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秋木の事情

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 風呂も寝支度も終えて、ベッドに潜った。

 俺は勿論、買ってもらった部屋着を身に着けて。

 薄手なぶん、もこもこよりも体型がよく見えた。

 自分が女物を着ているのだということをより強く感じられて、脱衣室の鏡で姿を見たとき、なんだかだいぶ落ち込んでしまった。

 なんなんだろう、売りの男の子に女装をさせる趣味があるんだろうか。

 確かにそういう性癖の客に会ったこともあるけれど、そのときは普通の私服だったり、制服とかだったりした。

 これはどちらとも違う。

 意図もわからない。

 俺は首をひねるしかないのだった。

「おやすみなさい」

 俺は抱き枕になる体勢に入って言い、秋木も「ああ」と答えた。

 それでもう寝付くのだろうと思ったのだけど、珍しいことがあった。

 秋木がなかなか寝付かないのである。

 初日ですら数分で寝入っていたというのに。

 疑問に思う。

 疲れていないというのか。

 いや、そんなはずはないだろう。

 今日は仕事ではなかったと言っていたけれど、夕方から出掛けているのだから、まったく疲れていないというわけはない。

 では、何故。
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