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第三章 深まる溝と揺らぐ絆
27 貴族学院入学式(2)
しおりを挟む「シャルロッテがSクラスでよかったわ。お昼は一緒に食べましょうね」
「うん。あ、でも、ハンスと……」
私が口を開くと、エカテリーナが封筒を指差した。
「きっとこれから、説明をされるだろうとは、思うけど、Sクラスは他のクラスと、授業の方式が全く違うのよ。だから、他のクラスの子とは時間が合わなくて、お昼は一緒に食べられないわ。だから、Sクラスは専用の食堂があるのよ」
「そうなの? 知らなかったわ」
「無理もないわ。大丈夫。これから説明してくれるわ」
エカテリーナに案内されて、Sクラスに着いた。
本当にあまり人がいなかった。
「じゃあ、シャルロッテ。お昼にまたくるわ」
「うん!!」
私は、エカテリーナを別れると、窓際の後ろの方の席に座った。
ここからは、手入れされたバラ園のような景色が見える。ハンスとクラスが別れてしまったことは仕方ない。だが、自分は知り合いもいないこの場所で上手くやっていけるだろうかと不安になっていた。
「シャルロッテ?」
「え?」
名前を呼ばれて、顔をあげると、ゲオルグが立っていた。
「ゲオルグ…様?」
名前を呼ぶと、ゲオルグが私の席の前に座った。
「久しぶりだな」
「ええ。本当ね」
ゲオルグに会うは、本当に久しぶりだった。ハンスの応援で、乗馬の大会や、剣術大会に行くと、必ず、ゲオルグも上位に入っているので、ずっと見てはいたが、話をするのは、数年ぶりだった。
「ゲオルグ~~~! 誰、誰、この可愛い子~~♪」
すると、夕日のようなオレンジ色に輝く、髪をした男性がゲオルグの首に腕を巻きつけた。
「痛いぞ、サフィール」
ゲオルグが、眉を寄せて、男性の腕を離しながら言った。
「サフィール王子殿下?! 初めまして、シャルロッテ・ウェーバーと申します」
私があいさつをすると、サフィール王子殿下が、驚いた顔をした。
「うわ……君が、噂のシャルロッテか……こんな可愛い子を隠されたのか……ホフマン伯爵も本気だったんだな……」
サフィール王子殿下が、ゲオルグに同情の目を向けた。
隠された?
本気?
一体なんのことだろう?
私が首を傾けていると、教師が15人程入ってきた。
ちなみに教室に生徒は10人程しかいないので、教師の数の方が多い。
「これから、貴族学院の入学の儀を始める」
どうやら、貴族学院の入学式は各教室で行われるらしい。
「まず、Sクラスに生徒には、代表生徒を2名選出することになっているが、こちらの2名は、すでに成績順で決まっている。ゲオルグ・ランゲ、及び、シャルロッテ・ウェーバー前へ」
「はい」
「はい」
私は、ゲオルグと一緒に前に向かった。
「2人には、今後、この学院の代表生徒として、過ごしてもらう。担当は、クレイルだ。後で2人はクレイルの所にいくように」
「はい」
「はい」
私とゲオルグは頭を下げると席に戻った。それから、この学院での過ごし方を聞いた。
どうやら、Sクラスには、1日に1つの授業があり、じっくりと学びを深めていくスタイルらしい。
だから、お昼に入るタイミングなども、全てが授業の進行によるので、特に決まっていないらしい。
Sクラスの生徒は、特殊な授業形態なので、お互いに他のクラスの邪魔にならないように、校舎も別だし、食堂も別。行きも帰りも別だし、特別教室などの設備も別らしい。
しかも、Sクラスは、食堂が無料で利用できるらしい。
さすがに、お昼はお父様たちが出してくれることになっていたので、無料と聞いて、家の負担が減って有難かった。
さらに、代表生徒には、式典用の制服も無料で用意されるらしい。
式典用の制服が必要なほど、式典に出るのか、不思議だったが、私は話を聞くことにした。
教師の紹介が終わって、説明が終わると、ゲオルグが私を見て微笑んだ。
「まさか、シャルロッテと一緒に、代表生徒になるとはな。よろしくな」
「私の方こそ、よろしくね」
ゲオルグと、こんな自然に話を出来る日が来るなんて思わずに、私は少し驚いたが、また昔のように話を出来ることが嬉しかった。
「代表生徒は、2人は、話があります。私と一緒に来て下さい」
「はい」
「はい」
私は、ゲオルグと一緒に、クレイル先生について行くことにしたのだった。
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