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第4章 鉱山を守る妖怪、だいだらぼっち
4-4 妖怪の力を合わせてだいだらぼっちを撃退します
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それから数日後。
「よし、手はず通り行くぞ?」
「う、うん……」
「分かった……」
俺は前回のメンバーに加えて、一本だたら、スネコスリ、そして鎌鼬の3人を連れてもう一度鉱山に向かっていた。
スネコスリと鎌鼬は俺が指示した持ち場に来てもらっており、一緒にいるのは一本だたらだ。
彼は、だいだらぼっちのそのあまりの巨体を見て、思わず尻込みをした。
「頼むぞ。今回の作戦はお前のスキルにかかっているからな」
「う、うん……頑張るよ……」
そういうと、一本だたらはだいだらぼっちの前に立つ。
そして、
「や……や~い、でかぶつ! お前なんか大きいだけで頭が悪いくせに! そこからさっさと出ていけ!」
そんな風に叫んだ。
「グガアアアア!」
だいだらぼっちほどの巨体になると、大人か子どもかの区別もつかないのだろう。
一本だたらが子どもであるにも関わらず、だいだらぼっちは大声を張り上げて突撃してきた。
「うわあああああ! ……こ、ここまでおいで~!」
そんな風に叫びながら、一本だたらは斜面を駆け降りる。
だいだらぼっちとは歩幅がまるで違うが、それでも彼は追いつかれることがない。
(スキル『雪道走り』は、やっぱりすごいな……)
その様子を見ながら、俺は半ば感心するように見つめていた。
みるみるうちにだいだらぼっちの影が小さくなっていく。
無論この隙に鉱山にもぐりこむこともできるが、万一奴がすぐに戻ってきたら退路を塞がれる。
そのため、もう一段階踏む必要がある。
「……よし、そろそろじゃな……」
だいだらぼっちの影がひときわ大きな坂道に差し掛かった瞬間、そう蛇骨婆はつぶやいた。
一方、こちらはスネコスリと鎌鼬。
二人は斜面の近くで緊張した様子で迫りくるだいだらぼっちを見つめていた。
「だ、大丈夫かな……」
「うん……きっと、平気だよね……」
「心配すんな、何かあったら俺が何とかするからさ」
そういいながら、手の目は笑みを浮かべながら二人の肩をポンとたたく。
彼は万が一作戦が失敗したときに、二人を連れて逃げ出す役割を担っている。
また、普段から兄貴分として二人に接している彼の存在は二人を安心させるという意図があり、ナーリは配置している。
「俺が合図したら……頼むぞ? 大丈夫だ、お前たちならどうとでもなるよ」
「うん……」
「分かった……」
彼の発言に、二人もそういって気持ちを落ち着けたようだ。
「……来たぞ!」
……そしてしばらくして、一本だたらの姿が見えてきた。
彼は手の目の姿を見るなり、ひときわ高い木の上に飛び乗った。そして、舌を出して叫ぶ。
「あっかんべー!」
「グガアアアアア!」
今時珍しいくらいの安い挑発だが、さほど知能が高くないだいだらぼっちには十分有効だ。
彼の意識は完全に目の前にいる一本だたらに集中し、足元がおろそかになる。
「いまだ!」
そしてその隙をついて、鎌鼬とスネコスリは彼の右足に両サイドから迫る。
「それ!」
「この!」
スネコスリの『精気吸収』は、相手の足から力を奪う技だ。
大柄なサテュロスが転倒したように、このスキルに体格差は関係ない。
また、鎌鼬は相手を切り刻むことばかりが着目されがちだが、その前段階として相手を『転倒させる』ことも得意としている。
その一撃を受け、
「グ……ガアアアアア!」
だいだらぼっちの巨体が大きく傾き、
「グアアアアアア!」
その勢いのまま、斜面を転がり落ちていった。
「よし……よくやったな、二人とも!」
そういうと、手の目は上空に向けて気弾を打ち上げた。
「おお、上手くいったようじゃ! さすがは手の目じゃな!」
蛇骨婆はその様子を見ながら、嬉しそうにつぶやいた。
作戦が成功した場合と失敗した場合で打ち上げる気弾の形は変えるように伝えていた。だが、その形の違いは俺にはわからない。
「今のでわかるのか?」
「おう! 手の目の奴の気弾を見れば、奴が何を考えているかくらいはお見通しじゃ!」
「ふうん……。やっぱ、あんたたちは仲いいよな。うらやましいよ」
そういうと、蛇骨婆の顔が赤くなる。
「べ、別に……これくらいは慣れれば誰でも出来るわい! ……と、とにかく今のうちに鉱山に向かうぞ!」
あの巨体が坂を転がり落ちたら、ダメージは相当なものだろう。
だが、相手はこちらの最強レベルの攻撃にもびくともしなかったほど頑丈な肉体だ。おそらく、大した時間は稼げないだろう。
そう思いながら、俺は鉱山の中に向かった。
「暗いな……それに寒いな……」
「おう……じゃが、前よりはマシじゃな……」
前回の失敗を生かして今回は完全な防寒装備をしてきたのが功を奏した。
全身を刺すような寒さが襲うものの、それでも凍えるほどではなかった。
「気を付けて、ここから先は滑るから……私の服を掴んで、ぬらりひょん?」
「あ、ああ……」
当然雪女はこんな状況でも平然としている。
こういう状況では寒さに強い彼女がうらやましい。そう思いながらも俺は彼女の着物の裾をそっとつかむ。
彼女の冷たい手を掴むのはさすがにこの雪山では厳しいからだ。
「フフフ、頼られるのってやっぱり嬉しいわね。……それにしても、おもったよりもシンプルな構造の鉱山ね……」
「ああ……この調子なら目的の場所まで近いかもな」
鉱山の中は思ったよりも入り組んでいなかった。
だが、なぜか鉱山の中から冷気がこちらに向かって吹いてくる。その方向に向かって俺たちは進んでいった。
そしてしばらくののち。
「ここか……」
「なるほど……」
そこには、大きな蛇のような化け物が光で作られた棺の中に封じ込められていた。
俺が元の世界で住んでいた国に広まっていた『ドラゴン』とはまるで形が異なる。これは確か東洋に伝わる『龍』だろう。
その神秘的な神々しさに俺は思わず言葉を失った。
「水神様じゃ……」
「なんだ、それは?」
「この地に水の加護を与える神秘の存在……ワシら妖怪よりもさらに上位の『神』とも呼べる存在じゃな」
「神、か……」
この場合の神とは『創造主』という意味ではなく『守護者』という意味合いであることは、話の流れからも俺は推察できた。
「見て、ぬらりひょん?」
「ん?」
その近くには、何やら魔法陣のようなものが書かれており、それは淡い光を放っていた。
「これは……古代に作られた魔法のようじゃな……封印するためのものみたいじゃが……」
「封印?」
「ええ。もともとは、別の魔物を封印していたものみたいね。……けど、その魔物は姿を消し、そしてこの魔法陣だけが残っていたみたい」
「じゃが水神様が何らかの原因で、この魔法陣に封じられてしまった、と考えるべきじゃろうな……とすれば、あのだいだらぼっちは……」
「主君を守るために、ここで戦っていたということか……」
まあ、あの状況から考えてだいだらぼっちが何かを守っていたということは察していた。
そしてこの状況を見て、納得した。
「本来水神様はひとところに落ち着けるべきではない。とどめると、この鉱山のように氷に閉ざされてしまうでのう……」
蛇骨婆はそういいながら、魔法陣に手を触れた。
「なんとか解除できるか?」
「ああ……。術式は複雑じゃが……ワシなら何とかできそうじゃな。ちょっと待っておれ……」
「ん……? まずいわ、急がないと! 奴が戻ってきてるわ!」
そう雪女はつぶやいた。
……なるほど、かすかにだが規則的な振動が伝わってくる。だいだらぼっちが戻ってきたのだろう。
「グガアアアアア!」
奴のそんな叫び声が遠くから聞こえてくる。
もう、ここまで来るまでそう時間はかからないはずだ。
「そう、焦らすでない! ……もう少しじゃ……」
少し焦った様子を見せながらあも、蛇骨婆は丹念に魔法陣に魔力をこめていく。
水神様を覆っている光の棺が少しずつ消えていくのを見ながらも、俺は少し不安な気持ちになった。
……そして数分後。
「来たわ!」
「グガアアア!」
だいだらぼっちはそう咆哮しながら俺たちのいた場所までやってきた。
さすがに派手に転倒したためか身体に傷跡はあるが、頑丈な彼にとっては大したダメージにはなっていないようだ。
俺たちを見て、目を血走らせながらこちらにこん棒を振り上げる。
……だが。
「出来た! 解除したぞ!」
そう叫ぶとともに、シュン……と音が響き、光の棺が完全に消え去った。
「グガ?」
「…………」
すると、封じ込められていた水神様はその水晶のような目をゆっくりと開き、俺たちのことを見据えてきた。
「グウ…………」
それを見ただいだらぼっちは跪き、その頭に水神様はそっと触れる。
今まで自分を守ってくれた彼をねぎらうようなその姿に、俺は言葉を失った。
「…………」
そして水神様は俺たちをそっと見つめてうなづく。
言葉を発しない水神様のその態度だが、少なくとも俺たちに対して感謝の意を示していたことはすぐに分かった。
そして……
「グガアア!」
そうだいだらぼっちが別れの挨拶とばかりに叫ぶと、水神様は鉱山の天上を突き破り、天に上っていった。
同時に、周囲に立ち込めていた冷気が急に消え去るのを感じた。
だいだらぼっちも、俺たちに対する敵意を失ったようで、俺たちに対して深々と頭を下げてくれていた。
「ほう……どうやら、解決したようじゃな……」
「ええ……それに、このだいだらぼっちも……ぬらりひょん、あなたについていくみたいよ?」
なんとなく彼が言いたいことを察したのだろう、フレアはそういって俺に笑いかけた。
「そうか……。じゃあ、これからよろしくな!」
「グガア!」
だいだらぼっちは今度は嬉しそうに、そう叫んだ。
「よし、手はず通り行くぞ?」
「う、うん……」
「分かった……」
俺は前回のメンバーに加えて、一本だたら、スネコスリ、そして鎌鼬の3人を連れてもう一度鉱山に向かっていた。
スネコスリと鎌鼬は俺が指示した持ち場に来てもらっており、一緒にいるのは一本だたらだ。
彼は、だいだらぼっちのそのあまりの巨体を見て、思わず尻込みをした。
「頼むぞ。今回の作戦はお前のスキルにかかっているからな」
「う、うん……頑張るよ……」
そういうと、一本だたらはだいだらぼっちの前に立つ。
そして、
「や……や~い、でかぶつ! お前なんか大きいだけで頭が悪いくせに! そこからさっさと出ていけ!」
そんな風に叫んだ。
「グガアアアア!」
だいだらぼっちほどの巨体になると、大人か子どもかの区別もつかないのだろう。
一本だたらが子どもであるにも関わらず、だいだらぼっちは大声を張り上げて突撃してきた。
「うわあああああ! ……こ、ここまでおいで~!」
そんな風に叫びながら、一本だたらは斜面を駆け降りる。
だいだらぼっちとは歩幅がまるで違うが、それでも彼は追いつかれることがない。
(スキル『雪道走り』は、やっぱりすごいな……)
その様子を見ながら、俺は半ば感心するように見つめていた。
みるみるうちにだいだらぼっちの影が小さくなっていく。
無論この隙に鉱山にもぐりこむこともできるが、万一奴がすぐに戻ってきたら退路を塞がれる。
そのため、もう一段階踏む必要がある。
「……よし、そろそろじゃな……」
だいだらぼっちの影がひときわ大きな坂道に差し掛かった瞬間、そう蛇骨婆はつぶやいた。
一方、こちらはスネコスリと鎌鼬。
二人は斜面の近くで緊張した様子で迫りくるだいだらぼっちを見つめていた。
「だ、大丈夫かな……」
「うん……きっと、平気だよね……」
「心配すんな、何かあったら俺が何とかするからさ」
そういいながら、手の目は笑みを浮かべながら二人の肩をポンとたたく。
彼は万が一作戦が失敗したときに、二人を連れて逃げ出す役割を担っている。
また、普段から兄貴分として二人に接している彼の存在は二人を安心させるという意図があり、ナーリは配置している。
「俺が合図したら……頼むぞ? 大丈夫だ、お前たちならどうとでもなるよ」
「うん……」
「分かった……」
彼の発言に、二人もそういって気持ちを落ち着けたようだ。
「……来たぞ!」
……そしてしばらくして、一本だたらの姿が見えてきた。
彼は手の目の姿を見るなり、ひときわ高い木の上に飛び乗った。そして、舌を出して叫ぶ。
「あっかんべー!」
「グガアアアアア!」
今時珍しいくらいの安い挑発だが、さほど知能が高くないだいだらぼっちには十分有効だ。
彼の意識は完全に目の前にいる一本だたらに集中し、足元がおろそかになる。
「いまだ!」
そしてその隙をついて、鎌鼬とスネコスリは彼の右足に両サイドから迫る。
「それ!」
「この!」
スネコスリの『精気吸収』は、相手の足から力を奪う技だ。
大柄なサテュロスが転倒したように、このスキルに体格差は関係ない。
また、鎌鼬は相手を切り刻むことばかりが着目されがちだが、その前段階として相手を『転倒させる』ことも得意としている。
その一撃を受け、
「グ……ガアアアアア!」
だいだらぼっちの巨体が大きく傾き、
「グアアアアアア!」
その勢いのまま、斜面を転がり落ちていった。
「よし……よくやったな、二人とも!」
そういうと、手の目は上空に向けて気弾を打ち上げた。
「おお、上手くいったようじゃ! さすがは手の目じゃな!」
蛇骨婆はその様子を見ながら、嬉しそうにつぶやいた。
作戦が成功した場合と失敗した場合で打ち上げる気弾の形は変えるように伝えていた。だが、その形の違いは俺にはわからない。
「今のでわかるのか?」
「おう! 手の目の奴の気弾を見れば、奴が何を考えているかくらいはお見通しじゃ!」
「ふうん……。やっぱ、あんたたちは仲いいよな。うらやましいよ」
そういうと、蛇骨婆の顔が赤くなる。
「べ、別に……これくらいは慣れれば誰でも出来るわい! ……と、とにかく今のうちに鉱山に向かうぞ!」
あの巨体が坂を転がり落ちたら、ダメージは相当なものだろう。
だが、相手はこちらの最強レベルの攻撃にもびくともしなかったほど頑丈な肉体だ。おそらく、大した時間は稼げないだろう。
そう思いながら、俺は鉱山の中に向かった。
「暗いな……それに寒いな……」
「おう……じゃが、前よりはマシじゃな……」
前回の失敗を生かして今回は完全な防寒装備をしてきたのが功を奏した。
全身を刺すような寒さが襲うものの、それでも凍えるほどではなかった。
「気を付けて、ここから先は滑るから……私の服を掴んで、ぬらりひょん?」
「あ、ああ……」
当然雪女はこんな状況でも平然としている。
こういう状況では寒さに強い彼女がうらやましい。そう思いながらも俺は彼女の着物の裾をそっとつかむ。
彼女の冷たい手を掴むのはさすがにこの雪山では厳しいからだ。
「フフフ、頼られるのってやっぱり嬉しいわね。……それにしても、おもったよりもシンプルな構造の鉱山ね……」
「ああ……この調子なら目的の場所まで近いかもな」
鉱山の中は思ったよりも入り組んでいなかった。
だが、なぜか鉱山の中から冷気がこちらに向かって吹いてくる。その方向に向かって俺たちは進んでいった。
そしてしばらくののち。
「ここか……」
「なるほど……」
そこには、大きな蛇のような化け物が光で作られた棺の中に封じ込められていた。
俺が元の世界で住んでいた国に広まっていた『ドラゴン』とはまるで形が異なる。これは確か東洋に伝わる『龍』だろう。
その神秘的な神々しさに俺は思わず言葉を失った。
「水神様じゃ……」
「なんだ、それは?」
「この地に水の加護を与える神秘の存在……ワシら妖怪よりもさらに上位の『神』とも呼べる存在じゃな」
「神、か……」
この場合の神とは『創造主』という意味ではなく『守護者』という意味合いであることは、話の流れからも俺は推察できた。
「見て、ぬらりひょん?」
「ん?」
その近くには、何やら魔法陣のようなものが書かれており、それは淡い光を放っていた。
「これは……古代に作られた魔法のようじゃな……封印するためのものみたいじゃが……」
「封印?」
「ええ。もともとは、別の魔物を封印していたものみたいね。……けど、その魔物は姿を消し、そしてこの魔法陣だけが残っていたみたい」
「じゃが水神様が何らかの原因で、この魔法陣に封じられてしまった、と考えるべきじゃろうな……とすれば、あのだいだらぼっちは……」
「主君を守るために、ここで戦っていたということか……」
まあ、あの状況から考えてだいだらぼっちが何かを守っていたということは察していた。
そしてこの状況を見て、納得した。
「本来水神様はひとところに落ち着けるべきではない。とどめると、この鉱山のように氷に閉ざされてしまうでのう……」
蛇骨婆はそういいながら、魔法陣に手を触れた。
「なんとか解除できるか?」
「ああ……。術式は複雑じゃが……ワシなら何とかできそうじゃな。ちょっと待っておれ……」
「ん……? まずいわ、急がないと! 奴が戻ってきてるわ!」
そう雪女はつぶやいた。
……なるほど、かすかにだが規則的な振動が伝わってくる。だいだらぼっちが戻ってきたのだろう。
「グガアアアアア!」
奴のそんな叫び声が遠くから聞こえてくる。
もう、ここまで来るまでそう時間はかからないはずだ。
「そう、焦らすでない! ……もう少しじゃ……」
少し焦った様子を見せながらあも、蛇骨婆は丹念に魔法陣に魔力をこめていく。
水神様を覆っている光の棺が少しずつ消えていくのを見ながらも、俺は少し不安な気持ちになった。
……そして数分後。
「来たわ!」
「グガアアア!」
だいだらぼっちはそう咆哮しながら俺たちのいた場所までやってきた。
さすがに派手に転倒したためか身体に傷跡はあるが、頑丈な彼にとっては大したダメージにはなっていないようだ。
俺たちを見て、目を血走らせながらこちらにこん棒を振り上げる。
……だが。
「出来た! 解除したぞ!」
そう叫ぶとともに、シュン……と音が響き、光の棺が完全に消え去った。
「グガ?」
「…………」
すると、封じ込められていた水神様はその水晶のような目をゆっくりと開き、俺たちのことを見据えてきた。
「グウ…………」
それを見ただいだらぼっちは跪き、その頭に水神様はそっと触れる。
今まで自分を守ってくれた彼をねぎらうようなその姿に、俺は言葉を失った。
「…………」
そして水神様は俺たちをそっと見つめてうなづく。
言葉を発しない水神様のその態度だが、少なくとも俺たちに対して感謝の意を示していたことはすぐに分かった。
そして……
「グガアア!」
そうだいだらぼっちが別れの挨拶とばかりに叫ぶと、水神様は鉱山の天上を突き破り、天に上っていった。
同時に、周囲に立ち込めていた冷気が急に消え去るのを感じた。
だいだらぼっちも、俺たちに対する敵意を失ったようで、俺たちに対して深々と頭を下げてくれていた。
「ほう……どうやら、解決したようじゃな……」
「ええ……それに、このだいだらぼっちも……ぬらりひょん、あなたについていくみたいよ?」
なんとなく彼が言いたいことを察したのだろう、フレアはそういって俺に笑いかけた。
「そうか……。じゃあ、これからよろしくな!」
「グガア!」
だいだらぼっちは今度は嬉しそうに、そう叫んだ。
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