病弱モブは推しのサポキャラを助ける為に、お金も積むし、ゲームのシナリオも改変します

あやまみりぃ

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戦闘終了

 前世からの願いが叶い感動で泣きそうになりながらも、ドラゴンが本当に死んだのか、まだちゃんと確認出来ていない。
 シルバリウスがそっとドラゴンに近付き、他の仲間達も警戒を緩めずドラゴンの様子をうかがう。
 まだ確認している最中なのに、案の定ローワン王国の貴族が歓声をあげながら来ようとしているのをスチュアートは必死に止めつつ、お花摘みに行っていた? ローワン王国国王も所定の位置に戻るように誘導している。

 だから誰のせいでもないのだ。

 自分も使った手だから、人にとやかくは言えない。

 目的を達成した時、人は油断し、無防備になる。

 俺もドラゴンへは注意を向けていたのだが……。

 ――ドンッ

 腰に衝撃。当たった所がすぐに熱くなる。

 振り向くと、至近距離にリョウコが居た。

「あんたはモブでしょ? なんでモブがシルを助ける事が出来るのよ。私は呼ばれるのをずっと待っていたのに。最後は主役の私でしょ? さっさと退場しなさいよ」

 リョウコは腰に刺さっていた刃物を一度抜きすぐさまもう一度違う箇所を刺してから抜き一歩下がった。
 俺は支えを失いズルズル座り込む。
 ……あまりに予想外のことが起きると、フリーズしちゃうんだね。
 リョウコの表情は狂気に彩られ、とても怖い。
 リョウコが手にしていたのは短剣サイズに縮んでしまった聖剣だった。
 推測だが、今リョウコが扱える魔力量に聖剣が変化したのかもしれない。
 
 異変に気がついたスチュアートが飛んできてリョウコを払い除け、俺を横たえさせすぐに治癒を開始する。
 傷は2箇所だが短剣だった為とても小さい。
 本来、スチュアートの腕なら直ぐに治せるだろう傷だ。
「な、何故……」
 スチュアートが悲痛な声を上げる。
 ドラゴンの死を確認していたメンバー達が寄ってくる。
 俺の傷は未だに塞がらず、血が止まっていなかった。
「ははは、あれは曲がりなりにも聖剣だからねぇ。自己治癒や治癒魔法を阻害する働きがある剣なんだよね。まぁ、全く効かないわけじゃないよ」
 話を聞いたカメルも浄化をしながらの治癒に加わる。
 ……確かに傷の治りを遅くさせるって呪いみたいなものか。
 シルバリウスもやっと近くに寄ってきたので手を差し出すと直ぐに気がついて手を握ってくれる。
 ……あぁ守れたんだなぁと心が温かい。
 ここへ来てのリョウコのやらかしで、ローワン王国の面々は阿鼻叫喚のようだが、不思議と俺の周りは穏やかな時間となっているように見える。
「魔力1割は残したんだけどねぇ。そういえば、リョウコの武装解除するの忘れてたね」
「リューイ大丈夫だから、今は喋らなくて良いから」
 シルバリウスが泣きそうになりながら言う。
 無表情よりは良いけど、何だか悲しい顔をさせてばかりいる気がする。
 
 傷は小さいが塞がりかけてはまた開きと言うのを繰り返しているようで、血が止まらない。
 
 貧血なのか、疲れなのかクラクラしてきた。
 
 ……俺は死ぬのだろうか?

「諦めるな! これから一緒に楽しく暮らすだろう? 最後まで諦めないでくれ」
 シルバリウスが俺の手を必死に握り声をかけ続ける。

 ……そんなに表情に出ていたんだろうか?
 
 走馬灯のようにシルバリウスと出会ってからの過去を思い出す。
 生シルバリウスとの出会い
 治療という名の初キッス
 親身に看病してくれたこと
 リハビリにも付き合ってくれた
 抱きかかえられてのダンジョン探索
 何度もトライしたダンジョンボス戦
 初夜
 素敵なプロポーズ
 指輪交換にピアス交換

 ここ半年は会えなかったし昏い表情をさせていたけど、今俺を見るシルバリウスの首にはゲームで見た赤銅色の首輪はなく、火傷も怪我もしていない。

 ……そうだ俺の願いは叶ったんだ。

「ヴィーが、生きてて、嬉しい」

 前世ではシルバリウスの結末が酷すぎて何度もやったゲーム。
 ゲームでは何度やっても方法を変えても、冤罪をはらす事も死ぬ運命を変える事も出来なかった。

 それが、今世では冤罪をはらせた。
 冗談という形を取ったが、ゲームをやっている時からずっと言いたかったことは言えた。
 そして、あの時何故シルバリウスが止まってしまったのか強制力なのか不明だが、死への運命も覆せた。
 前世からの願いが叶ったのだ。
 あとちょっと願いを増やせるのであれば

 ……シルバリウスの笑顔がみたい。

「笑って」
 
 シルバリウスがポロポロ涙を零す。
「無理だ。置いていかないでくれ」

 ……悲しそうな表情。

 そんな顔をさせたいわけではないのだが。
 こればかりはなんとも言えない。

 シルバリウスの泣き顔も素敵だ。
 喋るのが辛いがじっと見つめていると察してくれたようで、シルバリウスの顔が近付いてきた。
 唇が触れ合う。
 シルバリウスの唇はとても熱くて、少ししょっぱかった。

 ……幸せだ。

 目蓋が自然と閉じていき、周りが慌てふためいているようだが、最後まで硬く握られたシルバリウスの手の温もりはとても安心できるもので、心は温かいまま闇に包まれた。

 ――何処までもリューイと共に。ずっと側に居る。
 そんなシルバリウスの声が聞こえた気がした。
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