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翔の話~果歩の家にて~

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「ちょ、え、しょ、翔さん」

 おろおろ言ったけれど、翔は姿勢も悲痛な声も変えないまま。

「きみの前から勝手に去ったうえに、妊娠させた責任も取らなかったなんて! 本当に……こんなこと……! 俺は……自分を許せないくらいだ……!」

 果歩が想像した通りの理由を翔は述べる。

 噛みしめた奥歯から絞り出しているような声だった。

 果歩の胸が、ずきんと痛む。

 そんなふうに言わないでほしい、と胸に迫ってきた。

 だってこれでは。

「翔さん……そんなふうに、言わないで」

 だから口に出した。

 翔にこのような様子でいてほしくないし、自分を許せないなんて思ってほしいわけでもない。
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