我儘令嬢なんて無理だったので小心者令嬢になったらみんなに甘やかされました。

たぬきち25番

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後日談 エリック編 お兄様、全年齢ですよ?!元兄の愛に溺れそうです!!

9  寝顔を見ながら

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「ん……」

 目が覚めると頭がスッキリとしていた。
 どうやら熱が下がったようだった。

 左手に温かさを感じて視線を移すとエリックの手を握りしめていた。
 そして、私に手を握られたエリックは椅子に座ったまま寝てしまったようだった。

 エリックはとても穏やかな寝顔で眠っていた。
 そんな寝顔を見て私は自分の口の端が自然に上がるのを感じた。

 寝ているエリックは少しだけ幼く見えて昔を思い出させた。
 そう言えば長い間、エリックと一緒にいるがあまりエリックの寝顔を見たことはない。

 結婚式が終わったら寝室を一緒にしてもいいと言われていたことを思い出す。
 結婚式はもうすぐだ。
 そろそろ寝室を一緒にしてもいいかもしれない。
 早く毎日のようにエリックの寝顔をみたいと思ってしまったのだ。

 私は起き上がると、寝ているエリックの顔を覗き込んだ。

 出会った頃のエリックを見て私は『美形』だと思っていたが、今では『色気』と、色んな苦労をしてきた『経験』も顔に滲んできていた。

「本当にカッコイイな~~。はぁ~~全てが好き……」

 私がそう呟くと、頭を抑えられて口を寄せられていた。

「は……ん……」

 突然キスをされて驚いたが、私もそのキスを喜んで受け入れてしまったので、もうどうすることもできない。
 唇と離すと嬉しそうに目を細めるエリックと目が合った。

「起きていたんですね?」

 私が少し恨みがましい目でエリックを見ると、エリックが嬉しそうに笑った。
 
「ベルの熱が下がったので安心して寝てしまったのは本当だ。 
 だが……ベルにああも熱心に口説かれては起きないわけにはいかないだろ?!」

「え? 口説く? え? え?」

 私が混乱しているとエリックが嬉しそうに微笑んだ。

「面と向かってあんなことを言われた大抵の男は口説かれたと思うぞ?」

 エリックが私のおでこのおでこをくっつけながら言った。
 私は「ふふふ」と笑うと、おでこをくっつけたまま囁いた。

「では、エリック、私に口説かれてくれるのですか?」

「当たり前だろ? むしろ……歯止めがきかなくなりそうだ」

 そして再び唇を合わせた。
 お互いの熱を感じて口を離すと、エリックが私の耳に口を寄せた。

「実は明日も休みを貰った」

「え?」

 私が驚くとエリックが壮絶ない色気を振りまきながら私に口を寄せながら呟いた。

「俺を煽った責任。とってもらうぞ?」

 背中に電気が走ったような感覚がして、私の思考はそこで止まってしまった。
 そして気が付くと私は全てをエリックに委ねていたのだった。





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