ちょい悪オヤジに恋をした

NADIA 川上

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出逢い ③

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「あ ―― ありがとう、ございました。色々、
 すみません」

「分かりゃあいい」

「でも……何か俺、凄く楽になった」

「ん?」

「ホモ、とか聞いたら、きっと皆んな俺の事、
 嫌いになるんじゃないかって ―― 気持ち悪いって
 病気とかって、軽蔑されるんじゃないかなって
 ずっと思ってたから。でも、手嶌さんは凄く親切で
 嬉しかった」

「……分かんねぇぞー?」

「え?」

「その親切さの裏には雄の下心があったかも?」

「え ――っ、そう、なんですか?」

「ハハハ ―― ったくお前って奴は……とにかく
 少しは警戒心を持て。この世に聖人君子は存在
 しない。今回はたまたま分かり易い親父だったから
 良かったものの、これがプロのコマシだったら、
 拉致られて・散々輪姦(マワ)された挙句・
 沈められたかも知れねぇんだぞ」

「!! 沈められる ――って、殺される事?」

「ちげーよ、このスカタン。男娼小屋に売り飛ばされて
 いいようにコキ使われるって事だ」


 手嶌さんは真剣な眼差しで俺をじっと見据え
 諭すように言ってくれた。

 こんな風に言ってくれた人はこの人が初めて……

 実の兄だって ―― 
 イヤ、あの事はもう忘れよう……。


「それより …… 誰かに何か言われたのか?」

「えっ、何かって……?」

「気持ち悪いだとか、病気だとか、ただ漠然と
 怖がってる割には妙に具体的だ」

「……何か、可怪しいですか?」

「初対面の俺に親切だとか喜ぶのは無防備過ぎる。
 ロクに夜遊びした事もねぇガキがくるにはディープ
 過ぎるんだよ、この街は」


 俺は彼の鋭さに、思わず息を呑んだ。


「おまけにあの金持ち学校のお坊ちゃんがこんな
 夜遅くまでふらふらしてて、何故、親から連絡の
 ひとつもない? お前の親はよほどの放任か?」

「あ ―― それは……」

「どうなんだ」

「ははは……まぁ、ちょっと、ね」

「言いたくねぇならいいけどな、俺は学校の先生でも
 補導員でもねぇから」

「……あ、あの ―― 2丁目にはもう行かない。
 行かなくて良くなった」

「ん、そうなのか」

「うん。でも ―― でも俺、またココに来たい」

「あぁっ?? なんだソレ」

「だって俺……手嶌さんの事、スキ。
 もっと良く知りたいから」


 俺がそう言うと、手嶌さんは飲んでいたコーヒーを
 派手に噴き出した。


「はぁっ?? おま ―― 何、トチ狂ってんだよ?!
 好きもなにも会ったばっかだろ」

「うん。でも、凄く好きだって思ったよ」

「阿呆か。大人をからかうのも大概にしろ。いいか、
 とにかくこんな物騒な街には2度と来るな」

「アハハハ、それって100パー無理だよ。うちの
 学校の事けっこう詳しいみたいだけど、それなら
 判るでしょ? 学校が何処にあるか」


 俺がそうゆうと手嶌さんは”?!”となって
 黙り込んだ。

 俺の通う私立祠堂学院高等部は、
 現在耐震工事中で旧大久保病院の跡地に仮設校舎が
 建てられ、約350名の生徒はその仮設校舎に
 通っている。
 
 因みに ―― 朝夕の登下校時の通学路も、
 自家用車送迎と徒歩通学で西及び南方面から来る
 生徒以外は西武新宿駅横の道を通ってKM新宿ビルと
 新宿オスカーの間の道を使う事と校則でも決められて
 いるが、JR利用だと東口から出てそのまま歌舞伎町
 を突っ切った方が早いので通学路に関する校則違反を
 する生徒は後を絶たない。
 
 

「と、とにかくお前みたいな世間知らずのお坊ちゃんは
 いい子でがっこに行ってりゃあいいんだ」

「もちろん学校には行くから、ココにも来ていい
 でしょ」

「まさかとは思うが……本気か」

「うん、本気。また会って欲しい。ココでだめなら。
 何処へ行けばあなたに会える? 教えてくれたら
 俺、待ってるから」

「ざぁけんな! お前人の話聞いてんのか??
 さっさと帰れ」


 と、荒々しく立ち上がり、そのまま戸口から外へ。

 俺も慌てて後を追う。 
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