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寂しい気持ち

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 ただ、契約だということが頭に浮かんだとき、アマリアはどう思っていいかわからなくなった。

 この結婚も、そばにいることも、ただの契約。

 それなら終わってしまえばアマリアには関係がなくなるといえた。

 きっとすっきりすることのはずだろうに、アマリアの心に浮かんだことは違っていた。

 寂しいと思う。

 なにが寂しいのかはよくわからなかった。

 フレイディのそばにいられなくなることか。

 結婚関係が終わりになることか。

 それとも、もうこうして『心近付けること』が不要になることか……。

 考えているうちに、眠気は本格的になり、アマリアの意識はとろとろ溶けていった。

 眠りの中に落ちていく。

 夢は見なかった。

 良いものも、悪いものも、なにも。

 ただ意識はぐっすりと暗闇に沈み、きっとアマリアの心を整理させて、癒してくれた。
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