はるを待ちわび、かずを数える

茉莉花 香乃

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ハルは桜が散れば、物のカズにも入らないのでしょ?

01

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「後で黒子ほくろ見せて?」
「黒子?」
「ここにあるだろ?」

手を伸ばし内腿に触れる。正直、右か左は忘れてしまった。

「ふっ…やっ、そんなとこに黒子なんてないよ?」
「嘘、見たんだ、小さい時」
「黒子はね…こことここに目立つのがあるけど」

そう言って今俺が触った右内腿の外側と臍の横辺りを指差す。

「ホント?」
「うん。ほら…」

立ち上がり太ももの外側を見せ、お臍の横を指差す。ぶわっと顔に熱が集まる。目の前にはるちゃんの…。

「はるちゃん…」

手を伸ばしはるちゃんのを掴む。さっきの熱は収まり可愛いはるちゃんがそこにはあった。逆に俺のは急に熱を持つ。

「あっ、かずくん」

カクンと崩れるはるちゃんを抱き寄せ、お臍の横の黒子にキスする。

「好きだよ。俺たち裸で告白し合ったから、いきなりこんなだけど大切にするから。もう俺の前から消えないで。はるちゃんに言っても仕方ないけど、あの時悲しかった」
「ごめんね。お母さんが言っちゃダメって。お父さんにお母さんの居場所を知られちゃったら困るからって」
「うん…」
「僕も悲しかった。でも、かずくんは僕が女の子だと思ってたのは知ってたから」
「知ってたの?」
「うん。お姉ちゃんのお古のスカートはいてても似合ってるって褒めてくれたから。それに…ほら、お嫁さん…」
「あっ…うん。ごめん…」
「ううん、嬉しかったから。僕、あのアパートは直ぐに引っ越すのはお母さんに言われて知ってたけど、このまま大きくなってもかずくんが、僕が本当は男の子だって知るのが怖かった」

カサカサとビニールが擦れる音がする。

「出ようか」

シャワーヘッドを中に入れてお湯を出し続けていたから温かいけれど、はるちゃんが疲れてしまう。タオルで二人分の身体を拭いて袋を外す。しっとりとしてしまったけれど濡れてはいない。体操服を着て、再び抱きしめた。

「昨日、寝られなかったの?」
「かずくんが…」
「俺が?」
「かずくんが僕を無視するから」
「俺は…小さな俺がはるちゃんって呼んだのが嫌だったから名前で呼ばれるのが嫌なのかなとか、俺見てため息ついてただろ?だから、俺が構いすぎるから放っておいてと思ってるのかなとかグチャグチャ悩んでた。
俺がはるちゃんを見なかったのが悲しかったの?」

大きな目をさらに大きくしてコクリと頷く。自分でもわかってなかったのか?

「そうだよ。凄く悲しかった。バスの中でも、なんか余所余所しくて。もう僕とは話したくないのかなって」

キスをした。

触れるたびに俺の体操服をキュッと摘み、その仕草が可愛い。唇を固く結び、開けてくれない。舌先でノックすると胸をトントンと叩く。顔を覗き込むと真っ赤な顔で、ジッと俺を見た。

「どうした?キス、嫌?」

首を横に何度も振る。両手で頬を持ち目を合わせた。

「今まで…僕以外とキスしたことあるの?」
「あ…あ~、うん」

途端に悲しそうな顔をする。

「僕、初めてだ」
「ごめん」
「ううん。いいんだ」
「でも、はるちゃんのファーストキスは俺のだね」
「うん…」

いつも触りたいと思ってた少し茶色いサラサラの髪に指を絡ませる。まだ少し濡れているけれど触り心地は最高だ。

顎を持ち唇を合わせた。触れるだけのキス。はるちゃんが嫌なら、無理はしない。本当はもっとはるちゃんを感じたいけど、ゆっくり一緒に経験を重ねていけばいい。もう、俺の前から消えたりしないのなら時間はたっぷりある。いきなりはるちゃんのを触ったりして嫌だったのかもしれない。俺の肩に置かれていた手を腰に回し、しっかりと抱きついてくる。

「んっ…」
「どしたの?」
「……」

はるちゃんが嫌がるなら、キスもあまりしない方がいいのかな?何も言わないからやっぱり嫌なんだろう。嫌われるは嫌だ。やっと、はるちゃんに会えた。俺の気持ちもはっきりした。藍川が、はるちゃんが好き。はるちゃんも俺の事、好きって言ってくれた。それなのに直ぐに嫌われたらたまらない。

「無理させてごめん。はるちゃんが嫌なら、もうしないよ」

本当はキスしたいんだよと、自分の気持ちも添えておく。じゃないと気を回したはるちゃんに誤解されるのは嫌だから。

「ち、違う。嫌じゃない。さっき、かずくんが、あの…しかけたこと、したいなって」
「俺、何しかけた?」
「キスの時…」
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