婚約破棄された後に神託で聖女に選ばれました。英雄と幸せになります!

佐藤 すみれ

文字の大きさ
42 / 43

42.ダイヤモンドとナイフ

しおりを挟む
 本日は聖女お披露目の日だ。控え室で早口デザイナーによる素晴らしいドレスに身を包み、時間まで待機する。

「緊張するわ……紹介されてるだけで、特にやることないんだけど、注目が集まるのって……緊張するわ」

 何度も、緊張すると言いながら鏡を見たり、ドリンクを飲んだりと忙しない。本当はウロウロしたいけど、ドレスに何かあった困るから何もできない。

「お嬢様、ゼクス様がいらっしゃいました」

「ゼクスが?中に入ってもらって」

 ゼクスが部屋に入ってくる。今日は正装の騎士服ですごくカッコいい。

「エリーゼ、そのドレスとても似合っている。とても綺麗だ」

「……ありがとうございます。ゼクスもとても素敵よ」

「お披露目までまだ時間があるから寄ったんだ。少し話いいかな?」

「ええ、もちろん」

 アニタや数名のメイドに外に出てもらう。

「お話しとは……えっ……」

 ゼクスは近くに来て跪く。小さな箱を取り出してた。中にはダイヤモンドが入っていた。キラキラして綺麗。

「エリーゼ、愛しています。私と結婚して欲しい」

 びっくりして叫ぶかと思った。まだ付き合って日が浅いのにとか婚約もまだなのにとか色々頭をよぎる。驚いてるのに妙に冷静な部分ある。

「……だめ、かな!」

 無言でいるとゼクスが上目遣いでおずおずとこちらをうかがってくる。何それ可愛い。

「喜んで、よろしくお願いしますわ」

「ありがとう。よかった。この指輪をはめさせてくれ」

 ダイヤモンドの指輪をつけてくれる。部屋の明かりに照らされ光っている。

「どうしても聖女のお披露目前に渡したかったんだ。エリーゼの横には私がいるんだと見せつけたかったんだ」

「嬉しいわ…素敵な指輪ありがとう」

「婚約の前に結婚を申し込んでしまったな。お披露目が終わったらすぐに婚約して、結婚しよう」

「ゼクスったらせっかちね」

「エリーゼを他の奴に取られるかもしれないならせっかちにもなるさ」

「私にはあなただけですわ」

 ゼクスと見つめあって自然と唇を重ねた。ほどなくしてドアがノックされ、アニタにお披露目の時間が近づいてきたと知らされる。

「私がエスコートします。エリーゼ、お手をどうぞ」

 ゼクスの手を取り長い廊下を歩く。会場に人が集まっているせいか、この辺はとても静かだった。
 歩いているといきなり部屋のドアが開いてクララ嬢が出てきた。フラフラしているかと思ったが、こちらを見ると素早く駆け寄ってきた。

「?クララ嬢、どうされまし……」

「あなたさえ居なければぁぁぁぁぁぁ!!」

 ナイフを持って突進をしてきた。咄嗟のことで動けず固まっているとゼクスが剣を抜き、ナイフを弾いた。
 そのままクララ嬢を拘束し床に押し付ける。

「衛兵!!!衛兵!!!」

 幸い人が多く居たのですぐに人が集まりクララ嬢は王宮警備隊の人間に渡され縄をかけられた。その最中もクララ嬢は口汚い言葉を喋っていた。クララ嬢とは接点がほぼないのになんで恨まれなきゃならないのよ。

「エリーゼ、ケガはありませんでしたか」

「私は大丈夫。ゼクスが守ってくださいましたから」

 ゼクスはほっと息を吐いた。

「なんでその女だけ上手くいくのよ。ルーファスもゼクスも…私にも分けなさいよ、何が聖女よ。ずるいわよ。」

「ずるいって言われても、そもそも私、貴方の事なんて、ほぼ知らないわよ」

 ルーファスの浮気相手ってことしか知らない。呆れたように言うと、クララ嬢は絶叫して暴れた。逆恨みもいいところだわ。

「あの令嬢に関しては王宮警備隊に任せましょう。本当なら部屋に戻って休んでもらいたいが、お披露目がある。行けますか?」

「はい。問題ありませんわ」

 再びゼクスのエスコートと何人かの警備隊員の一緒に会場のドアの前に準備する。

「思わぬ出来事があったけど、お披露目だがんばってくれ」

 ゼクスが優しく微笑んでくれる。さっきの出来事は忘れてこれからの事を考えなきゃ。緊張するわ。




しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

「異常」と言われて追放された最強聖女、隣国で超チートな癒しの力で溺愛される〜前世は過労死した介護士、今度は幸せになります〜

赤紫
恋愛
 私、リリアナは前世で介護士として過労死した後、異世界で最強の癒しの力を持つ聖女に転生しました。でも完璧すぎる治療魔法を「異常」と恐れられ、婚約者の王太子から「君の力は危険だ」と婚約破棄されて魔獣の森に追放されてしまいます。  絶望の中で瀕死の隣国王子を救ったところ、「君は最高だ!」と初めて私の力を称賛してくれました。新天地では「真の聖女」と呼ばれ、前世の介護経験も活かして疫病を根絶!魔獣との共存も実現して、国民の皆さんから「ありがとう!」の声をたくさんいただきました。  そんな時、私を捨てた元の国で災いが起こり、「戻ってきて」と懇願されたけれど——「私を捨てた国には用はありません」。  今度こそ私は、私を理解してくれる人たちと本当の幸せを掴みます!

【完結】追放された大聖女は黒狼王子の『運命の番』だったようです

星名柚花
恋愛
聖女アンジェリカは平民ながら聖王国の王妃候補に選ばれた。 しかし他の王妃候補の妨害工作に遭い、冤罪で国外追放されてしまう。 契約精霊と共に向かった亜人の国で、過去に自分を助けてくれたシャノンと再会を果たすアンジェリカ。 亜人は人間に迫害されているためアンジェリカを快く思わない者もいたが、アンジェリカは少しずつ彼らの心を開いていく。 たとえ問題が起きても解決します! だって私、四大精霊を従える大聖女なので! 気づけばアンジェリカは亜人たちに愛され始める。 そしてアンジェリカはシャノンの『運命の番』であることが発覚し――?

「醜い」と婚約破棄された銀鱗の令嬢、氷の悪竜辺境伯に嫁いだら、呪いを癒やす聖女として溺愛されました

黒崎隼人
恋愛
「醜い銀の鱗を持つ呪われた女など、王妃にはふさわしくない!」 衆人環視の夜会で、婚約者の王太子にそう罵られ、アナベルは捨てられた。 実家である公爵家からも疎まれ、孤独に生きてきた彼女に下されたのは、「氷の悪竜」と恐れられる辺境伯・レオニールのもとへ嫁げという非情な王命だった。 彼の体に触れた者は黒い呪いに蝕まれ、死に至るという。それは事実上の死刑宣告。 全てを諦め、死に場所を求めて辺境の地へと赴いたアナベルだったが、そこで待っていたのは冷徹な魔王――ではなく、不器用で誠実な、ひとりの青年だった。 さらに、アナベルが忌み嫌っていた「銀の鱗」には、レオニールの呪いを癒やす聖なる力が秘められていて……?

私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?

みおな
ファンタジー
 私の妹は、聖女と呼ばれている。  妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。  聖女は一世代にひとりしか現れない。  だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。 「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」  あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら? それに妹フロラリアはシスコンですわよ?  この国、滅びないとよろしいわね?  

婚約破棄された竜好き令嬢は黒竜様に溺愛される。残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ

水無瀬
ファンタジー
竜が好きで、三度のご飯より竜研究に没頭していた侯爵令嬢の私は、婚約者の王太子から婚約破棄を突きつけられる。 それだけでなく、この国をずっと守護してきた黒竜様を捨てると言うの。 黒竜様のことをずっと研究してきた私も、見せしめとして処刑されてしまうらしいです。 叶うなら、死ぬ前に一度でいいから黒竜様に会ってみたかったな。 ですが、私は知らなかった。 黒竜様はずっと私のそばで、私を見守ってくれていたのだ。 残念ですが、守護竜を捨てたこの国は滅亡するようですよ?

捨てられた聖女、自棄になって誘拐されてみたら、なぜか皇太子に溺愛されています

h.h
恋愛
「偽物の聖女であるお前に用はない!」婚約者である王子は、隣に新しい聖女だという女を侍らせてリゼットを睨みつけた。呆然として何も言えず、着の身着のまま放り出されたリゼットは、その夜、謎の男に誘拐される。 自棄なって自ら誘拐犯の青年についていくことを決めたリゼットだったが。連れて行かれたのは、隣国の帝国だった。 しかもなぜか誘拐犯はやけに慕われていて、そのまま皇帝の元へ連れて行かれ━━? 「おかえりなさいませ、皇太子殿下」 「は? 皇太子? 誰が?」 「俺と婚約してほしいんだが」 「はい?」 なぜか皇太子に溺愛されることなったリゼットの運命は……。

【完結】聖女になり損なった刺繍令嬢は逃亡先で幸福を知る。

みやこ嬢
恋愛
「ルーナ嬢、神聖なる聖女選定の場で不正を働くとは何事だ!」 魔法国アルケイミアでは魔力の多い貴族令嬢の中から聖女を選出し、王子の妃とするという古くからの習わしがある。 ところが、最終試験まで残ったクレモント侯爵家令嬢ルーナは不正を疑われて聖女候補から外されてしまう。聖女になり損なった失意のルーナは義兄から襲われたり高齢宰相の後妻に差し出されそうになるが、身を守るために侍女ティカと共に逃げ出した。 あてのない旅に出たルーナは、身を寄せた隣国シュベルトの街で運命的な出会いをする。 【2024年3月16日完結、全58話】

処理中です...