人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい

一作の小説

3

　二本目は一本目と少し違っていた。

　社会人の男女だ。

　男のほうはフリーで働くイラストレーター、女のほうはOL。

　二人は恋人同士。

　まぁ普通の設定だな、と思った。

　しかし内容は爽やかだった一本目とは、違っていた。

　少々重ためである。

　女のほうが病気を患ってしまうのだ。

　精神の病気だ。

　ただ、男はそれに気付かない。

　そして最終的に二人は別れに至ってしまう。

　短編なのでそこで終わりだった。

　俺は読み終わって、少し消化不良な思いを感じる。

　一本目は純粋に、ああ、楽しかったなぁ、で終わったのに、この話はなんというか。

　考えさせられるというか。

　読者の解釈に委ねる、ってやつなのかもな。

　俺は思って、三本目に進んで……。

　結局その日で、文庫は読み切ってしまった。