婚約破棄された後に神託で聖女に選ばれました。英雄と幸せになります!

佐藤 すみれ

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15.女神様の説明不足

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 昨日は痛恨のミスだった。波ってものを理解してなくてびしょ濡れになってしまった。なによりゼクス様に抱き上げられたのが恥ずかしくて身悶えたくなる。しかし今日はコーラル礼拝堂に向かう日。この旅の目的地に行くわけだ。海の近くの道を馬車で走っていく。

「お嬢様、寒くはございませんか?体調に変わりはありませんか?」

「アニタ、大丈夫よ。なにも変わらないわ」

 びしょ濡れで戻ってきた私にびっくりしたアニタは急いでお風呂や暖かい飲み物を用意してくれた。波をかぶってしまった時は冷たかったが、そのあとはそんなに寒くはなかったので、風邪は引いていないと思う。アニタは心配性なんだ。
 ゼクス様にも朝一番で風邪はひいてないかと聞かれたけど…

「見て!アニタ。コーラル礼拝堂ってアレじゃない?」

 観光地にもなっていると聞いてたけど、賑わっている街を通って海のすぐそばに真っ白な建物があった。まだお昼過ぎたところで太陽が白い建物に反射して眩しい。
 
「エリーゼ様、お疲れ様でした。体調はいかがですか?」

「ゼクス様もお疲れ様でした。体調は大丈夫ですわ」

 コーラル礼拝堂の司祭様が迎えてくれた。エルヴァイン侯爵様が司祭様と何か話している。中に入ると、女神像がすぐに目についた。海を背後に厳かな雰囲気が漂う。そのまま応接室を勧められた。

「エルヴァイン侯爵様、聖女様。遠路はるばるご足労いただきありがとうございます。コーラル礼拝堂の司祭を務めてます、エルドリン・マリスと申します。」

「はじめまして、エリーゼ・フォン・ヴァルデンです」

「うむ。変わりはないか?手紙でも書いたが、女神様からの神託で珊瑚の首飾りが必要になった。どこにある?」

 すぐに本題に入ってしまった。まぁ、神託だからね。そういえばいつまでに、とか期限は設けられてないなぁと他のことを考えてしまう。

「珊瑚の首飾りは礼拝堂の横の別室に飾られております。神託の内容は聞きましたが火山の中に投げ入れてしまうんですか?」

「そうだ。そう聖女様に神託があった」

「この珊瑚の首飾りは海が荒れていた時に身の危険もかえりみず鎮めた乙女がつけていたものです。それを火山に投げるだなんて……」

 珊瑚の首飾りを見たことないけど、由緒正ゆいしょただしい物のようで神託といえども手放したくなさそうな雰囲気がしてる。珊瑚の首飾りを取ってくるだけと思ったけど、これは難航するのかなぁー。

「マリス司教、神託であるし国王陛下からのご命令でもある。珊瑚の首飾りをこちらへ…」

 エルヴァイン侯爵の言葉にも司教様は嫌そうである。

「マリス司教様、私達は珊瑚の首飾りを見たことないのでせめて見たいのですが よろしいですか?」

 こう着状態になりそうだったところをゼクス様が陽気に声をかける。私も便乗して見たいですと言ってみる。

「そうですね。ひとまず、珊瑚の首飾りをお見せします」

 お見せするだけですと言った感じだ。神託なんだけど、司教様なら従わなきゃダメじゃない?それとも何かあるのかしら?全員で礼拝堂の横の別室へ移動する。

「これは見事な首飾りですね」

 ゼクス様が感心したように声を上げる。確かにこれはとても綺麗だ。珊瑚で作られたツヤツヤした球が数珠繋ぎになっていて、少量のダイヤモンドが首飾りのトップの一際大きい珊瑚を飾っている。これは神聖なオーラが放っていそうだわ。

「本当に美しいですね。素敵な首飾りですわ」

 魅入られて手を伸ばす。一番大きい珊瑚の飾りにチョンと触れるとそこから大量の水と光が溢れてきた。私を包み込むような大きな水に驚き息をのむ。他の人達の驚愕きょうがくしている声が遠くに聞こえる。珊瑚の首飾りの光が徐々に消えていくと水はそのまま私の胸元に吸い込まれていった。濡れてない。女神様、これは聞いてないです。なんなんですか?珊瑚の首飾りになんの効果あるのです!?
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