7年目の本気

NADIA 川上

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第2章 東京編

ピンチを電話に救われる そのⅡ

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 佐渡は和巴を伴ってその客室に入ると、
 そのまま和巴をリビングの真ん中辺りまで
 連れて行き何故か? そこで手を離した。

 立ち尽くす和巴はそのままに、
 カウチソファーに腰かけた佐渡は ――、


『―― さ、服を脱いで、
 ありのままのキミを私だけに見せておくれ』
 
 
 和巴は言われた通り、
 自分の衣服を脱ぎ始める。
  
 その途中で佐渡は『もっとゆっくり』と、
 注文をつけた。
  
 薄手のジャケット・ワンピース・
 シュミーズ、と、脱ぎ進み、
 残るは下着とストッキングとなった時。
  
 ホテルの固定電話のベルが鳴った。
 
 しかし、佐渡は応対に出ようとしない。
  
 傍で聞いてる和巴の方がやきもきしてくる。
  
  
「……あ、あのぉ、佐渡社長」

「さっきも言ったが、
 私の事は宗一郎と呼んで欲しい」

「電話、お出になった方が宜しいかと?」


 和巴がそう言うと、佐渡は”仕方がないか”
 みたいな感じで、渋々電話の応対に出た。
  
  
『なんだ。あぁ、お前か……分かってる。
 母さんの誕生日だ、忘れる訳がなかろう。
 あぁ……あぁ……』
 
 
 その電話の相手は会話の内容から察するに、
 恐らく佐渡の家族だろうと、和巴は思った。
 でも、会話が進んでいくうち佐渡の口調は
 だんだんきついものに変わっていった ――。  

  
『あぁっ?! もう、いい加減にしてくれ。
 帰ると言っただろ。話しがこれだけなら切るが? 
 …… あぁ、じゃ、明日』
 

 受話器を戻した佐渡は和巴に手を差し伸べ、
  
  
『さぁ、こっちにおいで?』


 (もう、不倫は充分……)
  
 和巴は佐渡に手を引かれ、
 彼の胸の中へ抱かれながら、
 そんな行動とは全く反対の言葉を発した。
  
  
「ご家族の所へお帰り下さい」


 対する佐渡は和巴のブラのホックを外し、
 ゆっくりその胸に唇を這わせながら言う。
  
  
「キミまで、唯一の癒やしを私から奪うのか」

「こんなのはただの浮気。癒やしなんかじゃ
 ありません」


 和巴はそう言って、佐渡に身を任せつつも、
 固定電話の受話器を取ってどこかへダイヤルした。
  
  
『―― あ、もしもし、フロントですか? 
 佐渡さんのスウィートの会計をお願いします……
 えぇ、今すぐ』
 
『……』


 ***  ***  ***
 

 佐渡が予約していたスウィートを出た後、
 降りたフロント・ロビーには何故か、
 羽柴がいて ――。
  
  
「―― あっれぇ~~っ、随分と早かったねぇ」

「は? え ―― えっと……
 どうして専務がここに」

「あぁ! 
 あのおっさん、早漏だったのかぁ」

「せん、む……」

「それとも、勃たなかったとか」

「……」     

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