仕事も恋も真剣勝負 ～～ ２４才の賭け

そして、箱根湯本へ

毎日はバラ色でも、そうそういい事ばかりじゃない。

時々しか会わない麻子と沙奈にも

”姉ちゃん最近キレイになったねぇ”
”幸せオーラだだ漏れすぎっ”

”さては、彼氏できたなぁー”

って、バレたくらいだから。

その頃になると、お店のほとんどの従業員は
羽柴さんと私のそうゆう関係に気付いていて。

店長には『咲夜の事だから常軌を逸する事はないと
信じてるけど。お付き合いはアフターと同伴だけに
留めておけよ』って、注意された。
つまり、くれぐれも深入りするなってコトだ。

新入りの癖にあっという間に売上Ｎｏ．１になり。

先輩達が彼からの本指名を得ようと、あの手この手で
羽柴さんに迫っても一向になびく事のなかった彼が、
私を本指名した上に、羽柴さんが仕事の接待でも頻繁に
お店を使ってくれるようになり。
羽柴さんに連れられて来たお客さん達はほぼ８割の確率で
私を本指名してくれた。
そのおかげで随分と同僚のキャバ嬢達からは風当たりが
強くなり、実に陰険な嫌がらせも受け　――


『フンッ。入ったばかりの頃は誰だって１度はＮｏ．１に
なれるもんなの』
『１回や２回、売上がトップになったくらいであんまり
いい気にならないコトね』


なぁんて嫌味も面と向かって言われたけど。

１本につき￥２万円の本指名料はオイシイ。

もち、店長からの忠告も念頭に置き。
それまで以上に勤務・同伴・アフターに精を出し。

いよいよ、待ちに待った温泉旅行の日を迎えた。


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小田急線新宿駅の西口改札前で待ち合わせ。

今日の羽柴さん、仕事じゃないから、
上はダッフルコート、中は暖色のニットでパンツは
濃紺のチノパン、というコーデだった。

スーツの彼もカッコいいけど、こんな風にリラックスした
彼もめっちゃカッコいい！

切符は既に羽柴さんが買ってくれてたらしく、
私達はそのまま改札を抜け、ロマンスカーで一路
目的の地へ　――。