5 / 8
5.チュートリアルな依頼を受けます。
しおりを挟むギルドの受付でセレナさんが何か話している。依頼をお願いしてるんだろう。思いっきり知り合いの依頼を受けることになりそうだけど、一番最初だから安心かもしれない。
「そうだ、ユーマって言葉遣いが丁寧だよね。冒険者をしていくならもっと砕けた口調の方がいいかもよ」
「そうなんですか?」
「ほら、敬語とかだと舐められたり、パーティーのリーダーが誰とかバレたりするじゃん。そりゃ依頼者には多少は丁寧に話すけど、基本的にはタメ口のほうがいいかもね」
「わかり…わかった。教えてくれて、ありがとう」
冒険者にも暗黙の了解とか色々あるんだろうな。ライラさんに教えてもらえるのありがたい。できれば、魔法についても誰かに教えてもらいたいなぁ。
「ライラさんは、なにで戦っているんですか?」
「私?私は双剣だよ。短剣に近いのを使っててスピード重視にしてるよ」
「ただいま。依頼をしてきたわよ。これ、はい」
戻ってきたセレナさんに紙を手渡される。これなんだろう?
「この紙は依頼受けるのに必要な書類だよ。本来なら壁に貼られるんだけど、今回は指名みたいなものだから、セレナから手渡しされただけ。ほら、あの壁に同じ紙が貼られてるでしょ」
壁の方を指差され、視線をそちらに向ける。DからAランク別に壁に紙が貼られていた。
「あれ?ランクってAまでなんですか?Sとかあるんじゃ?」
「あぁ、Sランクの人はそうそういないし、Sランクの依頼だと直接本人にお願いすることがほとんどかな。ほら、その紙貸して。私がやり方見せるから覚えて」
ライラさんに依頼書の紙を取られる。そのまま、違う受付に向かうので着いて行く。今度はピンクの髪色の女性が受付しているところに行く。
「これお願いしまーす。あ、こっちの子と一緒に受けます。どーも」
受付の人が紙にハンコを押して半分ちぎり渡した。
「二人で受けるんですね。期限は…特になさそうですね。気をつけて行ってらっしゃい」
「これで、受けた事になるんですか?期限って?」
「さっきギルド登録された方ですね。この紙をここの受付に持ってくてもらったら処理しますので、これで受付完了です。今回は期限がないようですが、大体の依頼にはいつまでと期限があります。期限内に依頼をこなさないと失敗扱いになります。依頼受付時に期限もお伝えしますので、心配しないでください。また、何度も失敗するとランクが下がってしまいますので注意してください。」
ギルドの受付の人は優しい。笑顔で教えてくれるので、うんうんと頷きながらしっかりと覚える。
「依頼が終わったら、あちらの任務完了受付と書いてあるところに、半分お渡しした紙を持って行ってください。もし書類を忘れたり、紛失してしまっても受付はできますので安心してください」
そうか。こんな小さい書類、冒険してたら無くしちゃいそうだもんな。でも、書類のやり取りがあるのってなんか市役所みたいだな。
「わかりました。ありがとうございます」
「ユーマ、口調口調。元に戻ってるよ」
あっ、忘れてた。というか、受付にも砕けた口調なのか。丁寧にされると丁寧に返したくなるから気をつけなきゃ。
「セレナ。期限つけなかったんだね?」
「ユーマ、まずは冒険に行くための装備も準備しなきゃいけないから期限つけなくってもいいかなって思って」
「え?装備なかったの?あ、ないか、森にいたからあるものだと思ってた。これから買いに行く?」
うっ、冒険の装備もセレナさんに買ってもらいの気まずい。初期投資してもらってガッツリ稼いでお返ししなきゃ。
「セレナ、装備に関してはからっきしでしょ?うちも一緒に行くよ。おすすめのお店もあるし」
「よろしくお願いします」
ライラさんのおすすめのお店に来た。大通りにある防具の店だ。お店の看板には甲冑と盾の絵が書いてある。中に入ると筋肉質でヒゲの店主が座っていた。
「おじちゃん久しぶり。聞いて聞いて、私Bランクになったの!」
「お~、久しぶり。なに、すごいじゃないか。それで?今回はなにが欲しいんだ」
「あ、私じゃなくって、こっち。ユーマっていうんだけど、新人冒険者なんだ。いいの見繕ってよ」
店主の前にぐいっと立たされ愛想笑いを浮かべる。
「初心者か。特に筋肉があるわけでもないな、武器はなんの予定だ?」
「えーと、攻撃方法は魔法を使おうと思ってます」
店主に聞かれて答えると、ライラさんに口調!と耳打ちされる。しまったまた戻ってた。
「魔法使いってことだな。ならそんな甲冑とかの重装備じゃなくてこういう布に防御魔法がかかってるやつの方いいかな」
鉄の甲冑や革の胸当てが置いてあるのとは反対側に、冒険者仕様になってはいるが普通の服のように見えるものが置いてあった。種類別に置いてあるようだ。
「初心者だし、そんな装備をガッチリしても仕方ないから新人がよく使いやつでいいんじゃないの」
「ユーマが怪我しないようにするなら、私はいくらかかっても構わないよ。」
店主がちょっと待ってろといい、店の奥に引っ込む。
「これとかどうだ。魔法使いと言ったらローブが多いが、これは最近仕入れた物で防御魔法と反射魔法がかかってる冒険者用の服だ。着ている奴の魔力でかかってる魔法も強化されるらしい。これなら冒険してってレベルアップすれば防御も反射も同じくレベルアップする。ちょっと高いけどな」
魔法使いってやっぱりローブが多いんだ。持ってきてもらったこれなら、動きやすそうでいいかも。じっと見ていたら気に入らないと誤解されたのか声をかけられる。
「あぁ。別にローブがいいのならそれはそれであるが、どうする?」
「これにします!!」
0
あなたにおすすめの小説
異世界に転生!? だけどお気楽に暮らします。
辰巳 蓮
ファンタジー
「転生して好きに暮らしてください。ただ、不便なところをちょっとだけ、改善していってください」
とゆうことで、多少の便宜を図ってもらった「ナッキート」が転生したのは、剣と魔法の世界でした。
すいません。年表書いてたら分かりにくいところがあったので、ちょっと加えたところがあります。
【読切短編】転生したら辺境伯家の三男でした ~のんびり暮らしたいのに、なぜか領地が発展していく~
Lihito
ファンタジー
過労死したシステムエンジニアは、異世界の辺境伯家に転生した。
三男。継承権は遠い。期待もされない。
——最高じゃないか。
「今度こそ、のんびり生きよう」
兄たちの継承争いに巻き込まれないよう、誰も欲しがらない荒れ地を引き受けた。
静かに暮らすつもりだった。
だが、彼には「構造把握」という能力があった。
物事の問題点が、図解のように見える力。
井戸が枯れた。見て見ぬふりができなかった。
作物が育たない。見て見ぬふりができなかった。
気づけば——領地が勝手に発展していた。
「俺ののんびりライフ、どこ行った……」
これは、静かに暮らしたかった男が、なぜか成り上がっていく物語。
【完結】モブ令嬢のわたしが、なぜか公爵閣下に目をつけられています
きゅちゃん
ファンタジー
男爵家の三女エリーゼは、前世の記憶を持つ元社畜OL。社交界デビューの夜、壁際でひとりジュースを飲んでいたところを、王国随一の権力者・ヴァルナ公爵カイルにスカウトされる。魔法省の研究員として採用されたエリーゼは、三年間誰も気づかなかった計算の誤りを着任三日で発見。着々と存在感を示していく。一方、公爵の婚約候補と噂されるクロード侯爵令嬢セラフィーヌは、エリーゼを目障りに思い妨害を仕掛けてくるが...
俺の伯爵家大掃除
satomi
ファンタジー
伯爵夫人が亡くなり、後妻が連れ子を連れて伯爵家に来た。俺、コーは連れ子も可愛い弟として受け入れていた。しかし、伯爵が亡くなると後妻が大きい顔をするようになった。さらに俺も虐げられるようになったし、可愛がっていた連れ子すら大きな顔をするようになった。
弟は本当に俺と血がつながっているのだろうか?など、学園で同学年にいらっしゃる殿下に相談してみると…
というお話です。
新緑の光と約束~精霊の愛し子と守護者~
依羽
ファンタジー
「……うちに来るかい?」
森で拾われた赤ん坊は、ルカと名付けられ、家族に愛されて育った。
だが8歳のある日、重傷の兄を救うため、ルカから緑の光が――
「ルカは精霊の愛し子。お前は守護者だ」
それは、偶然の出会い、のはずだった。
だけど、結ばれていた"運命"。
精霊の愛し子である愛くるしい弟と、守護者であり弟を溺愛する兄の、温かな家族の物語。
他の投稿サイト様でも公開しています。
犬の散歩中に異世界召喚されました
おばあ
ファンタジー
そろそろ定年後とか終活とか考えなきゃいけないというくらいの歳になって飼い犬と一緒に異世界とやらへ飛ばされました。
何勝手なことをしてくれてんだいと腹が立ちましたので好き勝手やらせてもらいます。
カミサマの許可はもらいました。
腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。
灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。
彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。
タイトル通りのおっさんコメディーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる