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おにぎりは梅干し抜きで

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 それは悪かった。

 美味しいものでも出会い方が悪かったら、悪い印象になることもある。

 そうしてしまったか、と思ったのに、秋木は違うことを言った。

「そうじゃねぇよ。……梅はお前んとこのがいい」

 気まずそうだったが、俺には嬉しいことだ。

「じゃ、今度はうちのを持ってきましょう」

 奇妙な状況ながら、心地良かった。

 秋木がすぐ隣にいることも、セックスの明けだという安心感も。

 別に、愛し合って抱き合ったわけではない。

 むしろ仕事、俺のビジネスだといえるようなシチュエーション。

 だがそれでも良かった。

 結ばれた事実に、なにも違いはないのだから。

 おにぎりをぺろっと三つも平らげて、秋木は満足したらしい。

 ペットボトルを取り上げて、ごくごくっと冷たいお茶を飲んでいる。

 俺も二つを平らげて、三つ目を食べようかと思ったが、まぁいいか、という気になった。
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