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変わり者の正体

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「そうだが」

 なのに秋木はなにもおかしくない、という返事をする。

 コンソメスープを飲み干した。

「いえ、でもですね」

「そういう店だからと言いたいわけか」

 言いつのろうとしたが、そのあと露骨に言うのはためらわれて、止まってしまった。

 朝する話ではない気がする。

 だが秋木が代わりに言ってくれた。

 俺は小さく返事をする。

「……ハイ」

 俺の疑問は秋木にとってどうかわからないが、一般的に不思議と思われることくらいはわかっているようだ。

 秋木は説明してくれた。

「ベッドで一夜、過ごすんだ。そういう店のスタッフのほうが慣れてるに決まってる。呼んだから必ずセックスしなきゃいけないわけでもないし、それにこれはオプションにもなかった。通常の利用範囲だと思うが」

 俺はどう答えていいかわからなくなった。

 一応の理屈は通っているような気がする。

「……そう、ではありますね」

 そう答えるしかなくて、秋木は「そうだろう」と言うのだった。

 そのあとは数秒の沈黙になった。

 食事も皿の隅に少ししか残っていない。

 でも説明は一応すじが通っていたし、肉体的な苦労はなかったし、美味い朝食まで食わせてもらって、思い返せば、マイナスはまるでなかったのだ。

 それならいいん、だろうか?

 思ったが、そういうことにするしかなさそうだった。
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