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成長編
戸惑いの中で ―― 茉莉江の思い
しおりを挟む12月の終わり頃。
茉莉江は志望校に推薦枠で無事合格した。
後は卒業を待つばかりだ。
この数ヵ月の間は、ただその日一日を過ごす事に必死だった。
日を増すごとに募る不安を抱え、受験生としての勉強も続けながら、体調の変化を回りの誰にも悟らせないようにいつも通りに振る舞う。
それがあの日、自分の中に新しい生命が宿ったと確認したあの日から考え抜いて決めた事だった。
よくよく考えてみると ――
深大寺虎河に全てを捧げたあの日から、学校で貧血を起こす事も頻繁になって……確かに毎月不順な事はあっても来るべきものが来なくなっていた。
まさかと思いつつも確かめる事が怖くてしばらくは変わらない日常を過ごしていた。
けれどその内に、どんどん食べ物の臭いに敏感になり。
学校の食堂では吐き気まで催し出した。
とうとう自分の身体の変化を無視できず、茉莉江はこっそりと何駅も離れた街の病院で診察して貰い。
自分のお腹に宿った命を確認したのだった。
これからどうするべきなのか。
あれこれ考え出したその中に、不思議と”出産”と言う選択肢は1度も浮かばなかった。
”まさか妊娠?!”と、疑いを持った10月の終わり頃から、全国統一模試やセンター試験用の勉強、学校での勉強でやたらと忙しかった事もあるが、
自分が思った以上に早く秘密がバレてしまって、かえって腹が据わった。
私を自分の跡継ぎにと溺愛するお爺ちゃんはこの事を知って怒り狂っている。
お父さんやお母さん、そして絢音は当然物凄く怒ったけど、後は意外なくらい冷静に対処してくれ。
”私がお腹の子供を出産したいなら、すればいい”と、まで言ってくれた。
せっかく宿った生命を奪ってしまうのは忍びないって。
けれど茉莉江は、中絶すると答えた。
今の感情だけに流され出産するのは容易い事。
でも、出産すれば大なり小なりその子供に対して親としての責任が生じるのだ。
そう考えたら、怖くなった。
今の自分ではとても無理だと思った。
始め診察して貰った新冨士町の結城先生からかかりつけ医の真吾先生へカルテを送信して貰い、中絶手術用の検査をして貰って、手術の執刀日は冬休みに入ってすぐの**日と決まった。
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