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4.ギルドに行って準備しよう
しおりを挟むこの世界に来てから、早寝早起きになった。そして会社勤めの時とは考えられないくらい健康になった。睡眠って本当に大切だ。
居候をさせてもらった最初の方はあまりにも不健康な顔だったのか、なにもさせてもらえず休んでろとばかり言われた。そのため、筋トレばかりしていた。せめて何かさせてくれとお願いして家事と店番をさせてもらった。
でもこれからは、自分でお金を稼ぐことができる冒険者になれそうで嬉しい。
今日はセレナさんと冒険者ギルドに行くでの、いつもより早起きしてしまった。遠足前の子どものようだ。
部屋から出てリビングに入ると、セレナさんはもう起きていた。いつもの黒ワンピースに着替えていて、コーヒーを片手にまだ眠そうだ。
「おはようございます。俺も早起きだと思ったんですけど、セレナさんも早いですね」
「おはよう。実はちょっと徹夜しちゃって。読んでる薬草の本が面白くて止まらなくってさ」
ふぁ~あ、とあくびをしている。徹夜、俺には早く休んでろって言ったりしてる人がなにしてんだ。
「セレナさん夢中になるのはわかりますが、徹夜はよくないですよ。今日大丈夫ですか、お昼寝しててもいいですよ」
「いや、約束したんだし、ちゃんと行くよ。それに徹夜は時々なら大丈夫だ。今日は早く寝るから…」
二人して朝食を食べて、家を出る。セレナさんのお家兼お店は一番賑わっている通りから一本外れたところにある。体調不良の時や怪我した時に購入するので、商売っ気は出さなくてもいいらしい。冒険者の人や街の人が買いに来やすい位置にある。
そのため、道を一つでれば大通りに行けるので楽ちんでもある。俺はまだ道を完全に覚えていないのでセレナさんとはぐれないようにしなきゃ。
「ユーマ、朝市やってるから人が多い、気をつけてよ」
「はい、セレナさんにしっかりついて行くよ」
大通りをまっすぐに歩いて、何回か曲がったら大きな建物が見えた。これが冒険者ギルドだな。二階建てで赤いレンガの屋根に丸みを帯びている窓があって、扉がすごく大きい。想像より可愛らしい外観をしていた。
「ここが冒険者ギルドなんですか?」
「うん、そうだよ。一階は打ち合わせや食事もできたりするの。だから広いよ、入って見たほうが早いか」
スタスタと歩いて大きな扉を開けて中に入っていく。セレナさんのお店くらいしか知らない俺は緊張してする。中に入ると人がたくさんいた。様々な武器を持っている冒険者や依頼にきた商人や一般人、お金持ちそうな人もいる。一階は広く、真ん中に受付が何個もあり何かを渡していたりしている。
「ユーマ、色々見たいのもわかるけど、こっちおいで」
見るもの全てが新鮮で面白くキョロキョロしてしまう。セレナさんがあっという間に遠くにいる。はぐれないようにしないと、迷子になっちゃう。これから冒険者になるってのに迷子になったらカッコ悪い。
「待ってよ、セレナさん」
追いついた先は受付で綺麗な金髪の女性がいた。
「この子のギルド登録をお願いします」
セレナさんが俺の肩をポンと叩く。
「はい、ギルド登録ですね。他のギルドへの登録はございますか?ない。では、このカードに血を垂らしてください」
「え?血ですか?」
「ハリでチクッとするだけだから大丈夫よ」
縫い針を手渡されて、人差し指をチクっとしてカードに血を垂らす。一瞬、光ったがすぐに収まった。どういう仕組みなんだろう。
「これで登録完了です。カードは無くさないようにしてください。最初はDランクから始まって、依頼をこなしていくとランクが上がります。そして違反や犯罪行為を行うと登録が抹消されます。依頼はギルドに来て受付をし、依頼完了もギルドへ報告をお願いします。依頼が完了したら報酬が支払われます。他に質問はありますか?」
「大丈夫です。…多分」
「それでは、無理なく冒険をお楽しみください」
「は、はい、ありがとうございました」
こんな簡単にギルドに登録できるんだな。なんかもっと試験とか怖い人とかいるのかと思った。
「ユーマ!無事に登録できたんだね。簡単だったでしょ」
後ろからライラさんに声をかけられて飛び上がる。
「びっくりした。ライラさん来てたんですね」
「ちゃんとセレナに連れてきてもらえたのか気になって~」
「なに、ちゃんと約束を守ってるよ。このあとも用事あるんだから行った行った」
セレナさんが手をフリフリしてライラさんを追い払おうとする。ライラさんに対してクールだよな、セレナさん。
「ん?何かあるの。まぁ、いいか。ユーマ折角登録して冒険者になったんだから、早速私と一緒に依頼受けよう!」
「え、本当にいいんですか。DランクとBランクって同じ依頼大丈夫なんですか?」
「それは大丈夫だよ。ユーマに合わせてDランクの任務を受けよう。ユーマ何もかも初めてなんでしょ。初めての任務は大体知り合いの人とか同じランクの人と行くんだけど、ユーマ冒険者の知り合いいないでしょ。折角の縁だし行こう」
「そ、それなら、私は依頼を出すよ。薬草採取をお願いするからっ」
セレナさんは仲間外れにされたと思ったのか、俺とライラさんの間を割って入ってきた。ライラさんはビックリした様子だ。
「依頼出すの珍しいじゃん。薬草採取ならユーマにピッタリだしいいと思うけど…」
「ちょっと待ってて」
セレナさんは俺たちを置いてまた受付の方に歩いて行った。
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