はるを待ちわび、かずを数える

茉莉花 香乃

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ハルは桜が散れば、物のカズにも入らないのでしょ?

02

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「キスの時、何した?」
「ほら、僕の唇を舌で…」

そこまで言って俺の胸に顔を埋めてしまった。可愛い。俺、舌でなんかしたか?

あっ!
「はるちゃん、キス嫌じゃないの?」

もう一度確かめた。誤解とかは嫌だから、ここははっきり聞かないと。

「うん、好き」

真っ赤な顔をして、でも、俺の事を見上げる目はキラキラしてて綺麗だ。

「好き?」
「かずくんの唇、柔らかくて、身体が凄くフワフワとして、もっと…」
「フワフワする?」
「うん。恥ずかしいけど…嬉しいから」

俺の胸でイヤイヤをするように頭を振る。サラサラの髪を撫でながら頭にキスをする。

「顔上げてくれないと、髪にしかキスできないよ?」

それでいいの?と耳元で囁くと途端に真っ赤な顔を上げて俺を見た。

「ど、どうしたらいいの?」
「俺、初めてじゃないけど、そんなに経験あるわけじゃないからさ。だから、ゆっくりと一緒に…気持ちいいキスしよ?」

親指で唇をなぞり、顎を少し押すと口を開けた。すかさずキスをする。歯は合わせたままなのでその先には入れないけれど、今は我慢。歯列をなぞり、歯の凸凹を楽しむように舌先を動かす。はるちゃんの身体から力が抜けてゆき、支えるために腰をしっかり抱きとめた。

「はぁ…」

吐息が漏れた瞬間に自然と開いた隙間に舌を入れてみる。閉じようとしたけれど、俺の舌を噛まないようにと直ぐに離れてゆく歯。

逃げる舌を追いかけて絡ませた。何をしても気持ちいい。

「ふっ…んっ」

はるちゃんの漏らす吐息は俺を煽る。声可愛い。舌を甘噛みすると身体がピクリと跳ねた。無意識なのかはるちゃんの舌も俺の舌を探し絡ませてくれる。嬉しい。夢中になって口内を刺激した。怪我をした手を俺の胸に預け、左手で体操服を掴む。二人分の唾液が口の端からこぼれ落ちた。はるちゃんが胸を叩く。

「どしたの?」
「いきなり過ぎる…、息できない」
「ごめん。ゆっくりだったね」
「うん……かずくん、好き」

ドアを叩き、藍川大丈夫かと声がする。ドアを開けると、藍川の班の子が全員揃ってた。もう熱は引いたと言うと一様にホッとした表情で良かったと口にした。

「僕、今日はここで寝るから。相沢くんが一緒にいてくれるんだ。心配かけてごめん」

恥ずかしそうに俺の方を向き頷く。

「先生には言ってるからさ」

俺もここで寝たいとか言う声が聞こえたけど無視だ。せっかくはるちゃんと二人きりで寝られるんだ。こんなこと、そうそうない。

「そんなことしたら、藍川がここで寝る意味ないだろ?騒がしかったら疲れも取れない」

別の誰かが言うのに、それもそうかと諦めたのでホッと息を吐く。冷静な奴がいて良かった。

「今から、食堂行くんだ。一緒に行こ」

あれから下山して、全員風呂にも入ったのか食事の時間だったようだ。はるちゃんとゆっくりしてたから、時間なんて気にしてなかった。

「相沢、食事当番だったろ?お前の班の奴怒ってたぞ」
「ヤバっ、忘れてた」
「藍川背負ってたから疲れてるだろうって言ってたから。ま、大丈夫だろ」

ははっと笑いがおこり、実は全然疲れてないとは言えなかった。

今朝までと同じ距離感で、はるちゃんと接することは今の俺には難しい。側にいたい。でも、我慢だ。今日は二人きりで寝られるんだから。
食事当番を代わってくれた子にお礼と謝りを入れ配膳を手伝った。食堂では決められた場所はないけれど、だいたい朝と同じテーブルへ座る。はるちゃんの班は俺たちの横。姿を確認して、後ろに座った。

座る直前に目が合う。ジッと見つめ、弾ける笑顔で『かずくん』と口パクする。

な、なんて可愛いんだ。

でも、誰かに見つかったらマズいんじゃない?そんな可愛い笑顔は俺だけに見せてくれたら良いんだから。俺も笑顔で『はるちゃん』と口パクで返した。

これじゃバカップルだ。周りをザッと見回し誰かの視線がないかを確かめた。幸いそれぞれ今日のことを疲れたねとか言いながら食べ始めていて、気にしている人はいないみたいだった。
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