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第2章【鳥と話す少年】
【閻魔の息子】28
しおりを挟む「こちらのワンちゃんは?」
「あ、こいつこの弁当がありますんで。ほら、お・あ・が・り」
“カブッ”
おもむろに弁当じゃなく輪廻の手に噛みついた。
「!?な、なんで噛むんだ!痛ぇー!」
「ワンちゃんだって冷めたお弁当より、温かい物の方がいいわよね」
「ワン!」
「ひぃ~痛い。このっにゃろー」
話が尽きぬまま、あっという間に時間が過ぎ、慶太の祖父はとても喜んでいた。
「ご馳走様でした」
「慎二さん。また、いらして下さい慶太も喜びます」
「ええ、また来ます」
祖父とお手伝いさんに見送られ屋敷を出た。
「優しい人達ね」
「ああ、そうだな」
裏通りを出て、暫くバイクを走らすとまた人だかりに遭遇した。バイクを降りて様子を伺うと。
「何かあったんですか?」
「ああ、事故だとよ。暴走族がバイクで転倒したんだと。一人が死んでもう一人が重傷らしい。あそこの一人は何とか巻き込まれないで助かったみたいだがな」
警察官に事情徴収を受けている男を見ると。
「!あいつ…」
「お兄ちゃん、あの人」
「ああ、わかってる」
説明している声が聞こえる。
「本当なんだってば、ヒトシのメットにカラスが飛びついて、それをはらおうとして、あいつバランス崩しちまって」
「なんかの見間違いじゃないのか?こんな夜にカラスなんて。スピード出し過ぎて操作を誤ったんだろ?詳しい事は署で聞こう」
「信じてくれよ!」
警察に連行されていく暴走族。
「…」
「罰が当たったんだわ。でも命までは取らなくても…」
「悪い、裕子。先にタクシーで帰っててくれ、用事思い出しちまった」
「うん…わかったけど、お兄ちゃんも気をつけてね」
「ああ、大丈夫」
「沙羅ちゃんも?」
「意外と鼻が利くんだよこいつ。いくぞ沙羅」
「ワン!」
慌てて屋敷の方へ戻る。
「どう思う、沙羅」
「はい、あの話間違いなく…」
「あのカラスめ」
バイクを小路に置き、張り込んでは見たものの、一向にカラスが現れる形跡はなかった。
「リン様、どうするつもりで?」
「止めるんだ。憎しみの果てに人を殺めるなんて間違ってる」
「残された人の寂しさを分かっているのは当の本人なのに」
「ああ、憎しみからは何も生まれない。だから止めるんだ」
続く
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