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一章私の人生
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しおりを挟む自分の使命は王子と結婚して国を守ると。
物心ついた時から自分は皇妃になるために厳しい教育を受けてきた。
マナー、ダンス何でも一流にならなくてはと努力してきた。
両親に褒めてもらいたい一心だったが、弟のアルベルトが産まれてきてからは私の両親は変わってしまった。
アルベルトに愛情を注ぎ、アルベルトの為なら何でもする勢いだった。
私が褒めてもらいたいと努力しても両親は当たり前だと相手にしてくれなかった。
しかし、アルベルトが少しでも結果を出すと両親は褒めちぎり、ご褒美を与えていた。
なんで?
なんで私を褒めてくれないの?
アルベルトより私の方ができるのに。
メイドと執事達に見守られながら一人で食事を食べる毎日だった。
別の部屋では、アルベルトと両親が楽しそうに食事をしていた。
心の中がぽっかり穴が開いていた。
寂しい。
寂しい。
そんな言葉が私のプライドが邪魔をした。
気を引きたくて、わがままも言って両親を困らせようと必死になっていたが両親は相手にしてくれなかった。
そんな中、私には心の支えと言える存在がいた。
それはメイドのイリーナだった。
イリーナは下町からうちに働きに来てくれた、そばかすと赤毛のおさげが特徴的だった。
不器用だけど、何事にも精一杯なイリーナにはじめは心を開かなかった。
毎年の誕生日は両親がドレスと、宝石が送られてくる。
そんなものよりも、「おめでとう。」が欲しかった。
そんな言葉もなく、パーティーなどで使うものしか与えられなかった。
与えられても、愛情は一切ないものだった。
そんな中、イリーナだけは「お嬢様!10歳のお誕生日おめでとうございます!」
と手作りのケーキを出してくれた。
こんなにお誕生日おめでとうが嬉しかったなんてと。
そこから私は3つ上のイリーナに懐いた。
イリーナは編み物や、刺繍などは全然できないけど、料理や掃除を一生懸命していた。
不器用だけど一生懸命で優しいところが大好きだった。
「イリーナおやつ食べたい!」
「イリーナ寝れないから本読んで!」
両親に言えない事もイリーナの前では素直に甘えられた。
親友として、そして家族として私はイリーナと過ごしていた。
5年後、婚約者のシャルドネとイリーナは私を裏切った。
「イリーナ!私の髪留めどこに置いたのかしら?」とイリーナの部屋へ入ろうとした時に
「あ、そこはダメです。殿下、ディアーネ様が来てしまいます、、、」
「イリーナ、そなたの身体をもっと見せておくれ。あああ、美しい」
とイリーナとシャルドネは裸で絡み合っていた。
え?
なんで?
私は将来、皇妃として努力していた。
沢山、沢山努力して両親には愛情をもらえなかった分、政略結婚でもシャルドネを愛していた。
しばらくしてから
「お嬢様、イリーナです!開けますね!」
と勝手にティーセットを持って入ってきた。
「入らないで!あなたの顔なんて見たくはないわ!馬鹿にしないでよ!」
怒りの限り、私はイリーナにぶつけた。
「お嬢様、申し訳ありません。お嬢様の気持ちを考えない行動をしておりました。」
「わかってて、やってたじゃない!」
許さない、許さない、許さない!
わたしはイリーナに向かって出来立ての紅茶を浴びせた。
「あつつ!あつぃ!」
イリーナはそのまんま部屋を飛び出した。
大好きだったイリーナはもういない。
これからは私の敵。
誰ももう信じない。
イリーナ覚悟しなさい!
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