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* 死神生活三年目&more *
第253話 死神ちゃんと金の亡者④
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死神ちゃんはダンジョンに降りるなりげっそりと肩を落とした。何故ならそこは〈小さなピラミッド〉の中だったからだ。死神ちゃんはため息をつきながら、腕輪を操作して地図を確認した。そしてすぐ近くに〈担当のパーティー〉の存在を確認すると、背中を丸めてとぼとぼと現場へ向かった。宝物庫らしき部屋へと入ってみると、中では男がうずくまっていた。
彼は血走った目で金貨や宝石を見定めていた。そして「これじゃない」「これも違う」と呟きながら〈手にした宝飾品が、擬態を解いて噛み付こうとする前に短剣を突き刺す〉ということを繰り返していた。死神ちゃんは苦い顔を浮かべると、思わずポツリと呟いた。
「お前、それ、怖いよ」
「ハッ! しまった! ついうっかり、目の前の〈金目のもの〉にうつつを抜かしてしまった!」
男――三度の飯よりもお金が好きな金の亡者(彼の職場の女性陣は、影で彼のことをピカリンと呼んでいる)は死神ちゃんに短剣を向け、ブンブンと振りながら「来るな!」と抵抗した。死神ちゃんが顔色ひとつ変えることなく彼へと近づいていくと、彼は顔を青ざめさせて大声で叫んだ。
「ぎゃあああああ! 僕の腕が! 幼女を貫通しているー!?」
「物理攻撃は効かないからなあ。――はい、とり憑き完了。お疲れ様でした」
死神ちゃんがピカリンの腕を脇へ押しのけるようにして体から外すと、彼はがっくりとうなだれて悔しそうに歯ぎしりした。
「どうしてまた、お前は僕の野望の前に立ち塞がるんだよ……!」
「だから、そういうお仕事なんだよ。どうぞ思う存分、心砕かれて、ついでに物理的にも砕かれてサラサラと散ってください」
「いいや、僕はまだ砕かれて散るわけにはいかない! ミイラを砕いてサラサラにするまでは! だから僕は、まだ死なないし帰らない!」
「なんだよ、お前もかよ。最近、多いなあ」
死神ちゃんがきょとんとした表情を浮かべると、ピカリンは死神ちゃんに勢い良く掴みかかった。そして彼は〈自分以外の冒険者がミイラを求めてやって来た理由〉を問い詰めたが、死神ちゃんは適当にはぐらかした。死神ちゃんはよれた衣服を正しながら、迷惑そうに〈彼の目的〉を尋ねた。すると彼はしょんぼりと肩を落としてボソボソと言った。
「新年度になって、後輩ができたんだ。でも、五月病にかかって休みだしたと思ったら、そのまま会社を辞めてしまったんだ」
「根性のないやつだなあ。それとも、お前に嫌気が差したのかもな」
「手塩にかけて育てた〈僕の奴隷〉を、わずか一ヶ月足らずで失うことになるとは思いもしなかったよ。僕は社長の息子だっていうのに、女性陣は誰も僕に媚を売ってこないし。週末冒険者をしているっていうあの子は、一度もパーティーを組んでくれないし。組んでくれたら、僕の〈冒険者としてのレベル〉を上げるためや、ビジネスの相棒として馬車馬のように働かせるのに。でもそれは無理そうだし、無理強いして会社を辞められたら、彼女は僕が入社する前からいる人材なだけに、さすがに父さんに叱られるし。だから、何も知らない新人を下僕として調教していたのに」
「ああうん、やっぱり、お前に嫌気が差したんだな」
呆れ返った死神ちゃんが鼻を鳴らすと、ピカリンは〈理解しかねる〉と言いたげに眉根を寄せた。そして彼はニヤリと笑うと、もったいぶるかのように「だから、ミイラを探しに来たんだよ」と言った。死神ちゃんが怪訝そうに顔をしかめると、周りで誰かが聞き耳を立てているということがないにもかかわらず、彼は声を潜めた。
何でも、あるミイラを灰にして、それを振りまくと人を自在に操ることができるのだそうだ。彼はその灰を手に入れて〈無給で働く言いなり下僕〉を手に入れたいのだとか。
「僕はまだ、〈動く鎧〉や〈動く絵画〉を運び出して売りさばくビジネスを諦めてはいないんだ。それに、他にも〈元手タダでがっぽり儲かりそうなチャンス〉がこのダンジョンには転がっていると思うんだ。僕は何としてでも、可能な限り楽に、そしてお金をかけずに懐を潤したいんだよ! だから、ゾンパが! ゾンビパウダーが、僕は欲しいんだ!」
「だから、その〈整いようのない状況〉を整えるために無駄な時間と労力を使う暇があるなら、親の会社できちんと働けよ」
「前にも言ったけど、親の会社はもう〈僕が何もしなくても勝手にお金が入ってくる状況〉が出来上がっているだろう? だから、そこに労力を使うのは馬鹿げてるとは思わないか?」
「お前、本当に寄生虫だよな。いい加減、親も〈社員の幸福〉のためにお前を駆除したらいいだろうに」
「金の亡者の鑑だろう?」
得意げに笑うピカリンに、死神ちゃんは再び小さく鼻を鳴らした。
ピカリンは〈姿くらまし〉を駆使してピラミッドの中を彷徨い歩いた。途中、彼は白いシーツの塊に心臓を狙われたり、巨大なフンコロガシにどこかへと連れ去られそうになったり、鼻の穴に熱々に熱した鉄の棒を突っ込まれそうになった。しかし彼は既のところでそれらを回避し、少しずつ奥へ奥へと進んでいった。
少しして、いかにも権力者が永遠の眠りについていそうな部屋へと辿り着いた。彼の第六感〈お金センサー〉の威力は凄まじく正確なのか、彼にとっては未開の地であるにも関わらず、寄り道することなくすんなりと到着した。そして彼は部屋の中へと足を踏み入れるなり、目の色を変えて奥の祭壇へと駆け寄っていった。そこには、黄金や宝石を散りばめたいかにもな棺が置かれていた。
「これはすごい! どうにかして、まるごと持って帰ることはできないかなあ!? さすがに僕一人じゃあ運べないなあ。――おい、お前。大変不本意だが、分け前はくれてやる。だから、手伝えよ」
「前にも言ったと思うが、俺は冒険者を手伝わない。ていうか、お前が運べないものを、幼女が運べるわけがないだろう」
「ああもう、本当に使えないやつだな! 口ばっかり達者でさ! じゃあ、いいよ。宝石だけでも引き剥がして、出来たら棺の一部も砕いて……」
彼はおもむろにノミとトンカチを取り出すと、棺の一部を破壊できないかと画策しだした。死神ちゃんはその光景をぼんやりと眺めながら「まるで盗掘団だな」と心中で吐き捨てた。
彼はウンウンと唸り声を上げながら必死に作業を行っていた。するとガコンという音が部屋に響き、彼の「あっ」という間抜けな声がそれに追随した。どうやら宝石が外れたというわけではなく、何かしでかしたらしい。直後、棺から禍々しい黒い靄が噴出し、それは大量のサソリへと姿を変えた。ピカリンは絶叫ともに大量のサソリに飲み込まれ、そのまま灰となり散っていった。
死神ちゃんが怖気立つほどの大量のサソリに悪寒を感じていると、ゴゴゴとという地響きを伴って棺の蓋が開いた。
「我の眠りを妨げるのは、誰ぞ」
「あの、もう、灰となって消えましたけど」
中から出てきた〈いかにも権力者〉な風貌のミイラに、死神ちゃんは申し訳なさそうに答えた。すると、ミイラは先ほどとは異なる聞き馴染みのある電子的な声で得意げに言った。
「とてもB級な演出で、いいだろう?」
そのまま、ミイラは棺の中に戻っていった。死神ちゃんはミイラの問いかけに答えることなく、その場から姿を消した。
**********
「まさか、レプリカからビッド所長の声が流れてくるとは思いもしなかった」
死神ちゃんは待機室に戻ってくるなり、呟くようにボソボソとそう言って疲れ切ったと言わんばかりに肩を落とした。すると、マッコイが苦笑いを浮かべて遠慮がちに言った。
「ビット所長は〈内外〉どちらの監視モニターともリンクできて、薫ちゃんのことを結構観察しているそうだから」
「ああ、なんかそんなこと、前に言っていたな」
「それで〈今日の薫ちゃん〉の放送まで待てない所員たちが『所長だけ薫ちゃんウォッチングするのはずるい』と言い出したらしくて、今、〈あろけーしょんせんたー〉では死神課の管理用モニターと同じ映像を流しているそうなのよ」
「はあ!?」
「だから今、きっと、〈せんたー〉では大盛り上がりでしょうね」
死神ちゃんは、開いた口が塞がらなかった。あの金色ボディについては初めて接したときから〈直系の上司だったら面倒くさいだろうな〉と思っていたが、やはり直系の上司でなくてよかったと死神ちゃんは心の底から思った。
マッコイは気を取り直すかのようにニッコリと笑うと、死神ちゃんに「デバッグセットは持ってる?」と聞いてきた。死神ちゃんが不思議そうに首を傾げると、彼は続けて言った。
「今日も勤務が明けたら、うちの寮の〈お料理クラブ〉のメンバーで少しだけお肉の調達をしに行く約束をしていてね。パーティーにあとひと枠だけ空きがあるから、よかったら来る? 冒険者としての数値的な経験値、上げておいて損はないし」
「でも、この前のピエロ狩りでコインすら入手できなかったせいで、弾薬の補充もままならないんだよ」
「別にいいわよ、何もしないで座っているだけでも。空き時間があればお肉を調達しにみんなで行っているんだけれど、おかげでコツが掴めてきて、今ではもう秒で溶けるから」
「……俺、第三死神課の所属で本当に良かったよ。上長も同僚も、みんな優しいし。おかげで、毎日タダで上質な肉が食えるし。週末は仲良くみんなで焼肉パーティーとか、楽しいことこの上ないし。肉パ、楽しいよな、肉パ」
死神ちゃんはピカリンやビットが上司ではないということを、同僚や上司に恵まれているということを改めて感謝するとともに、グウとお腹を鳴らしたのだった。
――――なお、いまだソロ探索中の住職も定期的に〈お料理クラブ〉のメンバーと一緒に、ハツ集めをさせてもらっているという。むしろ、彼は〈お料理クラブ〉のメンバーだという。おみつさんに格好いいところを見せるべく、料理男子修行をしているらしいDEATH。
彼は血走った目で金貨や宝石を見定めていた。そして「これじゃない」「これも違う」と呟きながら〈手にした宝飾品が、擬態を解いて噛み付こうとする前に短剣を突き刺す〉ということを繰り返していた。死神ちゃんは苦い顔を浮かべると、思わずポツリと呟いた。
「お前、それ、怖いよ」
「ハッ! しまった! ついうっかり、目の前の〈金目のもの〉にうつつを抜かしてしまった!」
男――三度の飯よりもお金が好きな金の亡者(彼の職場の女性陣は、影で彼のことをピカリンと呼んでいる)は死神ちゃんに短剣を向け、ブンブンと振りながら「来るな!」と抵抗した。死神ちゃんが顔色ひとつ変えることなく彼へと近づいていくと、彼は顔を青ざめさせて大声で叫んだ。
「ぎゃあああああ! 僕の腕が! 幼女を貫通しているー!?」
「物理攻撃は効かないからなあ。――はい、とり憑き完了。お疲れ様でした」
死神ちゃんがピカリンの腕を脇へ押しのけるようにして体から外すと、彼はがっくりとうなだれて悔しそうに歯ぎしりした。
「どうしてまた、お前は僕の野望の前に立ち塞がるんだよ……!」
「だから、そういうお仕事なんだよ。どうぞ思う存分、心砕かれて、ついでに物理的にも砕かれてサラサラと散ってください」
「いいや、僕はまだ砕かれて散るわけにはいかない! ミイラを砕いてサラサラにするまでは! だから僕は、まだ死なないし帰らない!」
「なんだよ、お前もかよ。最近、多いなあ」
死神ちゃんがきょとんとした表情を浮かべると、ピカリンは死神ちゃんに勢い良く掴みかかった。そして彼は〈自分以外の冒険者がミイラを求めてやって来た理由〉を問い詰めたが、死神ちゃんは適当にはぐらかした。死神ちゃんはよれた衣服を正しながら、迷惑そうに〈彼の目的〉を尋ねた。すると彼はしょんぼりと肩を落としてボソボソと言った。
「新年度になって、後輩ができたんだ。でも、五月病にかかって休みだしたと思ったら、そのまま会社を辞めてしまったんだ」
「根性のないやつだなあ。それとも、お前に嫌気が差したのかもな」
「手塩にかけて育てた〈僕の奴隷〉を、わずか一ヶ月足らずで失うことになるとは思いもしなかったよ。僕は社長の息子だっていうのに、女性陣は誰も僕に媚を売ってこないし。週末冒険者をしているっていうあの子は、一度もパーティーを組んでくれないし。組んでくれたら、僕の〈冒険者としてのレベル〉を上げるためや、ビジネスの相棒として馬車馬のように働かせるのに。でもそれは無理そうだし、無理強いして会社を辞められたら、彼女は僕が入社する前からいる人材なだけに、さすがに父さんに叱られるし。だから、何も知らない新人を下僕として調教していたのに」
「ああうん、やっぱり、お前に嫌気が差したんだな」
呆れ返った死神ちゃんが鼻を鳴らすと、ピカリンは〈理解しかねる〉と言いたげに眉根を寄せた。そして彼はニヤリと笑うと、もったいぶるかのように「だから、ミイラを探しに来たんだよ」と言った。死神ちゃんが怪訝そうに顔をしかめると、周りで誰かが聞き耳を立てているということがないにもかかわらず、彼は声を潜めた。
何でも、あるミイラを灰にして、それを振りまくと人を自在に操ることができるのだそうだ。彼はその灰を手に入れて〈無給で働く言いなり下僕〉を手に入れたいのだとか。
「僕はまだ、〈動く鎧〉や〈動く絵画〉を運び出して売りさばくビジネスを諦めてはいないんだ。それに、他にも〈元手タダでがっぽり儲かりそうなチャンス〉がこのダンジョンには転がっていると思うんだ。僕は何としてでも、可能な限り楽に、そしてお金をかけずに懐を潤したいんだよ! だから、ゾンパが! ゾンビパウダーが、僕は欲しいんだ!」
「だから、その〈整いようのない状況〉を整えるために無駄な時間と労力を使う暇があるなら、親の会社できちんと働けよ」
「前にも言ったけど、親の会社はもう〈僕が何もしなくても勝手にお金が入ってくる状況〉が出来上がっているだろう? だから、そこに労力を使うのは馬鹿げてるとは思わないか?」
「お前、本当に寄生虫だよな。いい加減、親も〈社員の幸福〉のためにお前を駆除したらいいだろうに」
「金の亡者の鑑だろう?」
得意げに笑うピカリンに、死神ちゃんは再び小さく鼻を鳴らした。
ピカリンは〈姿くらまし〉を駆使してピラミッドの中を彷徨い歩いた。途中、彼は白いシーツの塊に心臓を狙われたり、巨大なフンコロガシにどこかへと連れ去られそうになったり、鼻の穴に熱々に熱した鉄の棒を突っ込まれそうになった。しかし彼は既のところでそれらを回避し、少しずつ奥へ奥へと進んでいった。
少しして、いかにも権力者が永遠の眠りについていそうな部屋へと辿り着いた。彼の第六感〈お金センサー〉の威力は凄まじく正確なのか、彼にとっては未開の地であるにも関わらず、寄り道することなくすんなりと到着した。そして彼は部屋の中へと足を踏み入れるなり、目の色を変えて奥の祭壇へと駆け寄っていった。そこには、黄金や宝石を散りばめたいかにもな棺が置かれていた。
「これはすごい! どうにかして、まるごと持って帰ることはできないかなあ!? さすがに僕一人じゃあ運べないなあ。――おい、お前。大変不本意だが、分け前はくれてやる。だから、手伝えよ」
「前にも言ったと思うが、俺は冒険者を手伝わない。ていうか、お前が運べないものを、幼女が運べるわけがないだろう」
「ああもう、本当に使えないやつだな! 口ばっかり達者でさ! じゃあ、いいよ。宝石だけでも引き剥がして、出来たら棺の一部も砕いて……」
彼はおもむろにノミとトンカチを取り出すと、棺の一部を破壊できないかと画策しだした。死神ちゃんはその光景をぼんやりと眺めながら「まるで盗掘団だな」と心中で吐き捨てた。
彼はウンウンと唸り声を上げながら必死に作業を行っていた。するとガコンという音が部屋に響き、彼の「あっ」という間抜けな声がそれに追随した。どうやら宝石が外れたというわけではなく、何かしでかしたらしい。直後、棺から禍々しい黒い靄が噴出し、それは大量のサソリへと姿を変えた。ピカリンは絶叫ともに大量のサソリに飲み込まれ、そのまま灰となり散っていった。
死神ちゃんが怖気立つほどの大量のサソリに悪寒を感じていると、ゴゴゴとという地響きを伴って棺の蓋が開いた。
「我の眠りを妨げるのは、誰ぞ」
「あの、もう、灰となって消えましたけど」
中から出てきた〈いかにも権力者〉な風貌のミイラに、死神ちゃんは申し訳なさそうに答えた。すると、ミイラは先ほどとは異なる聞き馴染みのある電子的な声で得意げに言った。
「とてもB級な演出で、いいだろう?」
そのまま、ミイラは棺の中に戻っていった。死神ちゃんはミイラの問いかけに答えることなく、その場から姿を消した。
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「まさか、レプリカからビッド所長の声が流れてくるとは思いもしなかった」
死神ちゃんは待機室に戻ってくるなり、呟くようにボソボソとそう言って疲れ切ったと言わんばかりに肩を落とした。すると、マッコイが苦笑いを浮かべて遠慮がちに言った。
「ビット所長は〈内外〉どちらの監視モニターともリンクできて、薫ちゃんのことを結構観察しているそうだから」
「ああ、なんかそんなこと、前に言っていたな」
「それで〈今日の薫ちゃん〉の放送まで待てない所員たちが『所長だけ薫ちゃんウォッチングするのはずるい』と言い出したらしくて、今、〈あろけーしょんせんたー〉では死神課の管理用モニターと同じ映像を流しているそうなのよ」
「はあ!?」
「だから今、きっと、〈せんたー〉では大盛り上がりでしょうね」
死神ちゃんは、開いた口が塞がらなかった。あの金色ボディについては初めて接したときから〈直系の上司だったら面倒くさいだろうな〉と思っていたが、やはり直系の上司でなくてよかったと死神ちゃんは心の底から思った。
マッコイは気を取り直すかのようにニッコリと笑うと、死神ちゃんに「デバッグセットは持ってる?」と聞いてきた。死神ちゃんが不思議そうに首を傾げると、彼は続けて言った。
「今日も勤務が明けたら、うちの寮の〈お料理クラブ〉のメンバーで少しだけお肉の調達をしに行く約束をしていてね。パーティーにあとひと枠だけ空きがあるから、よかったら来る? 冒険者としての数値的な経験値、上げておいて損はないし」
「でも、この前のピエロ狩りでコインすら入手できなかったせいで、弾薬の補充もままならないんだよ」
「別にいいわよ、何もしないで座っているだけでも。空き時間があればお肉を調達しにみんなで行っているんだけれど、おかげでコツが掴めてきて、今ではもう秒で溶けるから」
「……俺、第三死神課の所属で本当に良かったよ。上長も同僚も、みんな優しいし。おかげで、毎日タダで上質な肉が食えるし。週末は仲良くみんなで焼肉パーティーとか、楽しいことこの上ないし。肉パ、楽しいよな、肉パ」
死神ちゃんはピカリンやビットが上司ではないということを、同僚や上司に恵まれているということを改めて感謝するとともに、グウとお腹を鳴らしたのだった。
――――なお、いまだソロ探索中の住職も定期的に〈お料理クラブ〉のメンバーと一緒に、ハツ集めをさせてもらっているという。むしろ、彼は〈お料理クラブ〉のメンバーだという。おみつさんに格好いいところを見せるべく、料理男子修行をしているらしいDEATH。
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