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【第10話】聖者も交わるカボチャパーティー
【10-22】
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レトロでアナログなオーブンたちでパイとクッキーとパンとケーキを焼き、傍でプリンを蒸しながら、鉄板でお団子を焼いていく。
悪魔たちはどのお菓子にも興味津々のようだったけれど、中でも一番気になっているのはお団子のようだった。
「ふぇぇぇ……、ミカ様が作られるおやつはどれも美味しそうですけど、これ、とても良い匂いがしますねぇぇぇ」
「ええ、本当に。こちらのおやつは、私も初めて見ました」
「こんがーりしてて、めっちゃ良い匂いっ★」
横並びになった悪魔たちが揃って覗き込んでくる姿が、なんだか可愛い。彼らの蝙蝠羽が渋滞というか、ピッタリくっついてぎゅう詰めになっている様子も微笑ましかった。
思わずにやけてしまっている己を自覚しつつ、僕はカボチャ団子について説明する。
「これはね、カボチャ団子っていうおやつなんだ。形は団子っていうよりおやきなんだけど……、それはまぁいいとして。僕が暮らしていた国では、ガボンはカボチャって呼ばれていて、団子っていうもちもちした食感のおやつもあったんだ。カボチャを使った団子だから、カボチャ団子。本当は、潰したカボチャに片栗粉と小麦粉を混ぜて練り込んで作るんだけど……、ここでは、ガボンとツムト粉だけでも十分に粘り気のある生地を作れたから、材料はそれだけ。あとは、これをコンガリと焼いて、甘じょっぱいタレをかけて食べるんだ。素朴だけど、すごく美味しいんだよ」
そう説明しながら、僕は焼きあがったカボチャ団子を四等分して、甘い調味料を混ぜた醤油のようなものを加熱したタレを掛けて、悪魔たちの口へ順番に放り込んだ。
語り聞かせるより、食べてもらったほうが早いと思ったからだ。彼らがちょっとやそっとでは火傷しないと分かっているから遠慮なく食べさせていったのだけれど、案の定、悪魔たちは熱がることなく、あどけない表情で目を輝かせた。
「これは美味しいですね……!」
「んまーいッ★」
「おいしいですぅぅぅ」
僕も残った一欠片をふーふーしてから食べてみる。……うん、美味しい。おじさんが作ってくれたカボチャ団子とはちょっと風味が違うけど、そもそも使っている素材が違うんだから、そりゃあそうだよね。これはこれで美味しいし、満足かな。みんな喜んでくれているし。
「こっちの世界にはあんまり馴染みが無い味かもしれないけど、美味しく感じてくれたなら良かったなぁ。あ、もしかしたらホラマロバ王国では似たような料理があるかもしれないけどね」
「ああ、確かに……、ですが、私たちはそもそも人間の食べ物を口にする機会が殆どありませんからね」
「だねー★ そもそも、ボクたちは食べなくても生きてけるもんねー☆」
「はひぃぃぃ、人間ってすごいなぁって思いますぅぅぅ」
兄たちに続いて感慨深そうに頷いたセレーナさんは、しみじみと言葉を続けた。
「ノヴァユエ兄様の仰る通り、アタクシたちに食事は必要ないですけどぉぉぉ、人間にとっては食事は必要不可欠なわけで、生きるために必要なものを淡々と摂るのではなくて、美味しく楽しんで食べられるようにしているのってぇぇぇ、素敵な進化だと思うのですぅぅぅ」
「確かにそうですね。人間たちは、元々は美食を追求したりなどしていませんでした。聖なる者も、そういった本能は植え付けずに人間を創ったでしょうからね。それが、いつしか、自分たちの進化に伴って、生命維持に必要な部分に楽しみを見出すようになった──、セレーナが言う通り、興味深い進化です。良いところに気がつきましたね」
「は、はひぃぃぃ……! ありがとうございます、カマルティユ兄様ぁぁぁ!」
優しく目を細めたカミュに褒められたセレーナさんは、嬉しそうに頬を紅潮させる。その様子を見たノヴァユエは、ぷくっと両頬を膨らませた。
「セレーナずるいー! ボクなんてカマルティユ先輩から褒められたこと、一回も無いのに!」
「は、はわわっっっ、ごめんなさいノヴァユエ兄様ぁぁぁ」
「こら、ノヴァユエ。セレーナに余計な気を遣わせてはいけませんよ。私だって、一度くらいは貴方を褒めたことくらいあるでしょうに」
「無いよー! 無いもんー!」
ゴネ始めたノヴァユエを見てセレーナさんは焦った顔をしているし、僕はたぶん苦笑していると思う。深く溜息をついたカミュは、渋い面持ちながらも、ぼそりと呟いた。
「……まぁ、魔の者にしては珍しく、年少者であるセレーナや人間であるミカさんへは友好的かつ親身に接しているので、貴方のそんな姿は評価に値すると思いますよ」
「……ッ、カマルティユ先輩ー! やったー!」
ノヴァユエが嬉しそうに両腕を上げたところで、調理場の入口から咳払いが聞こえる。皆でそちらを振り向くと、そこには我らが魔王様とウサギ天使が立っていた。
悪魔たちはどのお菓子にも興味津々のようだったけれど、中でも一番気になっているのはお団子のようだった。
「ふぇぇぇ……、ミカ様が作られるおやつはどれも美味しそうですけど、これ、とても良い匂いがしますねぇぇぇ」
「ええ、本当に。こちらのおやつは、私も初めて見ました」
「こんがーりしてて、めっちゃ良い匂いっ★」
横並びになった悪魔たちが揃って覗き込んでくる姿が、なんだか可愛い。彼らの蝙蝠羽が渋滞というか、ピッタリくっついてぎゅう詰めになっている様子も微笑ましかった。
思わずにやけてしまっている己を自覚しつつ、僕はカボチャ団子について説明する。
「これはね、カボチャ団子っていうおやつなんだ。形は団子っていうよりおやきなんだけど……、それはまぁいいとして。僕が暮らしていた国では、ガボンはカボチャって呼ばれていて、団子っていうもちもちした食感のおやつもあったんだ。カボチャを使った団子だから、カボチャ団子。本当は、潰したカボチャに片栗粉と小麦粉を混ぜて練り込んで作るんだけど……、ここでは、ガボンとツムト粉だけでも十分に粘り気のある生地を作れたから、材料はそれだけ。あとは、これをコンガリと焼いて、甘じょっぱいタレをかけて食べるんだ。素朴だけど、すごく美味しいんだよ」
そう説明しながら、僕は焼きあがったカボチャ団子を四等分して、甘い調味料を混ぜた醤油のようなものを加熱したタレを掛けて、悪魔たちの口へ順番に放り込んだ。
語り聞かせるより、食べてもらったほうが早いと思ったからだ。彼らがちょっとやそっとでは火傷しないと分かっているから遠慮なく食べさせていったのだけれど、案の定、悪魔たちは熱がることなく、あどけない表情で目を輝かせた。
「これは美味しいですね……!」
「んまーいッ★」
「おいしいですぅぅぅ」
僕も残った一欠片をふーふーしてから食べてみる。……うん、美味しい。おじさんが作ってくれたカボチャ団子とはちょっと風味が違うけど、そもそも使っている素材が違うんだから、そりゃあそうだよね。これはこれで美味しいし、満足かな。みんな喜んでくれているし。
「こっちの世界にはあんまり馴染みが無い味かもしれないけど、美味しく感じてくれたなら良かったなぁ。あ、もしかしたらホラマロバ王国では似たような料理があるかもしれないけどね」
「ああ、確かに……、ですが、私たちはそもそも人間の食べ物を口にする機会が殆どありませんからね」
「だねー★ そもそも、ボクたちは食べなくても生きてけるもんねー☆」
「はひぃぃぃ、人間ってすごいなぁって思いますぅぅぅ」
兄たちに続いて感慨深そうに頷いたセレーナさんは、しみじみと言葉を続けた。
「ノヴァユエ兄様の仰る通り、アタクシたちに食事は必要ないですけどぉぉぉ、人間にとっては食事は必要不可欠なわけで、生きるために必要なものを淡々と摂るのではなくて、美味しく楽しんで食べられるようにしているのってぇぇぇ、素敵な進化だと思うのですぅぅぅ」
「確かにそうですね。人間たちは、元々は美食を追求したりなどしていませんでした。聖なる者も、そういった本能は植え付けずに人間を創ったでしょうからね。それが、いつしか、自分たちの進化に伴って、生命維持に必要な部分に楽しみを見出すようになった──、セレーナが言う通り、興味深い進化です。良いところに気がつきましたね」
「は、はひぃぃぃ……! ありがとうございます、カマルティユ兄様ぁぁぁ!」
優しく目を細めたカミュに褒められたセレーナさんは、嬉しそうに頬を紅潮させる。その様子を見たノヴァユエは、ぷくっと両頬を膨らませた。
「セレーナずるいー! ボクなんてカマルティユ先輩から褒められたこと、一回も無いのに!」
「は、はわわっっっ、ごめんなさいノヴァユエ兄様ぁぁぁ」
「こら、ノヴァユエ。セレーナに余計な気を遣わせてはいけませんよ。私だって、一度くらいは貴方を褒めたことくらいあるでしょうに」
「無いよー! 無いもんー!」
ゴネ始めたノヴァユエを見てセレーナさんは焦った顔をしているし、僕はたぶん苦笑していると思う。深く溜息をついたカミュは、渋い面持ちながらも、ぼそりと呟いた。
「……まぁ、魔の者にしては珍しく、年少者であるセレーナや人間であるミカさんへは友好的かつ親身に接しているので、貴方のそんな姿は評価に値すると思いますよ」
「……ッ、カマルティユ先輩ー! やったー!」
ノヴァユエが嬉しそうに両腕を上げたところで、調理場の入口から咳払いが聞こえる。皆でそちらを振り向くと、そこには我らが魔王様とウサギ天使が立っていた。
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