結】もう誰にも恋なんてしないと誓った
Mimi
恋愛
声を出すこともなく、ふたりを見つめていた。
わたしにとって、恋人と親友だったふたりだ。
今日まで身近だったふたりは。
今日から一番遠いふたりになった。
*****
伯爵家の後継者シンシアは、友人アイリスから交際相手としてお薦めだと、幼馴染みの侯爵令息キャメロンを紹介された。
徐々に親しくなっていくシンシアとキャメロンに婚約の話がまとまり掛ける。
シンシアの誕生日の婚約披露パーティーが近付いた夏休み前のある日、シンシアは急ぐキャメロンを見掛けて彼の後を追い、そして見てしまった。
お互いにただの幼馴染みだと口にしていた恋人と親友の口づけを……
* 無自覚の上から目線
* 幼馴染みという特別感
* 失くしてからの後悔
幼馴染みカップルの当て馬にされてしまった伯爵令嬢、してしまった親友視点のお話です。
中盤は略奪した親友側の視点が続きますが、当て馬令嬢がヒロインです。
本編完結後に、力量不足故の幕間を書き加えており、最終話と重複しています。
ご了承下さいませ。
他サイトにも公開中です
教養が足りない、ですって
たくわん
恋愛
侯爵令嬢エリーゼは、公爵家の長男アレクシスとの婚約披露宴で突然婚約破棄される。理由は「教養が足りず、公爵夫人として恥ずかしい」。社交界の人々の嘲笑の中、エリーゼは静かに会場を去る。
【完結】王妃を廃した、その後は……
かずきりり
恋愛
私にはもう何もない。何もかもなくなってしまった。
地位や名誉……権力でさえ。
否、最初からそんなものを欲していたわけではないのに……。
望んだものは、ただ一つ。
――あの人からの愛。
ただ、それだけだったというのに……。
「ラウラ! お前を廃妃とする!」
国王陛下であるホセに、いきなり告げられた言葉。
隣には妹のパウラ。
お腹には子どもが居ると言う。
何一つ持たず王城から追い出された私は……
静かな海へと身を沈める。
唯一愛したパウラを王妃の座に座らせたホセは……
そしてパウラは……
最期に笑うのは……?
それとも……救いは誰の手にもないのか
***************************
こちらの作品はカクヨムにも掲載しています。
もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません~死に戻った嫌われ令嬢は幸せになりたい~
桜百合
恋愛
旧題:もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません〜死に戻りの人生は別の誰かと〜
★第18回恋愛小説大賞で大賞を受賞しました。応援・投票してくださり、本当にありがとうございました!
10/24にレジーナブックス様より書籍が発売されました。
現在コミカライズも進行中です。
「もしも人生をやり直せるのなら……もう二度と、あなたの妻にはなりたくありません」
コルドー公爵夫妻であるフローラとエドガーは、大恋愛の末に結ばれた相思相愛の二人であった。
しかしナターシャという子爵令嬢が現れた途端にエドガーは彼女を愛人として迎え、フローラの方には見向きもしなくなってしまう。
愛を失った人生を悲観したフローラは、ナターシャに毒を飲ませようとするが、逆に自分が毒を盛られて命を落とすことに。
だが死んだはずのフローラが目を覚ますとそこは実家の侯爵家。
どうやらエドガーと知り合う前に死に戻ったらしい。
もう二度とあのような辛い思いはしたくないフローラは、一度目の人生の失敗を生かしてエドガーとの結婚を避けようとする。
※完結したので感想欄を開けてます(お返事はゆっくりになるかもです…!)
独自の世界観ですので、設定など大目に見ていただけると助かります。
※誤字脱字報告もありがとうございます!
こちらでまとめてのお礼とさせていただきます。
婚約破棄の代償
nanahi
恋愛
「あの子を放って置けないんだ。ごめん。婚約はなかったことにしてほしい」
ある日突然、侯爵令嬢エバンジェリンは婚約者アダムスに一方的に婚約破棄される。破局に追い込んだのは婚約者の幼馴染メアリという平民の儚げな娘だった。
エバンジェリンを差し置いてアダムスとメアリはひと時の幸せに酔うが、婚約破棄の代償は想像以上に大きかった。
陛下を捨てた理由
甘糖むい
恋愛
美しく才能あふれる侯爵令嬢ジェニエルは、幼い頃から王子セオドールの婚約者として約束され、完璧な王妃教育を受けてきた。20歳で結婚した二人だったが、3年経っても子供に恵まれず、彼女には「問題がある」という噂が広がりはじめる始末。
そんな中、セオドールが「オリヴィア」という女性を王宮に連れてきたことで、夫婦の関係は一変し始める。
※改定、追加や修正を予告なくする場合がございます。ご了承ください。
【完結】亡くなった人を愛する貴方を、愛し続ける事はできませんでした
凛蓮月
恋愛
【おかげさまで完全完結致しました。閲覧頂きありがとうございます】
いつか見た、貴方と婚約者の仲睦まじい姿。
婚約者を失い悲しみにくれている貴方と新たに婚約をした私。
貴方は私を愛する事は無いと言ったけれど、私は貴方をお慕いしておりました。
例え貴方が今でも、亡くなった婚約者の女性を愛していても。
私は貴方が生きてさえいれば
それで良いと思っていたのです──。
【早速のホトラン入りありがとうございます!】
※作者の脳内異世界のお話です。
※小説家になろうにも同時掲載しています。
※諸事情により感想欄は閉じています。詳しくは近況ボードをご覧下さい。(追記12/31〜1/2迄受付る事に致しました)
【完結】旦那様、その真実の愛とお幸せに
おのまとぺ
恋愛
「真実の愛を見つけてしまった。申し訳ないが、君とは離縁したい」
結婚三年目の祝いの席で、遅れて現れた夫アントンが放った第一声。レミリアは驚きつつも笑顔を作って夫を見上げる。
「承知いたしました、旦那様。その恋全力で応援します」
「え?」
驚愕するアントンをそのままに、レミリアは宣言通りに片想いのサポートのような真似を始める。呆然とする者、訝しむ者に見守られ、迫りつつある別れの日を二人はどういった形で迎えるのか。
◇真実の愛に目覚めた夫を支える妻の話
◇元サヤではありません
◇全56話完結予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる