セピア色の秘め事

樹木緑

文字の大きさ
38 / 52

第38話 ある日の陽向

しおりを挟む
「あれ~? サム!

サムもお買い物?!」

日用品を買い込みにドラッグストアに寄ったら、
後ろから陽向が声をかけて来た。

「ビックリした~

君って神出鬼没だね~

誰かと思ったよ!」

「ハハハこの辺りは僕の庭だからね!

所で今日はスティーブと一緒じゃないの?」

あれからスティーブは僕の所に泊っている。

それはトムの要求によるものだ。

暫くの間、スティーブの事を監視したいみたいだ。

「今日スティーブは日本語のクラスに行ってる」

「へ~ そうなんだ!

結局居着いちゃったんだね~」

「うん、でも研究所に帰る様に説得してるんだ。

全くあんな置き手紙一つで家で少年みたいに出てくるなんて……

それより、陽向もお買い物?

今日は光と一緒じゃないの?」

キョロキョロと辺りを見回したけど、
何時も影からヒョイと出てくる光が今日は見当たらない。

「そうなんだよね~

今日は急に茉莉花さんに呼び出されて実家へ行ってるんだ」

僕にとっては、あまり一人でいる所を見ない陽向だけにちょっと違和感を感じた。

「陽向は薬局へは何をしに?

やっぱりどこか具合が悪いとか?!」

前には体調は万全と聞いていたけど、
やっぱり前兆が?と少し浮足立った。

陽向は少し辺りをキョロキョロとすると、

「僕は今日はちょっとお薬買いに……」

とゴニョゴニョと言い始めた。

「お薬? 光の?」

「違う、違う、僕の!

実はさ、大きい声では言えないんだけどさ……」

そう言って陽向が耳打ちして来た。

「僕さ、今まで便秘した事ないんだけどさ、
最近お腹が張ってさ、
ちょっとボコボコしてるんだよね。

ほら、恥ずかしいけど、
お腹もぽっこりしちゃって……

実を言うとさ、体重もちょっと増えちゃってさ……

光にバレる前に便秘治しとかなきゃって思ってさ~」

と来たから僕は腰が抜けそうになった。

「あ~っと……それ、光に言ったほうがいいよ?」

そう言うと、

「え~ だってさ、恥ずかしいじゃん?」

と柄にもなく、腰をクネクネとさせていた。

だから僕は慌てて光にメッセージを打った。

“あのさ、今ドラッグストアに居るんだけど、
陽向と会ってさ、便秘薬買いに来てるって言ってたよ?

自分の事、便秘中だと思っているらしい……

どうする?”

そう送信すると、
秒の速さで返事が返って来た。

“すまん。もう医者へ連れて行くわ。

悪いが、引き止めておいてくれるか?”

だから

“勿論だよ。

あの、僕も病院までついて行ってもいい?

ずっと気になってたんだ。

邪魔はしないから!”

そう尋ねると、

“ああ、構わないさ。

もうそっちに向かってるから、
一階にあるスパイラルっていうサテンで待っててくれるか?”

と返事が来たので、OKと返事を返しておいた。

「ねえ陽向?

せっかくだから、一階にあるサテンでお茶でもしない?」

そう尋ねたら、

「良いね、良いね!

僕、少し疲れたから甘いものが食べたかったんだよ~

喉も乾いてたしね!」

と来たから、

「じゃあ、行こう、行こう!」

と言う事になって、
僕たちは一階にあるサテンへと移動した。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

生意気Ωは運命を信じない

羊野迷路
BL
小学生の時からかっていた同級生と、進学校(自称)である翠鳳高校で再会する。 再会した元同級生はαとなっており、美しさと男らしさを兼ね備えた極上の美形へと育っていた。 *のある話は背後注意かもしれません。 独自設定ありなので1話目のオメガバースの設定を読んでから進んでいただけると理解しやすいかと思います。 読むのが面倒という方は、 1、Ωは劣っているわけではない 2、αかΩかは2つの数値によりβから分かれる 3、Ωは高校生以上に発覚する事が多い この3つを覚えておくと、ここでは大体大丈夫だと思われます。 独自設定部分は少しいじる事があるかもしれませんが、楽しんで頂けると幸いです。 追記 受けと攻めがくっつくのはまだ先になりますので、まったりお待ちください。

鳥籠の夢

hina
BL
広大な帝国の属国になった小国の第七王子は帝国の若き皇帝に輿入れすることになる。

運命よりも先に、愛してしまった

AzureHaru
BL
幼馴染で番同士の受けと攻め。2人は運命の番ではなかったが、相思相愛だった。そんな時、攻めに運命の番が現れる。それを知った受けは身籠もっていたが、運命の番同士の子供の方が優秀な者が生まれることも知っており、身を引く事を決め姿を消す。 しかし、攻めと運命の番の相手にはそれぞれに別の愛する人がいる事をしり、 2人は運命の番としてではなく、友人として付き合っていけたらと話し合ってわかれた。 その後、攻めは受けが勘違いしていなくなってしまったことを両親達から聞かされるのであった。

逃げた弟のかわりに溺愛アルファに差し出されました。初夜で抱かれたら身代わりがばれてしまいます💦

雪代鞠絵/15分で萌えるBL小説
BL
隣国の国王キリアン(アルファ)に嫁がされたオメガの王子リュカ。 しかし実は、結婚から逃げ出した双子の弟セラの身代わりなのです… 本当の花嫁じゃないとばれたら大変! だから何としても初夜は回避しなければと思うのですが、 だんだんキリアンに惹かれてしまい、苦しくなる…という お話です。よろしくお願いします<(_ _)>

流れる星、どうかお願い

ハル
BL
羽水 結弦(うすい ゆずる) オメガで高校中退の彼は国内の財閥の一つ、羽水本家の次男、羽水要と番になって約8年 高層マンションに住み、気兼ねなくスーパーで買い物をして好きな料理を食べられる。同じ性の人からすれば恵まれた生活をしている彼 そんな彼が夜、空を眺めて流れ星に祈る願いはただ一つ ”要が幸せになりますように” オメガバースの世界を舞台にしたアルファ×オメガ 王道な関係の二人が織りなすラブストーリーをお楽しみに! 一応、更新していきますが、修正が入ることは多いので ちょっと読みづらくなったら申し訳ないですが お付き合いください!

病弱の花

雨水林檎
BL
痩せた身体の病弱な青年遠野空音は資産家の男、藤篠清月に望まれて単身東京に向かうことになる。清月は彼をぜひ跡継ぎにしたいのだと言う。明らかに怪しい話に乗ったのは空音が引き取られた遠縁の家に住んでいたからだった。できそこないとも言えるほど、寝込んでばかりいる空音を彼らは厄介払いしたのだ。そして空音は清月の家で同居生活を始めることになる。そんな空音の願いは一つ、誰よりも痩せていることだった。誰もが眉をひそめるようなそんな願いを、清月は何故か肯定する……。

ただ愛されたいと願う

藤雪たすく
BL
自分の居場所を求めながら、劣等感に苛まれているオメガの清末 海里。 やっと側にいたいと思える人を見つけたけれど、その人は……

処理中です...