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31.神託は終わってからわかる。
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シスターに案内された礼拝堂は、広くはないが立派な女神像が立っていた。
「ここは火山が近いでしょう。噴火すると教会に避難するんです。教会に集まったら皆でお祈りをするので、女神像は特に立派なものを置いているんですよ」
「ええ、とても立派…私もお祈りをさせてください」
もちろん、喜んで…とシスターは微笑んでくれた。本当に立派な女神像で威厳と慈愛に溢れている。手を組み目を閉じる…カラ~ンカラ~ンと鐘の音が聞こえてきた。私を中心にボォっと炎のような音と光が周りを照らした。
ーーー エリーゼ、よくやりました。水を得た炎のドラゴンはこれでまた長い眠りにつくでしょう。ーーー
思わず目を見開く。やっぱりあの鳴き声はドラゴンだったんだ。ん?ドラゴン眠ったの?神託の内容に思考を巡らせる。
「エリーゼ様。今のは神託ですよね。女神様はなんと?」
ゼクス様に言われ、先ほどの神託を話す。
「珊瑚の首飾りの神託と炎のドラゴンを眠らせる神託は繋がっていたってことか」
「お嬢様が頂上付近でおっしゃっていた、鳴き声があくびのようって本当にあくびたったってことですかね」
「とりあえず、レグルス伯爵のお屋敷に一旦戻ろう」
シスターに別れを告げ、お屋敷へ向かう。日が沈んだ頃に着くとレグルス伯爵が満面の笑顔で出迎えてくれた。
「おかえりなさい。聖女様、お疲れでしょうが、ぜひお話を聞かせてください」
レグルス伯爵。せめて、少しだけでも休ませて!!
「レグルス伯爵、流石に今日は遅い。詳しい話は明日にしてくれ」
「む、…そうですな。早急過ぎました。申し訳ない。今日はゆっくりとおやすみください」
ゼクス様の言葉に従ってくれて良かったわ。火山に登ったのは基本馬車でも少し登ったりしたから疲れてたのよね。
客室に行きホッとする。慣れないことをしてるから緊張した。
「アニタ、あなたも今日は疲れたでしょう。ゆっくり休んで」
「ありがとうございます。ではお嬢様のお髪を整えたらお休みさせていただきます」
ベッドにバタッと倒れる。ここ数日は忙しかったな。普段だったら体験しないこともあったし。
疲れているのに目が冴えて眠れない。
「少し散歩しようかしらね」
お屋敷の庭を散歩する。深夜だけれど月が出ているからか、意外と明るい。アーチをくぐると小規模なラベンダー畑が見えてきた。ふんわりとラベンダーのいい香りがする。
「エリーゼ様、夏といえ夜は冷えます」
花を見てたらいきなり声をかけられる。びっくりして振り返るとゼクス様がいた。
「ははっ、驚かせてしまいましたか。すみません」
「私以外いないと思っていたので…ちょっとびっくりしましたわ」
ゼクス様が近くに来て上着を着てくれる。ラベンダーの香りに混じってゼクス様の匂いがしてドキドキする。
「眠れないんですか?」
「えぇ、疲れてるはずなんですけどね…」
「今回の登山は色々ありましたからね。エリーゼ様には助けられました。いらっしゃらなかったら騎士団の半分はやられていたでしょう」
あの魔物の時は本当に驚愕した。あんなに血の匂いとたくさんの怪我人に…それに頭から血を流すゼクス様に…言葉が詰まる。
「…っ、お、お役に立てて良かったです」
「思い出させてしまって申し訳ありません。もう大丈夫ですよ。エリーゼ様のおかげでこの通り元気になりました」
ゼクス様がはにかみながらそう言ってくれるが、火山での光景が思い出されて、泣きなくないのにポロポロと涙が溢れてくる。ゼクス様が生きていて本当に良かった。
「あっ…あたまから血を流してて…本当にっびっくりしましたのよ…本当に、本当に…ぶ…無事で良かったぁ」
肩にそっと手を置かれてから腕を回され、ぎゅっと抱きしめられる。私もちょっと迷ったけれど彼の背中に手を回した。
「ここは火山が近いでしょう。噴火すると教会に避難するんです。教会に集まったら皆でお祈りをするので、女神像は特に立派なものを置いているんですよ」
「ええ、とても立派…私もお祈りをさせてください」
もちろん、喜んで…とシスターは微笑んでくれた。本当に立派な女神像で威厳と慈愛に溢れている。手を組み目を閉じる…カラ~ンカラ~ンと鐘の音が聞こえてきた。私を中心にボォっと炎のような音と光が周りを照らした。
ーーー エリーゼ、よくやりました。水を得た炎のドラゴンはこれでまた長い眠りにつくでしょう。ーーー
思わず目を見開く。やっぱりあの鳴き声はドラゴンだったんだ。ん?ドラゴン眠ったの?神託の内容に思考を巡らせる。
「エリーゼ様。今のは神託ですよね。女神様はなんと?」
ゼクス様に言われ、先ほどの神託を話す。
「珊瑚の首飾りの神託と炎のドラゴンを眠らせる神託は繋がっていたってことか」
「お嬢様が頂上付近でおっしゃっていた、鳴き声があくびのようって本当にあくびたったってことですかね」
「とりあえず、レグルス伯爵のお屋敷に一旦戻ろう」
シスターに別れを告げ、お屋敷へ向かう。日が沈んだ頃に着くとレグルス伯爵が満面の笑顔で出迎えてくれた。
「おかえりなさい。聖女様、お疲れでしょうが、ぜひお話を聞かせてください」
レグルス伯爵。せめて、少しだけでも休ませて!!
「レグルス伯爵、流石に今日は遅い。詳しい話は明日にしてくれ」
「む、…そうですな。早急過ぎました。申し訳ない。今日はゆっくりとおやすみください」
ゼクス様の言葉に従ってくれて良かったわ。火山に登ったのは基本馬車でも少し登ったりしたから疲れてたのよね。
客室に行きホッとする。慣れないことをしてるから緊張した。
「アニタ、あなたも今日は疲れたでしょう。ゆっくり休んで」
「ありがとうございます。ではお嬢様のお髪を整えたらお休みさせていただきます」
ベッドにバタッと倒れる。ここ数日は忙しかったな。普段だったら体験しないこともあったし。
疲れているのに目が冴えて眠れない。
「少し散歩しようかしらね」
お屋敷の庭を散歩する。深夜だけれど月が出ているからか、意外と明るい。アーチをくぐると小規模なラベンダー畑が見えてきた。ふんわりとラベンダーのいい香りがする。
「エリーゼ様、夏といえ夜は冷えます」
花を見てたらいきなり声をかけられる。びっくりして振り返るとゼクス様がいた。
「ははっ、驚かせてしまいましたか。すみません」
「私以外いないと思っていたので…ちょっとびっくりしましたわ」
ゼクス様が近くに来て上着を着てくれる。ラベンダーの香りに混じってゼクス様の匂いがしてドキドキする。
「眠れないんですか?」
「えぇ、疲れてるはずなんですけどね…」
「今回の登山は色々ありましたからね。エリーゼ様には助けられました。いらっしゃらなかったら騎士団の半分はやられていたでしょう」
あの魔物の時は本当に驚愕した。あんなに血の匂いとたくさんの怪我人に…それに頭から血を流すゼクス様に…言葉が詰まる。
「…っ、お、お役に立てて良かったです」
「思い出させてしまって申し訳ありません。もう大丈夫ですよ。エリーゼ様のおかげでこの通り元気になりました」
ゼクス様がはにかみながらそう言ってくれるが、火山での光景が思い出されて、泣きなくないのにポロポロと涙が溢れてくる。ゼクス様が生きていて本当に良かった。
「あっ…あたまから血を流してて…本当にっびっくりしましたのよ…本当に、本当に…ぶ…無事で良かったぁ」
肩にそっと手を置かれてから腕を回され、ぎゅっと抱きしめられる。私もちょっと迷ったけれど彼の背中に手を回した。
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