上 下
31 / 93
二度目の指名

1

しおりを挟む
「こんばんは。ご指名ありがとうございます」

 俺はその夜、秋木を訪ねてきていた。

 今日は前回より砕けた、男子大学生らしい私服を着て。

 多分かしこまらなくていいのだろう。

「おう……、あとちょっとかかるから、適当に過ごしてろ。あ、風呂は入っとけよ」

 だが出てきた秋木は前回より更にプライベートな姿だった。

 部屋着姿なのは同じだが、髪はぼさぼさ。クマも濃い。

 俺を招き入れて、リビングを指差して、ひとつ釘を刺した。

 その最後のものは『今日も同じだろう』と俺に予想させるのに、十分な台詞だった。

「かしこまりました」

 しかし二度目だ。過度の混乱はない。

 俺はにこっと笑って受け入れた。

 リビングに入る。

 なんとなく知っている場所ではあるが、勝手知ったるというほどでもない。

 先にさっさと風呂っとくか。

 思った俺は、荷物だけ置いて、風呂へ向かった。
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

スピンオフなんて必要ないですけど!?

BL / 連載中 24h.ポイント:1,171pt お気に入り:1,411

愛されベータ

BL / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:98

東京ナイトスパロウ

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:72

ヘタレαにつかまりまして

BL / 連載中 24h.ポイント:120pt お気に入り:1,745

世界は万華鏡でできている

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:30

処理中です...