異世界移転したので魔法を使いまくりたい

佐藤 すみれ

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3.冒険者になるために

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「あ!あの、俺を弟子にしてください!!」

 お店のカウンターから乗り出してライラさんの両手を握る。小柄な女性であるライラさんが冒険者Bランクまで行ったんだ、俺もせめて普通の冒険者になりたい。

「え、いきなり、どうしたの。なに、なに!?」

「ユーマ、あんた冒険者になるの諦めてなかったの…うちで薬の調合学べばいいのに…」

 セレナさんに呆れた声をだす。後半は小声で聞こえなかったが、やめとけって言いたいのかな。せっかく魔法が使えるんだし、セレナさんの役に立ちたい。

「えーと、弟子か、弟子は取ってないんだよね、ごめんね」

 ライラさんは困ったように笑い、断りのセリフを口にした。

「ユーマ、色々と端折りすぎだよ、まず手を離しな。彼女を紹介するから」

「はっ、すみません…気持ちが先走ってしまって」

 手を離し、ライラさんに向き合う。

「んーん、大丈夫。びっくりしたけどね」

「ライラ、この子はユーマ。この前、薬草採取の時にレッドウルフに襲われそうになったところを助けてくれたんだ。多分、【世界のイタズラ】でここにきてしまった人。行くところがないだろうから今はうちで一緒に暮らしているんだ。そして聞いてたと思うけど、Bランクになった冒険者のライラ。この店のお客さん」

「私の紹介だけなんか雑じゃない。セレナの薬がよく効くって冒険者で噂になってて買いに来たのが出会いだよ。それにしても【世界のイタズラ】か、災難だったね。レッドウルフを倒したの?なら弟子にならなくってもそのまま冒険者になればいいじゃない」

「その、セレナさんにはこの世界についてよくわかっていないので、まず生活して慣れてみろって言われてて」

 セレナさんの言いつけを破っているみたいで気まずくなって俯いてしまう。

「えー、セレナ。過保護じゃないの。助けられたんならまぁまぁの実力があるんでしょ」

 あの助け方は実力があるんだろうか、行き当たりばったりでドタバタしていたと思う。もっとスマートに助けられたら良かったんだけどな。あと純粋に体力つけたり、魔法について知りたい。

「てか、どうやってレッドウルフを倒したの」

「えっと火の魔法で倒しました」

「あと水の魔法も使ってたよね。森が燃えそうになって消火してくれたんだ。近くにいた私もびしょ濡れになった」

 あの時は本当に焦った。水も使えて良かったよ、あの炎の勢いだと森を焼き尽くしちゃってただろうし。

「火と水の両方も使えるんだ。ますます冒険者の才能あるんじゃないの、躊躇してないでギルドに登録しなよ。なんなら、私が一緒に行ってあげようか」

「え、本当ですか、お願いしたいです」

「ユーマ本気かい、冒険者なんて体力勝負だよ、家事でへばるあんたにできるの?」

 セレナさんが心配して止めてくれる。でも俺はどうしても冒険者になりたい。穀潰しは嫌だし、セレナさんの役に立ちたい。何より自由に冒険者をするのって憧れるよね。

「まぁまぁ、ギルドに登録してカードができるだけでもいいじゃない。身分証がわりになるしさ」

 ギルドに登録するとカードが貰えるのか、身分証がわりってなんだか車の免許証みたいな扱いだな。

「ん~、ユーマの気持ちがかわらないんなら、今度私が連れて行くよ。さぁ、ライラは薬を買ったんなら帰った帰った!!」

「なによ、その態度。じゃあ、ユーマ冒険者になったら一回、一緒に冒険しよう。Bランクの私がいれば安心でしょう」

 セレナさんは渋い顔をしてライラさんを見る。俺どれだけ頼りないと思われているんだろう。あの魔法も俺にとってはすごい威力と思ったけれど、ここの人から見たらショボイ部類なのかな。でも最初の冒険には強い人がいてくれた方が心強いかもしれない。

「是非、お願いします。ライラさんがどんな風に冒険者をしているのか興味あります」

「え、私に興味あるって嬉しいなぁ。聞いた、セレナ!」

「もう、うるさい。帰って!!」

 セレナさんがライラさんの背中を押して店の外に出してしまう。バタンと扉が閉まるが外で何か言っている。セレナさんは平然と俺に話しかけてくる。二人の間ではこういう付き合いなんだろう、仲良いな。

「ユーマ、冒険者になりたいってのは変わらないのね?」

 くるりとこちらを向いてセレナさんが真剣な顔で話すので、こちらも背筋を伸ばして向き合う。

「はい、折角新しい世界に来たし、魔法が使えるのなら冒険者になってみたいです」

「そう、会ってからずっと言ってたからね。明日にでも冒険者ギルドに行きましょうか、登録しましょう」

「いいんですか、ありがとうございます」

 仕方ないなぁと言った感じで微笑まれてちょっとドキッとする。居候させてもらっているので意識しないようにしていたが、セレナさんは美女なんだよな。そんな人が俺を心配してくれているのが嬉しい。でもニートなのも心苦しい。明日になれば冒険者になれる、早く明日にならないかな。

「ハハっ、明日が早く来ないかなってワクワクしてますよ。なんか俺、子どもみたい」

「登録は簡単にできるよ。それと、最初はあまり遠くに行かないで、この街を拠点としてね。まだ、ここに暮らしてていいから、なんならずっと暮らしててもいいからね」

「そんな、ずっとなんて悪いですよぉ」

 真剣な表情で言ってくれる。セレナさんは優しい。ずっと暮らしててもいいなんて言われるの照れちゃうな。俺はデレデレしそうな顔を誤魔化すため、頭に手をやりながら返事をした。


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