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学園祭名物メイドカフェ④

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「お、おかえりなさいませ……!」
 しかしつむぎは割合、思い切りがいい。働けというなら、やってやれ。やけくそも混ざっていたが、割り切ることにした。
 入ってくるお客さんは「おかえりなさいませ」でお迎えする。
 お客さんが席に着いたら注文を取る。幸い、メニューは少なかった。
 飲み物はコーヒーに紅茶、ジュースだけ。
 食べ物もケーキが数種類。
 すぐに覚えてしまった。
 小さなバインダーに注文を書いて、バックヤードに持っていく。
 それで注文の品物ができたら持っていく。
 それだけだった。自分のクラスの飴屋さんよりはいろいろあるけれど、予想よりは単純な仕事。だからこそ無理やり放り込んできたのかもしれないけれど。
 つむぎのこの格好。お客さんには好評だった。
 「かわいいね!」と女子にも男子にもほめてもらえた。それはつむぎが特別なのではなく、働いているほかのメイドさんも執事さんもそう言われていたので、つむぎはすぐに慣れた。「ありがとうございます」と言っておく。
 その中で、ひとつのグループの男子生徒に言われてしまったことにはちょっと迷った。
「かわいいね! でも三年生の子? 見ない顔だけど……」
 どうも三年生のほかのクラスのひとらしい。グループの男子生徒も「そういや知らない子だな」なんて話しだす。
 どうしよう、二年生だけど手伝わされ……手伝っていると言っていいものか。
 ちょっと迷った間だった。ぽん、とうしろから肩を抱かれた。あたたかいその手は知っているものだったので、つむぎはちょっとどきっとして振り返る。
 そこにはいばら先輩がいた。ぐいっとつむぎの肩を抱いて抱き寄せてくる。
「俺の彼女なんだ。二年なんだが臨時で手伝ってもらってる」
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