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緊急派遣

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「食ったよ。ウェンダーゼリー」

 それでも返事はしてくれた。

 俺の大体予想通りの返事を。

 栄養ゼリー飲料が食事なあたりで、もうダメだ。

 俺は苦笑して答える。

 包みを差し出した。

「そうですか。でもそれじゃ足りないでしょう。……これ」

「は? なんだ、これ」

 秋木は今度、不審だ、という顔になる。

「なんか栄養あるもんを食べないと、寝ても元気が出ません。俺の作ったので良ければ」

 俺のその言葉で『なにか手作り』と伝わっただろう。

 食ってくれるだろうか。

 ひとの手作りは嫌だという人間もいるし、それなら無理に押し付けないが、それでも食べてくれるなら、持ってきたほうがいいと思ったのだ。

「はぁ……変なやつだな。なんだ、これ」

 秋木は奇妙だという顔をして、それでもランチクロスをほどいていった。

 中からは、アルミホイルに包んだおにぎりが二つ出てくる。
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