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マネフォード騎士団への訪問
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マネフォード公爵邸から馬車を出すと
程なくして見えてくる
白地を基調とした石畳で整備された街並み
行き交うたくさんの人々
さらに進んだところにあるのが、公爵家の鷲の紋章が描かれた大きな威圧感のある建物
(ようやく、マネフォード騎士団に着きましたわ。)
ライトにエスコートされて馬車から降りると、目の前に門番らしき大男が立ち塞がる。
「お嬢ちゃん、ここでの馬車の乗り降りは禁止されている!今回は見逃してやるから、早く立ち去りな!」
(馬車に公爵家の紋様もありますのに、無能なのかしら?
とか言いますとまた”悪女”とあちこちで言われてしまいますわね。)
などと考えていると、ライトがさっと前に進み出て、門番に何かを耳打ちすると
「主家のお嬢様に大変失礼致しました。どうか命だけはお許しをっ」
顔を真っ青にした大男が、勢いよく頭を地面につけて謝罪を始めた。
(そんなことしませんわよっ!)
ライトの目を見ると、張り付いたような笑顔でこちらを見ている。
(ライト、あなた何を耳打ちしましたの?
絶対、屋敷に戻ったら問い詰めてみせますわよ?)
ひとまず、ここは穏便に行きましょう。
「無礼は不問に致しますから、早く通してくださる?」
◆◆
ーー騎士団長ジェリス・ナイル視点ーー
「団長、団長!!大変です!!」
ここ数ヶ月、仕事が溜まりに溜まっていて、ろくに家にも帰れていないのに、今度は何だ。
「ひとまず落ち着け。何が大変だというのだ?」
「主家の御令嬢、キララ・マネフォード公爵令嬢様が突然やってこられました!
抜き打ちの視察ではないでしょうか。
ああ、今月はまだ提出できていない書類が山のようにあるので、目をつけられてしまったのではないでしょうか。」
抜き打ち視察だと?
経費の増額を依頼したにもかかわらず、騎士団の状況すら把握せずに、門前払いしておいたくせに
何の権限があるというのか?
ご当主のジューク様であればまだ納得できるが、”落ちこぼれ我儘悪女”と噂されるキララお嬢様だと?
どうせ何を言っても理解されないだろうし、適当に応対して、さっさと帰ってもらおう。
◆◆
しばらくすると、父と同じくらいの年齢で、凛とした佇まいながらも、ややくだびれた男性がやってきた。
「お待たせいたしました。私が騎士団長のジェリス・ナイルです。」
まさかお嬢様にこのようなむさ苦しいところに来ていただけるとは思わず、
何も準備ができておらず申し訳ございません。」
(なるほど、事前連絡もなく来るなんて非常識。迷惑だ!という意味ですわね。)
「わが公爵領の守りの要を担っていただいているのですもの。
公爵家の者として、気にかけるのは当然のことですわ。」
ナイル卿は一瞬、露骨に眉をひそめたものの、すぐに表情を取り繕い、
「ご厚意に感謝致しますが、お嬢様のお手を煩わせることは気が引けます。
どうしてもとおっしゃるのであれば、こちらの書類を片付けてくださいませんか?」
と請求書の山を指差した。
(どうせ何の役にも立たないからお金でも払って帰れという意味かしら?
ですが、このまま帰るわけにはいきませんのよ。)
「分かりましたわ。ただし、書類を片付けるという意味ではございません。
激務になっている原因の調査とその対策を立ててみますわ。
まずは、皆さんに聞き込みをしなくては!」
勢いよく立ちあがろうとすると、ナイル卿から強い威圧を感じた。
「お嬢様、私達は寝る時間もないほど忙しいのです。
お子様のお遊びに付き合っている暇はありません。
さあ、もうお帰りください。」
(やはりこれが本音ですわね。ですが、ここで引き下がるわけにはいきませんわ。)
「ナイル卿、率直に言います。執事のピエールに騎士団の経費の増額を嘆願した理由を教えて下さらないかしら?」
ナイル卿は、少し驚きつつも、私を小馬鹿にしたような表情をして、吐き捨てるように話し始めた。
「お嬢様がなぜそれを?
お嬢様に言っても仕方がないのでしょうが、業務量が多く、手伝いの人材を雇おうとしたからです。
すぐに却下されましたが。」
「いいえ、私が尋ねたのは、なぜ執事のピエールに請求したのか、ですわ。」
「は?騎士団の経費は公爵家からいただいているのですから、公爵家に嘆願するのは当然でしょう。」
「その通りですが、執事はあくまで伝言係。騎士団の経費の増額を審議するのは、当家の予算管理部ですわ。
そもそも執事が即座に騎士団の経費に関する判断をしたことに、なぜ疑問を持たなかったのかしら?」
程なくして見えてくる
白地を基調とした石畳で整備された街並み
行き交うたくさんの人々
さらに進んだところにあるのが、公爵家の鷲の紋章が描かれた大きな威圧感のある建物
(ようやく、マネフォード騎士団に着きましたわ。)
ライトにエスコートされて馬車から降りると、目の前に門番らしき大男が立ち塞がる。
「お嬢ちゃん、ここでの馬車の乗り降りは禁止されている!今回は見逃してやるから、早く立ち去りな!」
(馬車に公爵家の紋様もありますのに、無能なのかしら?
とか言いますとまた”悪女”とあちこちで言われてしまいますわね。)
などと考えていると、ライトがさっと前に進み出て、門番に何かを耳打ちすると
「主家のお嬢様に大変失礼致しました。どうか命だけはお許しをっ」
顔を真っ青にした大男が、勢いよく頭を地面につけて謝罪を始めた。
(そんなことしませんわよっ!)
ライトの目を見ると、張り付いたような笑顔でこちらを見ている。
(ライト、あなた何を耳打ちしましたの?
絶対、屋敷に戻ったら問い詰めてみせますわよ?)
ひとまず、ここは穏便に行きましょう。
「無礼は不問に致しますから、早く通してくださる?」
◆◆
ーー騎士団長ジェリス・ナイル視点ーー
「団長、団長!!大変です!!」
ここ数ヶ月、仕事が溜まりに溜まっていて、ろくに家にも帰れていないのに、今度は何だ。
「ひとまず落ち着け。何が大変だというのだ?」
「主家の御令嬢、キララ・マネフォード公爵令嬢様が突然やってこられました!
抜き打ちの視察ではないでしょうか。
ああ、今月はまだ提出できていない書類が山のようにあるので、目をつけられてしまったのではないでしょうか。」
抜き打ち視察だと?
経費の増額を依頼したにもかかわらず、騎士団の状況すら把握せずに、門前払いしておいたくせに
何の権限があるというのか?
ご当主のジューク様であればまだ納得できるが、”落ちこぼれ我儘悪女”と噂されるキララお嬢様だと?
どうせ何を言っても理解されないだろうし、適当に応対して、さっさと帰ってもらおう。
◆◆
しばらくすると、父と同じくらいの年齢で、凛とした佇まいながらも、ややくだびれた男性がやってきた。
「お待たせいたしました。私が騎士団長のジェリス・ナイルです。」
まさかお嬢様にこのようなむさ苦しいところに来ていただけるとは思わず、
何も準備ができておらず申し訳ございません。」
(なるほど、事前連絡もなく来るなんて非常識。迷惑だ!という意味ですわね。)
「わが公爵領の守りの要を担っていただいているのですもの。
公爵家の者として、気にかけるのは当然のことですわ。」
ナイル卿は一瞬、露骨に眉をひそめたものの、すぐに表情を取り繕い、
「ご厚意に感謝致しますが、お嬢様のお手を煩わせることは気が引けます。
どうしてもとおっしゃるのであれば、こちらの書類を片付けてくださいませんか?」
と請求書の山を指差した。
(どうせ何の役にも立たないからお金でも払って帰れという意味かしら?
ですが、このまま帰るわけにはいきませんのよ。)
「分かりましたわ。ただし、書類を片付けるという意味ではございません。
激務になっている原因の調査とその対策を立ててみますわ。
まずは、皆さんに聞き込みをしなくては!」
勢いよく立ちあがろうとすると、ナイル卿から強い威圧を感じた。
「お嬢様、私達は寝る時間もないほど忙しいのです。
お子様のお遊びに付き合っている暇はありません。
さあ、もうお帰りください。」
(やはりこれが本音ですわね。ですが、ここで引き下がるわけにはいきませんわ。)
「ナイル卿、率直に言います。執事のピエールに騎士団の経費の増額を嘆願した理由を教えて下さらないかしら?」
ナイル卿は、少し驚きつつも、私を小馬鹿にしたような表情をして、吐き捨てるように話し始めた。
「お嬢様がなぜそれを?
お嬢様に言っても仕方がないのでしょうが、業務量が多く、手伝いの人材を雇おうとしたからです。
すぐに却下されましたが。」
「いいえ、私が尋ねたのは、なぜ執事のピエールに請求したのか、ですわ。」
「は?騎士団の経費は公爵家からいただいているのですから、公爵家に嘆願するのは当然でしょう。」
「その通りですが、執事はあくまで伝言係。騎士団の経費の増額を審議するのは、当家の予算管理部ですわ。
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