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後日談 エリック編 お兄様、全年齢ですよ?!元兄の愛に溺れそうです!!
8 ぬくもりはベットの横に
しおりを挟む「うう~~。エリック……ごめんなさい……」
私はベットの中からチラリと顔を覗かせてあやまった。
朝には熱が下がるかとも思ったが、下がらなかったのだ。
以前エリックがお世話になったアベル先生の話によれば、『疲れが出た』のそうだ。
アベル先生の「お2人とも、ご無理をされませんように……」との言葉が胸に刺さった。
私が申し訳なくてエリックの顔を見るとエリックは優しく微笑んだ。
「なぜあやまる? こうして私が横に居られる時に寝込んでくれて私はほっとしている。
休みなら、ずっとそばにいて何かあってもすぐに手を貸せるからな」
そしてエリックは少し冷たい指を私のおでこを何度か撫でた後に頬や耳を撫でた。
私はその手が気持ちよくて、思わずエリックの手に頬を寄せた。
「でも退屈ではありませんか?」
「退屈ではない。むしろ幸せだ」
エリックが嬉しそうに目を細めるので、私はエリックの頬や耳を撫でる手が離れないように手を添えた。
「幸せですか? こんなことが?」
するとエリックが今度は両手で私の耳や髪を撫でながら言った。
「なぁ、ベル……お前がまた、ヴァイオリンと出会っていない頃。
こうして2人で話していた事を覚えているか?」
それはきっと私がこの世界に来たばかりの頃の話だろうか?
確かに毎日毎日、エリックと少し気まずい思いをしながらお茶を飲んでいたことを思い出した。
「ふふふ。貴族の心得などを教えられた時ですね。
覚えてますよ」
するとエリックが目を細めたかと思うを両手で私の頭を抱き込んでおでこにキスをした。
「実は私は最近まであの日々が人生で一番幸せだったと思っていたんだ」
「え?」
あの時のエリックはいつも不機嫌そうに眉を寄せてとてもじゃないが、幸せそうには見えなかった。
むしろ、苦痛だと思っていたような気がする。
「そうは見えませんでしたよ? エリックはいつも楽しくなさそうでした」
するとエリックが「ふっ」と笑うと寝ている私の耳元に唇を寄せてきた。
「ああでもして、自分を押さえなければ、私は身分をはく奪されていたかもしれない」
私は思わず怪訝な顔をしてエリックを見た。
「どういう意味ですか?」
「ああ、同意なくベルに手を出した場合は『廃嫡』これが父と母から出せれた条件だったんだ」
「はいちゃく……? 廃嫡??? えええ??」
「当然だ。ベルはこの国の王女だぞ? そんな相手にもし合意なく手を出せば国際問題だ。
しかも表向きにベルは王太子の婚約者だぞ?
『廃嫡』でもぬるいくらいだ。
まぁ、家族のスキンシップは認められていたからな。
それで我慢したが……」
廃嫡なんて聞いたことはあるが全く現実感のない単語がエリックの口から飛び出して私は慌ててしまった。
「そうだったのですか?」
驚いていると、エリックが困った顔をして私の瞼にキスをした。
「悪い……話過ぎたな。もう少し寝たらいい。ずっとここにいるから」
「約束ですよ?」
私はじっとエリックの顔を見つめた。
「ああ。約束だ」
こうして私は目を閉じたのだった。
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