セピア色の秘め事

樹木緑

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第50話 ショウウィンドウに映る僕達は

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仁と手を繋ぎ、
今来た道を戻りながら何気なくショウウィンドウに映った僕たちを見て
少しの錯覚に囚われギョッとして立ち止まった。

そこに映った僕たちはあの写真の中そのままの

“5歳のジュン君”

と手を繋いだ11歳の僕だった。

5歳のジュン君に手を引かれた僕は同じように僕の方を見ると、
ニコッと僕に微笑んでジュン君の方を向き直した。

僕が目をパチクリとしてその行方を見ていると、
11歳の僕はチラッと僕の方を見ると、
ジュン君にコソッと何かを言ってジュン君がコクリと頷くと、
ジュン君に手を引かれたまま駆け出していった。

唖然としてそのゆくを見守っていた僕は
なんとも言えない感情に襲われた。

“これってどう言う意味?!

日本を離れなければいけないかも知れない今になって何故?!

これって、ジュン君に会えるって言う意味?!

それとも、探すことを諦めるなって事?!

日本を離れるなって言いてるの?!”

そう言う思いがグルグルと頭の中をスピンしていたけど、
フッとした思いが急に頭の中を過って凄く切なくなった。

“あの頃の僕は……ちゃんとジュン君に会えたんだ……”

そう思えただけで涙が出そうになった。

少し汗ばんできた仁と繋いだ手をじっと見た後僕は
仁の顔を見上げた。

片手で携帯を必死にいじっている仁は少し汗ばんで
百面相のように顔をしかめたり、眉を顰めたり、
何かをハッと思ったように忙しなくカタカタとやっている。

仁を見つめていると、あの時の笑顔以来
どうしても仁とジュン君が重なる。

“まさかね……”

そう思って、カタカタと携帯をいじっている仁をよそに、
またショウウィンドウを見たけど、
そこに映るのは28歳の僕と手を繋ぐ22歳の仁だった。

僕はショウウィンドウを見つめた。

そしてまた仁の顔を見つめた。

そんな僕の行動も気付かづに、
仁は未だに何やら忙しなくやっている。

”そう言えば、仁とジュン君は同じ様な年頃だな……“

そんな事を考えていると、

「どうなってるんだ?!

光にも携帯が繋がらないぞ?

陽向にも掛けたけど、
ヤツにも通じない……

もしかしら俺たちの携帯が……な訳ないよな?!

おかしいなぁ……」

そうボヤく仁に急に大声をだして、

「あー! 一連の騒ぎで忘れてたけど、
光と陽向は今病院だよ!」

と、今朝の騒ぎのことをすっかりと忘れてしまっていた事を思い出した。

「は? 病院?

何でサムがそんな事を知ってるんだよ?!」

眉を顰めながら尋ねる仁に、

「実を言うとね、カクカク、ジカジカで……」

と今朝起きた事を話してあげた。

それには流石の仁も驚いていた。
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