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一章
2話
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喫茶店の中は意外にも奥行きがあり広々としていた。
店内にはどこか懐かしい雰囲気を感じるゆったりとした洋楽がかかっており「お洒落な良いお店。」と栄子は感じていた。
だが店内を見渡すも客は1人もおらず店主1人だけだった。
中へ入ったは良いが「どこに座ろうか。」と困った表情で戸惑っていると店主は笑顔でこちらに向かって声をかけてきた。
「今日は、もうお客様は来ないと思っていましたから。まだ店を閉めなくて良かったです。お好きな席へお座り下さい。」と優しく丁寧な口調で話しかけてきた。
照れ臭そうにしながらも「あ、どうもありがとうございます。」と店主に軽く会釈をしながら「せっかく来たんだし。」と思い店主がいるカウンター席へと腰を掛けた。
椅子へと座り店主の方を見ると体型は細身で背丈は180㎝はあるだろうか黒髪の短髪、鼻筋は通っていて目尻はつり上がり薄い唇の右下には小さなホクロがあった。
「どこかで見た気がするけど気のせいか。」
「年は私と変わらないくらい?にしてもマスター、イケメン…。」
店主を見てそんな事を考えていた。
栄子は緊張を隠せず椅子に座ったものの落ち着かず店内をきょろきょろと見渡していた。
店内には世界各国の珈琲豆であろうか見た事もない沢山の種類の豆が店主の背後には置かれており店内の装飾もレトロな雰囲気に施されていた。
とてもあの薄汚れた屋外に建てられているとは想像できない程とても良い場所だとそう感じていた。
栄子の表情を汲み取りそれを見兼ねた店主は「お客様は初めてですよね。誰かの紹介でこちらへ?」と栄子へ問うた。
「いえ、実は外を歩いていると美味しそうな珈琲の匂いに誘われてここまで来たんです。」
「それは嬉しい。」
「でも、私食いしん坊みたいじゃないですか。ちょっと自分でも恥ずかしくなってきましたよ。」
「いえ、そんな事はございませんよ。」
「この店に足を運んで頂きとても光栄ですし、是非とも美味しい珈琲をご馳走しますからね。」
「ありがとうございます。来て良かったです。」
店主と会話をしていくうちに栄子の固くなっていた表情は少しずつほぐれ柔らかい表情を取り戻していた。
「珈琲と言っても沢山の種類がありますので私のおすすめをお作りしても宜しいでしょうか。」
「はい、是非お願いします。」
「かしこまりました。」
店主はそう言うと後ろの棚にある珈琲豆を容器から取り出した。
すると取り出した豆を丁寧に店主がミルで挽いていくと豆本来の香りが瞬く間に店内に充満した。
挽いた豆をフィルターに移しふつふつと沸騰した少量のお湯を珈琲粉全体に染み渡るよう均一に注ぎ込み蒸らしていく。
「うわ。なんだろう。この上品で芳醇な匂い。」
「いい匂いでしょう。私はこうして待っている時間が1番好きです。」
その後ゆっくりと中心から「の」の字を描く様に数回に分け優しく注ぎ込み抽出していった。
店主は慣れた手つきで白いティーカップに黒く透き通った液体を流し入れていく。
白いゆらゆらとした湯気立つティーカップをソーサーへと静かに乗せ「お待たせしました、どうぞ。」と栄子の前へと出した。
店主は時間をかけ丁寧に一杯のコーヒーを作り上げていたが栄子は店主のコーヒーを作る姿に見惚れていたせいかその時間は一瞬であり気付くと目の前に提供されていた。
ふわっと鼻へと香ってくる。「ああ、そうだ。この匂いだ。私が追い求めていた匂いだ。深く濃厚で芳醇な香りがする。」そう感じた。
ソーサーの淵の回りにはピンク色の花の刺繍が施されておりとても良くマッチしていた。
「ありがとうございます。」
栄子は店主に軽く頭を下げカップを手に取りに鼻で匂いを楽しみ珈琲を啜るようにして口へと含んだ。
「ああ、美味しい。こんなコーヒー初めて飲みました。苦味とか雑味がなくて少し飲んだだけなのにコクもあって爽やかで上品なオレンジの香りが鼻に突き抜けてきて口の中にはほのかに甘みが残ります。ああ、幸せ。」
「ここに来て良かった。」
店主は栄子の満悦そうな表情を見て笑みを溢した。
「大変恐縮です。ありがとうございます。」
「ついでと言っては何ですがデザートはどうですか?」
「え、いいんですか?」
「ええ。もちろんです。少々お待ち下さい。」
すると店主は後ろの冷蔵庫からチーズケーキを取り出してきた。
「私が作ったのですがチーズは大丈夫ですか?」
「はい、何でも食べれます。」
「良かった。」
店主はチーズケーキを程良い大きさに切り分け小皿に乗せ栄子の前へと出した。
「すごい、美味しそう。これ、マスターが作ったんですか?」
「はい。最近はお菓子作りを趣味でやってましてお口に合わなければ言って下さい。」
「いえ、食べます。めっちゃ美味しそうだから。」
「やっぱり私食いしん坊みたいですよね。」
栄子の頬を赤らめた表情を見て店主はクスッと笑う。
「いえいえ、お客様の笑顔が1番ですから。お気になさらず。」
ケーキを一口サイズに切り口へと運んだ。
栄子はその味に驚きを隠せなかった。
「マスター、本当に趣味でやってるだけですか。その辺のお店のより遥かに美味しいですよ、このチーズケーキ。」
「お客様は褒め上手な方ですね。」
「お口に合って良かったです。」
提供されたコーヒーとケーキをたいらげた栄子は少しばかり店主と会話をしていた。
「マスター、少し聞いても良いですか。」
「はい。何でもお聞き下さい。」
「何でこのお店は言っちゃ悪いけどこんな路地裏なんかにあるんですか。」
「何でこの様な場所にあるのかは今はお伝えできません。ですが、このお店に来られる全ての方達にとって安らぎを提供できる場所にしたいなと思いまして。」
「でも、路地裏にあったら人なんか来ないんじゃ。」
「そんな事もございませんよ。」
「珈琲の匂いと言うのは人をリラックスさせる効果がありましてね。お客様も匂いに誘われて来られたように様々な方達が日々来られています。悩みを抱えた方や、日々の生活の中でのストレスで苦悩されてる方、自分の居場所が無く疎外感を感じらている方、出会いを目的として来られる方、大切にしていた最愛の人をずっと待ち続けている方…それと…。」
店主はその後の続きを話そうとしたが言葉を詰まらせた。
「色々な方が色々な事情を抱え来られる訳ですからその人達にとってこの喫茶店がきっかけでその悩みを少しでも取り除く事が出来たら良いなと私は考えております。」
栄子は店主の優しくスラスラとした口調で語る情熱に心を打たれた。
「申し遅れました。」
「私、喫茶店「Arde」のマスターをしております奥村と申します。」
「あ、私も。私は栄子。」
「柳栄子って言います。」
「よろしくお願いします。」
そう言ってお互いは頭を下げ挨拶を交わした。
「では、お客様。」
「今日はもう店を閉めますのでお客様の都合が宜しい日にまたいらして下さい。」
栄子は「わかりました、また来ますね。」と言って代金を払おうとしたが「今日は大丈夫ですよ。こちらもお話が出来て嬉しかったので。」そう言って支払いを断られた。
栄子は「ありがとうございました。」と深々と店主に頭を下げ店を後にする。
店の外へ出ると気付けば夜になっていた。
路地裏には暗闇が広がる。
「あれ、そんなに長居してたっけ。」
袖を捲り腕時計を確認すると時計の針は21時を回っている。
「やばい、もうこんな時間。晩御飯の材料買わなきゃ。」
栄子は足早に急いで来た道を進みいつものスーパーで夕食の材料を買い自宅へと帰った。
帰る途中、栄子は「良い人だったな、また明日行ってみよう。」頬を緩ませ呟いた。
店内にはどこか懐かしい雰囲気を感じるゆったりとした洋楽がかかっており「お洒落な良いお店。」と栄子は感じていた。
だが店内を見渡すも客は1人もおらず店主1人だけだった。
中へ入ったは良いが「どこに座ろうか。」と困った表情で戸惑っていると店主は笑顔でこちらに向かって声をかけてきた。
「今日は、もうお客様は来ないと思っていましたから。まだ店を閉めなくて良かったです。お好きな席へお座り下さい。」と優しく丁寧な口調で話しかけてきた。
照れ臭そうにしながらも「あ、どうもありがとうございます。」と店主に軽く会釈をしながら「せっかく来たんだし。」と思い店主がいるカウンター席へと腰を掛けた。
椅子へと座り店主の方を見ると体型は細身で背丈は180㎝はあるだろうか黒髪の短髪、鼻筋は通っていて目尻はつり上がり薄い唇の右下には小さなホクロがあった。
「どこかで見た気がするけど気のせいか。」
「年は私と変わらないくらい?にしてもマスター、イケメン…。」
店主を見てそんな事を考えていた。
栄子は緊張を隠せず椅子に座ったものの落ち着かず店内をきょろきょろと見渡していた。
店内には世界各国の珈琲豆であろうか見た事もない沢山の種類の豆が店主の背後には置かれており店内の装飾もレトロな雰囲気に施されていた。
とてもあの薄汚れた屋外に建てられているとは想像できない程とても良い場所だとそう感じていた。
栄子の表情を汲み取りそれを見兼ねた店主は「お客様は初めてですよね。誰かの紹介でこちらへ?」と栄子へ問うた。
「いえ、実は外を歩いていると美味しそうな珈琲の匂いに誘われてここまで来たんです。」
「それは嬉しい。」
「でも、私食いしん坊みたいじゃないですか。ちょっと自分でも恥ずかしくなってきましたよ。」
「いえ、そんな事はございませんよ。」
「この店に足を運んで頂きとても光栄ですし、是非とも美味しい珈琲をご馳走しますからね。」
「ありがとうございます。来て良かったです。」
店主と会話をしていくうちに栄子の固くなっていた表情は少しずつほぐれ柔らかい表情を取り戻していた。
「珈琲と言っても沢山の種類がありますので私のおすすめをお作りしても宜しいでしょうか。」
「はい、是非お願いします。」
「かしこまりました。」
店主はそう言うと後ろの棚にある珈琲豆を容器から取り出した。
すると取り出した豆を丁寧に店主がミルで挽いていくと豆本来の香りが瞬く間に店内に充満した。
挽いた豆をフィルターに移しふつふつと沸騰した少量のお湯を珈琲粉全体に染み渡るよう均一に注ぎ込み蒸らしていく。
「うわ。なんだろう。この上品で芳醇な匂い。」
「いい匂いでしょう。私はこうして待っている時間が1番好きです。」
その後ゆっくりと中心から「の」の字を描く様に数回に分け優しく注ぎ込み抽出していった。
店主は慣れた手つきで白いティーカップに黒く透き通った液体を流し入れていく。
白いゆらゆらとした湯気立つティーカップをソーサーへと静かに乗せ「お待たせしました、どうぞ。」と栄子の前へと出した。
店主は時間をかけ丁寧に一杯のコーヒーを作り上げていたが栄子は店主のコーヒーを作る姿に見惚れていたせいかその時間は一瞬であり気付くと目の前に提供されていた。
ふわっと鼻へと香ってくる。「ああ、そうだ。この匂いだ。私が追い求めていた匂いだ。深く濃厚で芳醇な香りがする。」そう感じた。
ソーサーの淵の回りにはピンク色の花の刺繍が施されておりとても良くマッチしていた。
「ありがとうございます。」
栄子は店主に軽く頭を下げカップを手に取りに鼻で匂いを楽しみ珈琲を啜るようにして口へと含んだ。
「ああ、美味しい。こんなコーヒー初めて飲みました。苦味とか雑味がなくて少し飲んだだけなのにコクもあって爽やかで上品なオレンジの香りが鼻に突き抜けてきて口の中にはほのかに甘みが残ります。ああ、幸せ。」
「ここに来て良かった。」
店主は栄子の満悦そうな表情を見て笑みを溢した。
「大変恐縮です。ありがとうございます。」
「ついでと言っては何ですがデザートはどうですか?」
「え、いいんですか?」
「ええ。もちろんです。少々お待ち下さい。」
すると店主は後ろの冷蔵庫からチーズケーキを取り出してきた。
「私が作ったのですがチーズは大丈夫ですか?」
「はい、何でも食べれます。」
「良かった。」
店主はチーズケーキを程良い大きさに切り分け小皿に乗せ栄子の前へと出した。
「すごい、美味しそう。これ、マスターが作ったんですか?」
「はい。最近はお菓子作りを趣味でやってましてお口に合わなければ言って下さい。」
「いえ、食べます。めっちゃ美味しそうだから。」
「やっぱり私食いしん坊みたいですよね。」
栄子の頬を赤らめた表情を見て店主はクスッと笑う。
「いえいえ、お客様の笑顔が1番ですから。お気になさらず。」
ケーキを一口サイズに切り口へと運んだ。
栄子はその味に驚きを隠せなかった。
「マスター、本当に趣味でやってるだけですか。その辺のお店のより遥かに美味しいですよ、このチーズケーキ。」
「お客様は褒め上手な方ですね。」
「お口に合って良かったです。」
提供されたコーヒーとケーキをたいらげた栄子は少しばかり店主と会話をしていた。
「マスター、少し聞いても良いですか。」
「はい。何でもお聞き下さい。」
「何でこのお店は言っちゃ悪いけどこんな路地裏なんかにあるんですか。」
「何でこの様な場所にあるのかは今はお伝えできません。ですが、このお店に来られる全ての方達にとって安らぎを提供できる場所にしたいなと思いまして。」
「でも、路地裏にあったら人なんか来ないんじゃ。」
「そんな事もございませんよ。」
「珈琲の匂いと言うのは人をリラックスさせる効果がありましてね。お客様も匂いに誘われて来られたように様々な方達が日々来られています。悩みを抱えた方や、日々の生活の中でのストレスで苦悩されてる方、自分の居場所が無く疎外感を感じらている方、出会いを目的として来られる方、大切にしていた最愛の人をずっと待ち続けている方…それと…。」
店主はその後の続きを話そうとしたが言葉を詰まらせた。
「色々な方が色々な事情を抱え来られる訳ですからその人達にとってこの喫茶店がきっかけでその悩みを少しでも取り除く事が出来たら良いなと私は考えております。」
栄子は店主の優しくスラスラとした口調で語る情熱に心を打たれた。
「申し遅れました。」
「私、喫茶店「Arde」のマスターをしております奥村と申します。」
「あ、私も。私は栄子。」
「柳栄子って言います。」
「よろしくお願いします。」
そう言ってお互いは頭を下げ挨拶を交わした。
「では、お客様。」
「今日はもう店を閉めますのでお客様の都合が宜しい日にまたいらして下さい。」
栄子は「わかりました、また来ますね。」と言って代金を払おうとしたが「今日は大丈夫ですよ。こちらもお話が出来て嬉しかったので。」そう言って支払いを断られた。
栄子は「ありがとうございました。」と深々と店主に頭を下げ店を後にする。
店の外へ出ると気付けば夜になっていた。
路地裏には暗闇が広がる。
「あれ、そんなに長居してたっけ。」
袖を捲り腕時計を確認すると時計の針は21時を回っている。
「やばい、もうこんな時間。晩御飯の材料買わなきゃ。」
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帰る途中、栄子は「良い人だったな、また明日行ってみよう。」頬を緩ませ呟いた。
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