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第2幕 異世界から異世界へ
第4話 おはよう異世界
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俺は目を覚ました。
目の前に見たこともない天井がある。
ここは…俺の部屋じゃない。
上半身を起こして部屋を一望した。
窓が左手にあって、右手の奥にドアがあった。
目の前には暖炉らしきものがあって、ゆっくりと火が動いていた。
そして真横には、コードも電源も何も無いのに光り続けているものがあった。
な、なんだここ…てか、どこだよ…
先程の不安と恐怖が一気に蘇ってきた。
「「バタンッ!!」」
急に勢いよくドアが開いた。
俺の体は一瞬にして硬直した。
勢いよく開いたドアから白衣を着て眼鏡をかけた女性が入ってきた。
???:「おや?お目覚めかね?どうだい身体の調子は。」
俺:「…は、はぁ…これといっては普通ですけど…」
少し反応が遅れたが、とりあえず相手の質問に答えた。
???:「おぉ!そうかそうか!ということは作戦には失敗していないということだな!いやぁ!良かった良かった!」
そう言い、満面の笑みを浮かべながら俺に水を渡してきた。
警戒心がひどく表に出てしまって、水を飲むかどうか戸惑っていると、
???:「安心したまえ。その水の中には何も入っていない。ただの水だ。」
俺は少し考えて、決意を決め、一気にその水を飲み干した。
飲んだ後、溜まっていたため息が一気に口から出た。
ようやく安心できたような気がしたからだ。
???:「さて、君にもいろいろと質問はあると思うが、まず私の話を聞いてから君の質問を聞こう。」
その女性はゆっくりと俺が寝ていたベットに腰掛けて話し出した。
???:「そうだな…まず自己紹介をしよう。私はルクセ・マキナという。国家代表の科学者だ。親しい者からはマキナと呼ばれている。君もそう呼びたまえ。」
マキナ:「この世界は君が住んでいた世界とは別の次元にある。そちらで言う「異世界」というところだ。こちらからすれば君がいた世界が異世界だがな。」
…俺はどうやら転生してしまったようだ。
マキナ:「この世界は2つの大陸で出来ていて、1つは今いる『オークライド大陸』だ。オークライド国王によってこの大陸は統制されている。大陸自体が1つの国となっている。そして大きな川をまたいでもう1つの大陸が『ドラグ大陸』と言われている。こちらの大陸は未開の地だ。噂によると荒れ果てた世界になっていて、まるで地獄だそうだ。」
この時点で俺の脳はオーバーヒートしていた。
なんとか情報を頭で整理する。
マキナ:「長い間、この国ではなんの争いもなく、分裂することもなく保たれてきたが、ここ数年、ドラグ大陸に1番近い村々が何者かによって襲われるようになった。国は騎士団を結成し、その村々を襲った者を探した。結果、複数の魔物を見つけた。騎士団は攻撃に出たが全く歯が立たず、生き残った伝達兵1名だけが帰ってきたそうだ。」
マキナの目は途端に険しくなり、こう続けた。
マキナ:「再び国は騎士団を結成し、討伐を試みたが、結果は変わらなかった。その魔物達は大きな大木のような物から生成されているらしく、我々はその大木を『デスプラント』と名付けた。」
マキナ:「国は危機感を覚え始め、対抗できる術を見つけ出そうとした。そして辿り着いた物が『スペル』という魔術だ。特定の術を唱えることで、間接的にダメージを与えることができ、その魔物達にも効果はあった。」
マキナ:「しかし、このスペルは適性のある者でないと使えない。体内に潜在している力を放つ技だからな。適性のない者が無理に使おうとすると精神が崩壊したり、脳に後遺症が残る。」
マキナ:「その適性のある者が国の中心部に集められ、訓練を受け、魔物討伐者として駆り出された。幽霊のような魔物がいれば、人型の魔物もいる。そいつらにスペルは有効だった。が、デスプラントには効果がなかった。」
マキナ:「デスプラントに対抗するにはもっと上位の魔法が必要となり、国の研究者たちは研究に勤しんだ。私はその研究の責任者でもあった。そうして私はある考えに辿り着いた。」
そう言うと、俺を見てニヤリと笑った。
マキナ:「この世界にはない力、スペルが必要。それならば他の世界から持ってこればいいのだ、と。」
すごいキメ顔でこっちを見られても反応に困るんだが…
でも、まぁ、普通に考えてその発想はできないな。
マキナ:「それから私は、別の世界を見つけるための研究にシフトして様々な方法を試した。そして、誰も見つけることの出来なかった異世界を発見した。」
俺:「それが俺の生きていた世界、と。」
マキナ:「その通り。だが、そちらの世界にはスペルなどと言う魔術は存在しないだろう?そこが次なる課題だった。」
マキナは天井を見ながら軽くため息をついた。
マキナ:「せっかく見つけた異世界がまさか使い物にならないなんてと、ひどくショックを受けたものだ。しかし、これでも国の代表する天才研究者だ。ここで引き下がるわけにもいかなかった。」
マキナ:「とりあえず、異世界に干渉できる方法を探り、なんとか短い時間の干渉が可能になった。」
マキナ:「そこから何度も試行し、ようやく重大な情報を手にした。それは、君の住んでいる国と私達がいる世界の人口が同じということだ。」
イマイチぴんとこず、首をかしげていると、
マキナ:「どうやらそちらの世界では人口がなぜか減っているらしいじゃないか。」
確かにここ数年で日本の人口が急激に減っている。
マキナ:「実は、そちらの人口が減り始めた時期と、こちらの村々が初めて襲われた時期と一致するのだ。」
マキナ:「つまり、そちらの国の誰かとこちらの世界の誰かが、見た目や性格は違ったとしても、2つの世界の間では同一人物であるということだ。」
なんとなくだが、大まかには理解出来た。
考えが追いついてない部分が多々あるけど…
マキナ:「スペルの強化、要は内在する力をもっと増幅させれば良いということ。そちらの世界とこちらの世界の同一人物をリンクさせれば、内在するする力が最大限に増幅すると私は踏んだ。」
マキナ:「ただし、それには条件があった。性格、顔、身長が同じでないといけないのだ。それがピッタリと当てはまらないと問題が生じてしまう。」
俺:「それじゃあ、俺はこちらの世界の誰かとそっくりだと言うことですか?」
マキナ:「まぁ、そういうことになるな。それこそ筋肉や髪などは違うが、それ以外はほぼ同じだ。実を言うと、先程から話をしていて、私は違和感しか感じないのだ。」
マキナは苦笑いしながら俺の方を見た。
そこにはどこか寂しそうな、そんな感じの目があった。
俺:「それで、俺はこちらの世界の誰とそっくりだったんですか?」
マキナは深く息をして、真面目な顔で言った。
「魔術騎士団『オールバウル』の総隊長、『ライル・クラウン』だ。」
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