魔法使いの先生~あの師弟、恋人ってウワサです!~

もにもに子

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第五章~ジェイドの帰郷~

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杯を重ねたせいか、頬が少し熱い。
視界はにぎやかで、騒がしくて、目の前では誰かが大声で笑っていた。

けれど――心のどこかで、ずっと探していた。

 (っていうか、先生どこだ……?)

ジェイドは人混みの中に目を凝らした。
さっきまで、ルイは確かにここにいた。
まるで祝福の中心のように、人々に囲まれていた。
誰もが彼の言葉に耳を傾け、美しさに見惚れていた。

それなのに、今はもうどこにも見えない。

 (いつの間にかいなくなっちゃったな……)

「おい、ジェイド。どうしたんだ?」

隣にいた友人が、酒瓶を片手に肩を叩いてきた。

「いや、先生……さっき人に囲まれていたのは見たんだけど、」

言いかけたところで、背後から間延びした声が飛んできた。

「う~~~~~~~」

ジェイドが振り返ると、そこにはアイリスがいた。
紅潮した顔、ふらつく足取り。
まともに立っていられず、こちらにもたれかかってくる。

「うっ!? ちょ、アイリス!?」
 
思わず彼女の肩を支える。

「っておい、誰だよアイリスにこんなに飲ませたのは!」

「いいじゃねーか、祝いの席だしよ!」

 「アイリスふらっふらだしさ、部屋に連れて行ってやれよ、ジェイド」

無責任な声が飛び交う。
酔いのまわった笑い声が、少し遠くで響いた。

「そのまま一緒に朝までいてもいいんだぜ!」

「いや……あのなあ」

ジェイドは軽く舌打ちしながら、アイリスの腕を自分の肩にまわす。
彼女は反論する気力もなく、ただうつらうつらとしていた。

「とりあえず、アイリスのことは俺が部屋に運んでおくから、おまえら騒ぎすぎるなよ。転ばせたら笑えないぞ」

肩に乗せた彼女の重さを感じながら、ジェイドは歩き出す。
 
けれど足取りは、どこかぎこちなかった。
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