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出逢い ④
しおりを挟む連れて来られた時はまだ薄暗い程度だったけど、
あの元診療所だった場所で意外と長居したのか、
手嶌さんを追って外へ出たら、辺りはすっかり
闇に包まれていた。
「―― 待ってよ、手嶌さんっ!
ねぇ、待ってってば」
「うるせぇー、もう、着いてくんな。家まで送ってやる
ほど俺はいい大人じゃねぇからな」
「家くらい1人で帰れるよ」
「あぁそうかい。じゃ、さっさと帰れ」
「手嶌さんの携番とメルアド教えてくれたらね」
手嶌さんは”あぁっ??”と凄みながら
足を止めた。
チャンス!
俺は彼の腕を素早く掴んだ。
「あっ。コラ。離せ」
「携番とメルアドおせーてくれたらね」
「んなもん持ってねぇよ」
「嘘ばっか」
「ガキの恋愛ごっこに付き合ってられるほど
暇じゃねぇんだ」
「ごっこじゃないよ。
俺、本気で会いたいって言ってるでしょ。
本気であなたの事、好きなんだ」
「あのな、お前はちょっと親切にされて舞い上がってる
だけだ。素に戻ればきっと後悔する」
「しない」
「よっぽど惚れっぽいのか? お前は」
「ちがうっ」
「違う事ねぇだろ。さっき会ったばっかで、ほんの
小一時間話しただけの仲だ」
「で、でも、助けてくれて、俺の事理解しようとして
くれて、本気で叱ってくれた。こんなの初めて
だもん」
「そんなのは大人なら誰でもすんだよ。いいか、
もう、つきまとうなよ」
「嫌だ……俺、初めて本気で好きな人が出来たんだ。
本気だから、信じて……絶対、迷惑かけないから」
「そんなこと言って、こんな風にされてんのがもう既に
大迷惑なんだよっ」
「手嶌さん……」
「親御さんも心配してるだろ。さっさと帰れ」
彼はそう言って、自分の腕を握ってる俺の手を
静かに外し、流しのタクシーを拾って、
夜の街へ去って行った。
俺、絶対諦めないもんね。
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