上 下
36 / 93
二度目の指名

6

しおりを挟む
「ま、そんなわけだからしばらくちょくちょく呼ぶと思う。お前、学生なのか?」

 しかし次に言われたことに、え、と思った。

 ちょくちょく呼ぶというのはいい。むしろ有難い。

 が、何故なのかわからないし、それに学生かどうかを聞かれたのもわからない。

「え、はい。大学生です」

 ひとまず聞かれたことに対する返事をした。

 秋木はなんの感慨もなく頷いた。

「そうか。夜は空いてるのか」

「はい。大体は」

 俺のそれは好都合だったらしい。

「それならいいだろう。原稿を書いてるときはだいぶ疲労する。しっかり眠りたい。よって、抱き枕がいるといい。そういうことだ。理解したか?」

 ついに抱き枕ってはっきり言いやがった。

 内心呆れたけれど、俺の疑問はこれで全部解決した形になるので文句も言えない。

 俺はただ頷くしかなかった。

「はい……、plantsのほうで予約取れる状態なら、俺は大丈夫なんで」

 なんにせよ予約は事務所を通すのだ。

 俺はそんなふうに言い、秋木も単純に返事をした。

「そうか。なるべく空けとけよ」

「そう伝えます」

 そんなソファでの話も数分で終わり、秋木は体を起こして残りのソーダを、今度はさっきよりは大人しく飲んだ。

 すぐに俺を促す。

 よっしょ、と力を込める様子で立ち上がった。

「よし、寝るか」
しおりを挟む
1 / 3

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

スピンオフなんて必要ないですけど!?

BL / 連載中 24h.ポイント:1,171pt お気に入り:1,411

愛されベータ

BL / 完結 24h.ポイント:319pt お気に入り:98

東京ナイトスパロウ

BL / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:72

ヘタレαにつかまりまして

BL / 連載中 24h.ポイント:120pt お気に入り:1,745

世界は万華鏡でできている

BL / 連載中 24h.ポイント:28pt お気に入り:30

処理中です...