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同室は基本同じクラスだけど、絶対に同じでないといけないわけじゃない。筑紫美都瑠くんはB組に落ちたことがわかっても絶対変わらないと言ってくれた。それは自分が違う人と一緒が嫌だからではなく、僕と同じが良いと言ってくれていて心底嬉しかった。
「えっ?セフレ解消したの?」
「う、うん」
「な、何で?」
「えっ?何でって…美都瑠だって、早く終わりにしなって言ってたじゃん」
困惑の表情でソファーに座る僕の隣に座り手を握る。
「朗の好きな子の話、したよね?」
「うん。だから、僕…もう、諦めなきゃって思って」
あちゃーと頭を抱え、項垂れる。
「もしかしてさ!」
ガバッと顔を上げ、まるでキスでもできそうなほど顔を近づけ、僕の身体に覆い被さる。
「あのテスト!朗から離れるために、わざとやったの?」
「えっ…と」
「おかしいと思ってたんだよね。ほとんど全教科だっただろ?でも、ホントのホントにケアレスミスだったら、伊月が一番悔しいと思って…何も言えなかったんだ」
「ごめん…心配かけて」
「ホントだよ!朗は何も言わなかったの?」
「そんなの…」
そう言えば…何か言いたそうにしてたけど、何も聞きたくなくて追い出した。
「聞かなかったんだね?」
「うん。でも!セフレに何も言うことなんか…」
「高校になってから名前で呼ばせてなかっただろ?凄い不自然だった。朗は伊月って呼びたがらなかった?」
「…まあ。中学の時はそう呼んでたから、じゃないの?ただのセフレにお情けはいらないよ」
「僕は何度も言ったよね?最初は無理やりだったけど、朗がセフレを持つなんてこと、できないって」
「だから、…もう、…終わった……っ…ぅっ…ぐっ…」
自分で言って泣けてきた。もうあの熱が僕に向くことはない。自分から終わらせた関係なんだから、こんなにメソメソしてたらダメだってわかってるけど、美都瑠が甘やかすから、涙が溢れて止まらなくなる。
「もう!ホント、鈍い」
美都瑠が何かブツブツ言いながら、背中を何度も撫でてくれた。
二年生になり、とにかく勉強を頑張った。三年生ではA組に戻るつもりだし、できれば10位以内をキープしたい。
B組には中学の時のクラスメイトが何人かいた。高校から外部生が入ったことと、高校生になってから成績が思うように伸びなかったことでA組に留まることができなかった奴ら。僕が落ちたことに驚きながらも、同情と仲間意識が混ざった緩さで迎えてくれた。
美都瑠は危なっかしい転入生のお守りで忙しそうだ。ダサい黒縁メガネとボサボサ頭の変わった子。名前は安田碧。美都瑠によるとメガネの奥の素顔は絶対に可愛いらしい。できれば挨拶くらいしたいけど、A組の教室には近づきたくない。その内に、寮のその子の部屋に招待してもらうか、僕たちの部屋に来てもらおうと思っている。
それより、田丸がB組の前を不自然に行き来するのが気になる。それは何度も教室から見えた。美都瑠にその日の移動教室や体育の有無を確認すると、明らかにその時間じゃないというのはわかる。
B組になって唯一と言って良い後悔は、一年前に田丸のセフレになるきっかけになった、当時の田丸の失恋相手が同じクラスにいると言うことだ。残念ながら今はフリーらしい。田丸はあんなに落ち込んだのに、一ヶ月もしない内に別れたそうだ。その時に僕たちの関係も終わるかと思ったけど、不思議なことに続いていた。田丸が見ているのはその彼か、はたまた新しい思い人か?田丸が好きな子もB組なのかな?例のツンデレさんは失恋した彼より可愛い子なのだろうか?クラスメイトを思い浮かべる。サラサラヘアーのあの子かな?それとも、くるくる巻き毛の子かな?いや、あの子はいつも笑顔でデレデレだしな…。
「はぁ…」
重いため息に目の前のクラスメイトの森山文世が怪訝な顔で僕を見る。180センチを超える長身と逞しい胸板。かなりのガタイの良さで成長しまくっている森山は、つぶらな瞳で頬杖をつく。なんか、ツンデレ?
「ふふっ」
「どした?お疲れ?勉強のし過ぎじゃないのか?大丈夫だって、三年では戻れるよ」
「文世も一緒に戻ろうよ」
「俺か…うん。戻りたいけどな…」
「そうでしょ?」
「じゃあ、伊月に勉強みてもらおうかな…」
「良いよ。ただし、貢物を要求する!」
「な、何だよ?」
「そうだな…食堂のケーキとか……あっ、パフェ!パフェが良い!」
「パフェ?そんなんで良いのか?」
「うん、うん」
甘いものは大好きだし、毎日でも食べられる。
「えっ?セフレ解消したの?」
「う、うん」
「な、何で?」
「えっ?何でって…美都瑠だって、早く終わりにしなって言ってたじゃん」
困惑の表情でソファーに座る僕の隣に座り手を握る。
「朗の好きな子の話、したよね?」
「うん。だから、僕…もう、諦めなきゃって思って」
あちゃーと頭を抱え、項垂れる。
「もしかしてさ!」
ガバッと顔を上げ、まるでキスでもできそうなほど顔を近づけ、僕の身体に覆い被さる。
「あのテスト!朗から離れるために、わざとやったの?」
「えっ…と」
「おかしいと思ってたんだよね。ほとんど全教科だっただろ?でも、ホントのホントにケアレスミスだったら、伊月が一番悔しいと思って…何も言えなかったんだ」
「ごめん…心配かけて」
「ホントだよ!朗は何も言わなかったの?」
「そんなの…」
そう言えば…何か言いたそうにしてたけど、何も聞きたくなくて追い出した。
「聞かなかったんだね?」
「うん。でも!セフレに何も言うことなんか…」
「高校になってから名前で呼ばせてなかっただろ?凄い不自然だった。朗は伊月って呼びたがらなかった?」
「…まあ。中学の時はそう呼んでたから、じゃないの?ただのセフレにお情けはいらないよ」
「僕は何度も言ったよね?最初は無理やりだったけど、朗がセフレを持つなんてこと、できないって」
「だから、…もう、…終わった……っ…ぅっ…ぐっ…」
自分で言って泣けてきた。もうあの熱が僕に向くことはない。自分から終わらせた関係なんだから、こんなにメソメソしてたらダメだってわかってるけど、美都瑠が甘やかすから、涙が溢れて止まらなくなる。
「もう!ホント、鈍い」
美都瑠が何かブツブツ言いながら、背中を何度も撫でてくれた。
二年生になり、とにかく勉強を頑張った。三年生ではA組に戻るつもりだし、できれば10位以内をキープしたい。
B組には中学の時のクラスメイトが何人かいた。高校から外部生が入ったことと、高校生になってから成績が思うように伸びなかったことでA組に留まることができなかった奴ら。僕が落ちたことに驚きながらも、同情と仲間意識が混ざった緩さで迎えてくれた。
美都瑠は危なっかしい転入生のお守りで忙しそうだ。ダサい黒縁メガネとボサボサ頭の変わった子。名前は安田碧。美都瑠によるとメガネの奥の素顔は絶対に可愛いらしい。できれば挨拶くらいしたいけど、A組の教室には近づきたくない。その内に、寮のその子の部屋に招待してもらうか、僕たちの部屋に来てもらおうと思っている。
それより、田丸がB組の前を不自然に行き来するのが気になる。それは何度も教室から見えた。美都瑠にその日の移動教室や体育の有無を確認すると、明らかにその時間じゃないというのはわかる。
B組になって唯一と言って良い後悔は、一年前に田丸のセフレになるきっかけになった、当時の田丸の失恋相手が同じクラスにいると言うことだ。残念ながら今はフリーらしい。田丸はあんなに落ち込んだのに、一ヶ月もしない内に別れたそうだ。その時に僕たちの関係も終わるかと思ったけど、不思議なことに続いていた。田丸が見ているのはその彼か、はたまた新しい思い人か?田丸が好きな子もB組なのかな?例のツンデレさんは失恋した彼より可愛い子なのだろうか?クラスメイトを思い浮かべる。サラサラヘアーのあの子かな?それとも、くるくる巻き毛の子かな?いや、あの子はいつも笑顔でデレデレだしな…。
「はぁ…」
重いため息に目の前のクラスメイトの森山文世が怪訝な顔で僕を見る。180センチを超える長身と逞しい胸板。かなりのガタイの良さで成長しまくっている森山は、つぶらな瞳で頬杖をつく。なんか、ツンデレ?
「ふふっ」
「どした?お疲れ?勉強のし過ぎじゃないのか?大丈夫だって、三年では戻れるよ」
「文世も一緒に戻ろうよ」
「俺か…うん。戻りたいけどな…」
「そうでしょ?」
「じゃあ、伊月に勉強みてもらおうかな…」
「良いよ。ただし、貢物を要求する!」
「な、何だよ?」
「そうだな…食堂のケーキとか……あっ、パフェ!パフェが良い!」
「パフェ?そんなんで良いのか?」
「うん、うん」
甘いものは大好きだし、毎日でも食べられる。
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