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再びフォンデルク領の首都から王都へ

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 日々はサクサクっと進み、現在9/4。
 ちょくちょく調べて貰っている勇者の動向だが、どうやら修行では優秀な成績を収めているそうな。
 ゲームをやった事がある人が召喚されていたりして。
 まぁ、全く知らなくても、勇者は修行さえ素直に行えば、チート性能だ。
 なんせ、全部の属性の魔力を持っており訓練やその後の経験値次第ではあるが、習得した魔法は何の属性でも使える設定だったし、シルバリウスと同様魔力総量が伸び続けるのだ。
 まぁ、ゲームで勇者のレベルを上げたら全体的にステータスが上がっていくからね。それと同じ事がこの世界でも勇者の場合起こるんだと思う。
 鍛えたら鍛えるだけ性能が上がるとか羨ましいよね。
 因みに俺の魔力総量増加はこの間倒れた時に大幅に増加したのを最後に成長が止まったみたい。
 増加率が異常だったのもあり1ヶ月も寝ていたのかも。
 その魔力総量は魔力が多いと言われているエドガーの約7倍で化け物並みになっちゃいました(てへっ)
 流石に自分でも怖くて、誰かに聞かれるまでは言わない予定。
 今ならバジリスクなら補助媒体を使っても倒せる気がするよ。(補助媒体の設定が”その魔物に対して必要な魔力量を使用する”になっていた為、あの時補助媒体を使用していたら干からびてこの世にいなかったかな)
 
 勇者は王宮で保護されていた為、詳しい情報は得られなかったが、どうやらゲーム通り旅立ったらしい。
 引き続き可能な範囲で動向を調査してもらうが、こちらもひ弱な俺の体を考慮して早めに王都へ向かうのだ。
 どうせ王都へ向かう際に通るからという事で、一度フォンデルク領へ寄りしばらく滞在してから、王都へ向かう予定だ。
 今回は馬ではなく馬車で行く為、体への負担も少ないだろう。

 ……と、思っていたのだが、馬車も疲れるらしい。
 倒れたりはしなかったけど、無理したらヤバそうだなぁと思い、以前購入した家に着くと次の日までゆっくりした。

 ***

 今回の滞在も実家には戻らなかった。
 長男は未だ留学中だし、エドガーも領地の兵団やら、ダンジョン探索の方で忙しいらしく実家におらず、父親も同じく新規ダンジョンの話やら何やらで既に王都にいるらしいのだ。
 それに、多分前世庶民だったのだろう。
 ダンジョンに近いこじんまりとしたあの家が好きなのだ。
 そしてリハビリを兼ねて勿論ダンジョンにも潜ったよ。
 ダンジョン協会で会ったハルさんは元気そうだったけど、なんか顔が引きつっていたなぁ。
 補助媒体のメンテナンスもあったので、ダンジョンに潜ったのは3日間だけだったけど、ハルさんがやっぱり遠い目をしていたなぁ。
 そしておなじみダンジョン日誌。
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・9/9ボス部屋地下20階1回
 金貨73枚(いつの間にか成長していたようで、驚く程楽すぎてあまり戦った感じがしなかった)
・9/10ボス部屋地下30階2回
 白金貨3枚、金貨95枚、銀貨4枚(魔力総量が多くなったので全然魔力が減らない)
・9/11ボス部屋地下30階3回
 白金貨7枚、金貨2枚(スタンピートを経験したからか短く感じた。2人とも余裕だったけど、無理はしない感じにしておいた)
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 スタンピートを経験して、2人とも一皮向けた感じがした。
 長時間魔物と相対していたからね。俺自身もブランクはあったけど、戦い始めたらすぐに勘を取り戻せたよ。
 まぁ、俺の戦い方は体動かさないしね。
 そして、今回は3日間だけならと、魔石も全部交換してくれた。
 100年振りにスタンピートが発生して、未だダンジョンが見つからず、魔物も増え続けているから護身用の魔道具等の注文がひっきり無しなんだそう。
 このままでは魔石の高騰がはじまる可能性もあったから助かったと言われたよ。
 支払い担当の人は顔が真っ白になっていたけどね。

 それから王都を目指して、1週間。
 馬車は意外と進みが遅いのだ。
 王都に到着したのは9月下旬になってしまった。
 時間があれば王都のダンジョンにも行ってみたかったけど、10/1に行われる式典準備(衣装とか、リハーサルとか)が意外に忙しく、ダンジョンは無理だった。
 ちょこっと、シルバリウスとスイーツ店には行ったけどもね!

 因みにここでやっと父親と会ったよ!
 俺の顔を見た途端、強面のまま涙を流す父親にちょっと驚いたけど、”大きくなったな。今まで済まなかった”と”これからはリューイの気持ちを必ず聞く、リューイの願いは叶えたいと思う”と言うので、これは好機とその場でシルバリウスを紹介したよ。勿論伴侶としてね。
 愕然とした顔をしていたけど、助けてくれた人がシルバリウスでシルバリウスが居なければ死んでいた事を話せば、泣きながら認めてくれたよ。
 何の涙かは分からないけど、エドガーより潔くて良い。それに、突然紹介したから直ぐには認められなくてもしょうがないかなと思っていたけど、やっぱり家族に認められたのは嬉しかったね。
 まぁ、一緒に住んでいるし、スタンピートの功労者でもあるからそれなりに素性は調べていただろうしね。
 シルバリウスもいきなりの紹介で認められて、新しい家族に受け入れられるという事で、驚いていたけどここ最近で一番嬉しそうだったよ。
 目をパチクリさせる姿も可愛かったし、これで闇落ちみたいな目の暗さが消えると良いなと思う。
 そして、一度認めてからの父親の行動は早かった。
 高位貴族の結婚には陛下の許可が必要だが、婚約までは教会の祝福さえ貰えば出来ると言う事で、素早く書類を整え俺達は婚約を果たした。
 父親曰く、シルバリウスと俺どちらにも横やりを入れにくくする為らしい。
 流石、宰相に欲しいと言われ続けるだけある手腕の持ち主だね。
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