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聞いてしまった陰口

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 そんなはずはないのに。

 ここを歩いていけばちゃんと駅に着くのに。


 莉瀬の心は凍りついたようだったけれど、歩いていくうちにその心はゆっくりととけていった。

 とけていくうちに、痛みに変わる。


 バカにされた。

 からかわれた。

 それに、自分のがんばっていることを、否定された。


 あんなの、心の悪い子たちが言うものだってわかってる。

 がんばっているひとのことを笑う子のほうが悪いなんてこと、よく知っている。


 でも、実際に自分が言われれば傷つかないわけがなかった。

 あまりのことに、勝手にぽろぽろ涙が出てきた。

 莉瀬は傷つきながらもそんな自分が嫌になってしまう。
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