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【第11話】秋と冬の狭間で屋台料理を君たちと
【11-12】
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「そなたに危険なことをさせるつもりは無い。だが、こちらが望まずとも、そうなってしまう可能性も考えられるし、それは不本意だ。とりあえず、何か不調があれば少しでも教えてほしい。……今はどうだ?」
「不調、ですか……?」
問われてみて、改めて自分の心身と向き合ってみる。少し緊張しているのは、この状況であれば普通のことだと思うから、不調にはならないはずだ。
他にいつもと違う部分があるとすれば……?
「不調と断言するほどではないんですけど、ほんの少しだけ息苦しさがあるかもしれないです。呼吸が出来ないとか、胸が痛いとか、そういうわけじゃないですし、自分ではそこまで気にならない程度ですから、心配はいらないと思いますけど……」
正直に話してみると、マティ様の表情に若干の緊張が走る。
「息苦しさ……、なるほど、魔力が無い影響が出てしまっているのかもしれないな」
「えっ……、魔力が無いと呼吸がしづらくなるなんてあるんですか?」
「絶対に、と言い切れるわけではないが、おそらくはそういった影響も出るはずだ。私も含めて、この世界では『魔力』を持っているのが普通であり、『魔法』を使うために必要な要素があらゆる部分に宿っている。その要素があることによって、魔力を持たない者がどういった影響を受けるのかは、不明な部分が多い。我々には必要な物が、そなたやカイのような体質の者には毒になる可能性も十分に考えられる」
「毒……」
毒、と聞くと、なんだか背筋が寒くなる。自分のことよりも、まだ赤ちゃんであるカイ様のことが心配になった。地球でも、赤ちゃんや小さい子どもが受けた悪いものが大人になった後にも響いたりするって、何かと問題になっていたと思う。それって、この星の──ディデーレの人たちだって同じはずだ。
「案ずるな。今は少し不調があるやもしれないが、無理をさせるつもりは無い。それに、普段のそなたはジルの庇護下にあり、僕として魔王に護られているはずだ。だからこそ、あの城にいる間は特に不調などは無いだろう?」
僕の表情が曇っているのを見て心配してくれたのか、マティ様が優しい言葉を掛けてくれる。それは有難いけれど、僕が心配なのは彼の弟のことだ。
「カイ様は大丈夫なんですか? 今の僕は大した不調を感じていないですけど、この息苦しさ……、もしかしたら赤ちゃんにとっては負担が大きかったりするかもしれません」
「ああ、カイのことを案じてくれていたのか。そなたは本当に優しいな。──カイは今、賢者……ドノヴァンではない他の者だが、賢者が常に傍で見守っており、細心の注意を払って保護魔法で覆っているのだ。だから、今は心配無い。……だが、カイは日々成長しており、そのうち一日の大半を寝て過ごす赤子ではなく、一人で無邪気に駆け回る子どもになるだろう。そのとき、魔力を持たない身体のカイ自身に保護魔法を掛け続けるのは、様々な面から見て危ない。だからこそ、こうしてミカに協力してもらっているのだ」
確かに、ジルもカミュも、僕そのものに魔法を掛けることは可能な限り避けている。おそらく、魔王と悪魔は人間の賢者以上の魔法能力を持っているはず。そんな彼らでさえ、かなり慎重に注意深く扱っているのだから、ただでさえ目が離せない幼児──しかも王子様を相手に賢者が保護魔法を駆使するのは厳しいのだろう。
「王都の中で僕が普通に過ごせる場所なら、カイ様も大丈夫な可能性が高いから、それを探ってみたい──ということなんですね」
「その通りだ。無論、ミカとカイの体質が全く同じではないだろうが、大いに参考になると思う。だからといって、ミカに無理をさせたいわけではない。何度も繰り返し言っているが、気になる不調があればすぐに言ってくれ」
「はい。ありがとうございます、マティ様。カイ様のためにも、気になることがあればすぐに言いますね」
「ああ、よろしく頼む。……さて。ここからは、少し楽しい話をしようか」
僕の頭をぽんぽんと撫でてから、マティ様は懐から折り畳んだ紙を取り出して、丁寧に開く。そこには何かの見取り図と、何かの短文をリスト化されているような文字が羅列されている。──僕がなんとなく読める文字だけ拾ってみると、飲食物の名前が書かれているように感じた。
「ミカはこの世界の文字や言葉の勉強をしているのだったな。どうだ? 何か読めそうな部分はあるか?」
「はい。えぇと……、お恥ずかしいくらいちょっとだけなんですけど、料理の名前が書かれているような気がします。ごはんっぽいものも、おやつっぽいものも、飲み物っぽいものも書かれているような……」
「その通りだ。異世界の言葉を学んで読み解くとは、素晴らしいな。偉いぞ、ミカ」
「いえ、そんな……」
優しい眼差しで大袈裟なくらい褒めてくれたマティ様は、続いて答え合わせの言葉をくれた。
「これは、感謝祭で出店している屋台と、そこで出している料理などの一覧だ。会場はかなり広いからな、ミカが気になる所を絞って回ったほうがいいだろう」
「不調、ですか……?」
問われてみて、改めて自分の心身と向き合ってみる。少し緊張しているのは、この状況であれば普通のことだと思うから、不調にはならないはずだ。
他にいつもと違う部分があるとすれば……?
「不調と断言するほどではないんですけど、ほんの少しだけ息苦しさがあるかもしれないです。呼吸が出来ないとか、胸が痛いとか、そういうわけじゃないですし、自分ではそこまで気にならない程度ですから、心配はいらないと思いますけど……」
正直に話してみると、マティ様の表情に若干の緊張が走る。
「息苦しさ……、なるほど、魔力が無い影響が出てしまっているのかもしれないな」
「えっ……、魔力が無いと呼吸がしづらくなるなんてあるんですか?」
「絶対に、と言い切れるわけではないが、おそらくはそういった影響も出るはずだ。私も含めて、この世界では『魔力』を持っているのが普通であり、『魔法』を使うために必要な要素があらゆる部分に宿っている。その要素があることによって、魔力を持たない者がどういった影響を受けるのかは、不明な部分が多い。我々には必要な物が、そなたやカイのような体質の者には毒になる可能性も十分に考えられる」
「毒……」
毒、と聞くと、なんだか背筋が寒くなる。自分のことよりも、まだ赤ちゃんであるカイ様のことが心配になった。地球でも、赤ちゃんや小さい子どもが受けた悪いものが大人になった後にも響いたりするって、何かと問題になっていたと思う。それって、この星の──ディデーレの人たちだって同じはずだ。
「案ずるな。今は少し不調があるやもしれないが、無理をさせるつもりは無い。それに、普段のそなたはジルの庇護下にあり、僕として魔王に護られているはずだ。だからこそ、あの城にいる間は特に不調などは無いだろう?」
僕の表情が曇っているのを見て心配してくれたのか、マティ様が優しい言葉を掛けてくれる。それは有難いけれど、僕が心配なのは彼の弟のことだ。
「カイ様は大丈夫なんですか? 今の僕は大した不調を感じていないですけど、この息苦しさ……、もしかしたら赤ちゃんにとっては負担が大きかったりするかもしれません」
「ああ、カイのことを案じてくれていたのか。そなたは本当に優しいな。──カイは今、賢者……ドノヴァンではない他の者だが、賢者が常に傍で見守っており、細心の注意を払って保護魔法で覆っているのだ。だから、今は心配無い。……だが、カイは日々成長しており、そのうち一日の大半を寝て過ごす赤子ではなく、一人で無邪気に駆け回る子どもになるだろう。そのとき、魔力を持たない身体のカイ自身に保護魔法を掛け続けるのは、様々な面から見て危ない。だからこそ、こうしてミカに協力してもらっているのだ」
確かに、ジルもカミュも、僕そのものに魔法を掛けることは可能な限り避けている。おそらく、魔王と悪魔は人間の賢者以上の魔法能力を持っているはず。そんな彼らでさえ、かなり慎重に注意深く扱っているのだから、ただでさえ目が離せない幼児──しかも王子様を相手に賢者が保護魔法を駆使するのは厳しいのだろう。
「王都の中で僕が普通に過ごせる場所なら、カイ様も大丈夫な可能性が高いから、それを探ってみたい──ということなんですね」
「その通りだ。無論、ミカとカイの体質が全く同じではないだろうが、大いに参考になると思う。だからといって、ミカに無理をさせたいわけではない。何度も繰り返し言っているが、気になる不調があればすぐに言ってくれ」
「はい。ありがとうございます、マティ様。カイ様のためにも、気になることがあればすぐに言いますね」
「ああ、よろしく頼む。……さて。ここからは、少し楽しい話をしようか」
僕の頭をぽんぽんと撫でてから、マティ様は懐から折り畳んだ紙を取り出して、丁寧に開く。そこには何かの見取り図と、何かの短文をリスト化されているような文字が羅列されている。──僕がなんとなく読める文字だけ拾ってみると、飲食物の名前が書かれているように感じた。
「ミカはこの世界の文字や言葉の勉強をしているのだったな。どうだ? 何か読めそうな部分はあるか?」
「はい。えぇと……、お恥ずかしいくらいちょっとだけなんですけど、料理の名前が書かれているような気がします。ごはんっぽいものも、おやつっぽいものも、飲み物っぽいものも書かれているような……」
「その通りだ。異世界の言葉を学んで読み解くとは、素晴らしいな。偉いぞ、ミカ」
「いえ、そんな……」
優しい眼差しで大袈裟なくらい褒めてくれたマティ様は、続いて答え合わせの言葉をくれた。
「これは、感謝祭で出店している屋台と、そこで出している料理などの一覧だ。会場はかなり広いからな、ミカが気になる所を絞って回ったほうがいいだろう」
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