見つけてよ。

茉莉花 香乃

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無理やり犯した最初は後ろからだったのに、二回目以降、田丸は色々理由をつけて正常位で抱きたがった。でも、今日は泣いてしまうかもしれないから、絶対に後ろからって押し通した。

密着した背中から田丸の体温が僕を包む。漏れる吐息が熱を孕んでいて、僕に欲情しているのを感じ、泣きたくなる。だってぼくは身代わりなんだ。田丸が僕の事を好きになってくれることはない。

こいつだって、いつまでも失恋した相手を想っているわけじゃない。食堂で『気になる子』について熱く語っていたと聞いた。なんでも可愛いらしい。ちょっとツンツンしてるけど、デレる顏が堪らないのだとか。所謂、ツンデレ。一年前に失恋した子は可愛いけど、ツンツンはしてない。素直なデレだけ。僕には一ミリもデレる要素はない。僕はツンツンだけだろう。なので、ため息しか出ない。

そんなにはっきりお前じゃないんだよね的な発言はしないで欲しい。

……いや、田丸はそんなこと知らないだろうけど。





「今日で終わりね。もう、連絡しないでよね」
「えっ?」

終わってしまった。僕の大切な恋が終わりを告げる。

「ほら、さっさと帰ってよ。美都瑠が帰ってくるからさ」

同室者の美都瑠には散々心配かけた。何度止めろと言われたかわからない。

田丸との関係は寮の僕の部屋で続いていた。最初の頃、田丸の部屋でと言われたけど、誰かに二人の関係を知られるのは怖かった。

美都瑠には最初の強姦ーー僕にはそうでもなかったけどーーから知られている。セフレになったと言えば反対されたし、何を考えているのかと怒られた。でも、僕の決意の強さを知ってーー多分、僕の気持ちに気付いたのだろうーー美都瑠は優しいから敢えて言葉にはしなかったけれど、僕はその優しさに甘えた。

「えっ?どう言うこと?」
「そのままだよ。この関係を始める時に、僕が終わりって言えば終わりだって言ってたよね?」
「そ、そうだけど。待ってくれよ!俺の話…」
「ほらほら、早く帰って。僕には話すことはないから」
「待てって!」
「何だよ。田丸だってこんなことは、そろそろ本命とシタ方が良いって思ってるんだろ」
「そりゃ、そうさ。だから、…」
「!何だよ」

それ、凄く傷付くんだけど…。そうだよね。もしかして、僕ってお情けで抱かれてたのかな?もしかして、もしかして、僕って凄い欲求不満の塊で、淫乱で、誰でも良いから突っ込まれたいっ思ってるって、思われてる?でも、それが勘違いだろうとなかろうと、田丸には関係ないよね。

「岩佐は……、わかった。じゃあ、これからはクラスメイトととして…」
「残念…僕、B組なんだ」
「伊月…、そう言えば、随分テスト失敗してたな……!もしかして」

中学の時のように名前で呼ばれ、切なさが込み上げる。

「何だよ!僕の成績が落ちたのが自分のせいだなんて、そんな自惚れないでよね!そんなの、あるわけ無いじゃん。ちょっと体調悪かっただけだから」

先生に言った言い訳を繰り返す。別にこいつに言い訳なんかしなくても良いんだけど、同情も心配もされたく無い。
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