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43.祝福の鐘の下で、あなたしか見えない
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聖女お披露目の会場ドア前で深呼吸する。
「エリーゼ・フォン・ヴァルデン聖女並びにゼクス・フォン・ヴァルトハイム大公子息のご入場です」
中に入ると一斉に注目を浴びた。狼狽えそうになったけれど、今は素敵な服を着てるし、ゼクスも隣にいる。うつむきそうになるのをグッと堪えて背筋を伸ばす。
私たちが入ってきた後、王太子殿下とヘレネ様が、最後に両陛下が入られた。
「皆の者、神託によりヴァルデン侯爵令嬢が聖女に選ばれた」
陛下に名前を呼ばれたので会場の人たちに一礼する。キレイなカーテシーになってますように。
「また、神託により炎のドラゴンも再び眠りにつかせることが出来た。この国はしばらく安泰だろう」
陛下が宣言するとワァッと歓声が上がり拍手が起こった。これで顔見せにはなったので、ここから歓談の場となった。いろんな人に挨拶をしなきゃ行けないので気は抜けない。
「エリーゼ様、ラグナ・ファルナ火山への任務、ご苦労様でした。大変だったでしょう」
王太子殿下とヘレネ様が声をかけてくれる。ヘレネ様はなんだな晴れやかな顔をしている。気のせいだろうか?
「えぇ、驚きの連続でしたが、無事に戻って来れて良かったです」
「それに、ゼクス殿とお付き合いを始めたんですって、本当に良かったわ」
「ありがとうございます」
様々な人に話しかけられる。話の内容としては神託のことや火山やドラゴンのことを聞いてくる人が多いが、次に多かったのはうちの息子を婚約者にどうですかと言うものだった。
「申し訳ありません、もう心に決めた人がおりますので」
と言いながらゼクスを見て微笑めば大抵の人は諦めてくれた。
「聖女様、貴方様の元婚約者、領地に戻ったらしいですね。病気療養ですって」
「まぁ、そうなんですね、知らなかったですわ」
ルーファス、領地に行ったのね。これで簡単には会わなくなるから良かったのかしら。なんて考えていたらルーファスの父親であるフェルザイム公爵に声をかけられた。
「聖女様、愚息が色々とご迷惑をおかけしました。しばらくは療養として領地に戻しましたのでご安心ください」
なんだか貼り付けたような笑顔で言われたが、この前の舞踏会の事はルーファスがやったことで家として不本意だった……としたいようだ。
その事はさっき聞いたので知ってます。なんて言えないので無難に返答を返す。
せっかくのお披露目なのに、なんだか嫌な話題ばっかりだわ。げんなりしていたら、友人のカミラ様が声をかけてくれた。
「エリーゼ様。この度は炎のドラゴンを眠りにつかせてくださってありがとうございました」
ちょっとおどけたように言われて、笑ってしまった。
「いいえ、女神様のおかげですわ。……カミラ様、貴方も来ていらっしゃったのね、声をかけてくれて嬉しいわ」
「みんなエリーゼ様とお話したいみたいで人が沢山いたわね。わたくしは友人特権でパッと来てしまいましたわ」
くすくす笑い合うとさっきまでの沈んだ気持ちが浮上してくる。持つべきものは友達だわ。
音楽が鳴り始め、王太子殿下とヘレネ様のダンスが始まった。息のあった二人のダンスは見惚れてしまうほど美しい。私もいつかゼクスとあんな風に踊りたいわ。
「エリーゼ、私と踊ってください」
王太子殿下とヘレネ様のダンスが終わったら皆がダンスを始める。あちこちで男性から女性を誘いダンスホールへと出てきている。
「もちろん…よろしくお願いしますわ」
ゼクスの手を取ると、私達もダンスホールへと向かった。よし、優雅に踊るぞ!!
一曲踊った後他の方にも誘われたけれど…全部ゼクスが断ってしまった。
何曲も一緒に踊るのは婚約者か配偶者だけなので、これだけでも私達がどういう関係なのかわかる人にはわかるんだろうな。
「すみません。今日は……今日だけは他の人と踊って欲しくないんです」
「構いませんわ。私もゼクスと沢山踊れて嬉しいですもの」
曲の合間に休憩して水分補給をしてると秘書官の人がやってきてゼクスに話しかける。
「ゼクス様、そろそろ……」
小声で聞こえにくい。なんだろうとゼクスの顔を見つめる。
「エリーゼ、今から陛下のところへ行こう」
「わかりました、何かあったのですか?」
「いや、これから宣言して貰おうと思ってね」
陛下のところは行くとヴァルトハイム大公とお父様がいた。お父様はちょっと困ったように笑っている。
「皆の者よ、聞け。英雄ゼクス・フォン・ヴァルトハイムと聖女エリーゼ・フォン・ヴァルデンが婚約した。この二人の結び付きはこの国に繁栄と光をもたらすだろう。祝福をしよう」
会場全体に拍手が響き渡る。陛下の発言にびっくりする。宣言って婚約についてなの?ゼクスを見るといたずらっ子のように笑っていた。
「ここでエリーゼは私の婚約者だと言ってしまえば、もう安心だろう」
「もうっ、びっくりするから先に教えてくださいよ」
「怒らないでくれ、誰にも取られたくないんだ……」
「ゼクスもよそ見してはいやですよ」
「もちろん。君しか見えないさ」
ゼクスが私を見つめてからキスをしてくれた。歓声が起こり遠くてカラーンカラーンと鐘の音が聞こえた。
ー 完 ー
「エリーゼ・フォン・ヴァルデン聖女並びにゼクス・フォン・ヴァルトハイム大公子息のご入場です」
中に入ると一斉に注目を浴びた。狼狽えそうになったけれど、今は素敵な服を着てるし、ゼクスも隣にいる。うつむきそうになるのをグッと堪えて背筋を伸ばす。
私たちが入ってきた後、王太子殿下とヘレネ様が、最後に両陛下が入られた。
「皆の者、神託によりヴァルデン侯爵令嬢が聖女に選ばれた」
陛下に名前を呼ばれたので会場の人たちに一礼する。キレイなカーテシーになってますように。
「また、神託により炎のドラゴンも再び眠りにつかせることが出来た。この国はしばらく安泰だろう」
陛下が宣言するとワァッと歓声が上がり拍手が起こった。これで顔見せにはなったので、ここから歓談の場となった。いろんな人に挨拶をしなきゃ行けないので気は抜けない。
「エリーゼ様、ラグナ・ファルナ火山への任務、ご苦労様でした。大変だったでしょう」
王太子殿下とヘレネ様が声をかけてくれる。ヘレネ様はなんだな晴れやかな顔をしている。気のせいだろうか?
「えぇ、驚きの連続でしたが、無事に戻って来れて良かったです」
「それに、ゼクス殿とお付き合いを始めたんですって、本当に良かったわ」
「ありがとうございます」
様々な人に話しかけられる。話の内容としては神託のことや火山やドラゴンのことを聞いてくる人が多いが、次に多かったのはうちの息子を婚約者にどうですかと言うものだった。
「申し訳ありません、もう心に決めた人がおりますので」
と言いながらゼクスを見て微笑めば大抵の人は諦めてくれた。
「聖女様、貴方様の元婚約者、領地に戻ったらしいですね。病気療養ですって」
「まぁ、そうなんですね、知らなかったですわ」
ルーファス、領地に行ったのね。これで簡単には会わなくなるから良かったのかしら。なんて考えていたらルーファスの父親であるフェルザイム公爵に声をかけられた。
「聖女様、愚息が色々とご迷惑をおかけしました。しばらくは療養として領地に戻しましたのでご安心ください」
なんだか貼り付けたような笑顔で言われたが、この前の舞踏会の事はルーファスがやったことで家として不本意だった……としたいようだ。
その事はさっき聞いたので知ってます。なんて言えないので無難に返答を返す。
せっかくのお披露目なのに、なんだか嫌な話題ばっかりだわ。げんなりしていたら、友人のカミラ様が声をかけてくれた。
「エリーゼ様。この度は炎のドラゴンを眠りにつかせてくださってありがとうございました」
ちょっとおどけたように言われて、笑ってしまった。
「いいえ、女神様のおかげですわ。……カミラ様、貴方も来ていらっしゃったのね、声をかけてくれて嬉しいわ」
「みんなエリーゼ様とお話したいみたいで人が沢山いたわね。わたくしは友人特権でパッと来てしまいましたわ」
くすくす笑い合うとさっきまでの沈んだ気持ちが浮上してくる。持つべきものは友達だわ。
音楽が鳴り始め、王太子殿下とヘレネ様のダンスが始まった。息のあった二人のダンスは見惚れてしまうほど美しい。私もいつかゼクスとあんな風に踊りたいわ。
「エリーゼ、私と踊ってください」
王太子殿下とヘレネ様のダンスが終わったら皆がダンスを始める。あちこちで男性から女性を誘いダンスホールへと出てきている。
「もちろん…よろしくお願いしますわ」
ゼクスの手を取ると、私達もダンスホールへと向かった。よし、優雅に踊るぞ!!
一曲踊った後他の方にも誘われたけれど…全部ゼクスが断ってしまった。
何曲も一緒に踊るのは婚約者か配偶者だけなので、これだけでも私達がどういう関係なのかわかる人にはわかるんだろうな。
「すみません。今日は……今日だけは他の人と踊って欲しくないんです」
「構いませんわ。私もゼクスと沢山踊れて嬉しいですもの」
曲の合間に休憩して水分補給をしてると秘書官の人がやってきてゼクスに話しかける。
「ゼクス様、そろそろ……」
小声で聞こえにくい。なんだろうとゼクスの顔を見つめる。
「エリーゼ、今から陛下のところへ行こう」
「わかりました、何かあったのですか?」
「いや、これから宣言して貰おうと思ってね」
陛下のところは行くとヴァルトハイム大公とお父様がいた。お父様はちょっと困ったように笑っている。
「皆の者よ、聞け。英雄ゼクス・フォン・ヴァルトハイムと聖女エリーゼ・フォン・ヴァルデンが婚約した。この二人の結び付きはこの国に繁栄と光をもたらすだろう。祝福をしよう」
会場全体に拍手が響き渡る。陛下の発言にびっくりする。宣言って婚約についてなの?ゼクスを見るといたずらっ子のように笑っていた。
「ここでエリーゼは私の婚約者だと言ってしまえば、もう安心だろう」
「もうっ、びっくりするから先に教えてくださいよ」
「怒らないでくれ、誰にも取られたくないんだ……」
「ゼクスもよそ見してはいやですよ」
「もちろん。君しか見えないさ」
ゼクスが私を見つめてからキスをしてくれた。歓声が起こり遠くてカラーンカラーンと鐘の音が聞こえた。
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