見つけてよ。

茉莉花 香乃

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「はぁ…朗、もっと…朗、ぁぁっ…んっ…」
「伊月…可愛い」
「ぁぁっ…そこ、やっ…はぁぁっ…奥…もっと…朗」
「伊月…好きだよ」




僕たちはどちらからともなくキスをした。
はじめてのキス。
僕にとっては正真正銘のファーストキス。




「ろ、朗…僕も、僕も好き、朗…あっ……ひゃん…んっ…キス、キスして?朗…ねっ?お願…」
「そんなの、お願いされなくても、いっぱいするから」
「嬉しぃ…」




顔中にキスをされた。
唇に、頬に、額に、目に、耳に、首筋に、鎖骨に…。朗は今までの分を取り戻すように僕の全身にキスをした。僕がお願いだから朗を頂戴と懇願するまでそれは続いた。

やっと、やっと、思うままに感情を出して良いんだと思うと、箍が外れた。




「伊月、凄く可愛かった」
「うぅっ…恥ずかしぃ…」

再び膝の上で、田丸に抱きついている。二人とも裸で、田丸の熱を感じ僕のも反応してしまいそうになる。

「服、着ようよ」
「もう少し…」
「でも…」

素肌に顔を寄せて、田丸の汗の匂いを鼻腔いっぱいに吸い込む。濡れタオルで拭いただけのお互いの身体からは、淫靡な雰囲気がたっぷり纏わり付いている。好きになるって、どんな匂いでも愛しいんだね。どんな田丸でも好きだ。だから、田丸の願いを叶えてあげたい。叶えてあげたいのだけど……恥ずかしさが込み上げる。

「寒い?」
「ううん、朗があったかいから……。ねえ、朗?今日で終わりじゃないんでしょ?」
「あ、当たり前だよ」
「じゃあ、いつでも……その…ね?」

抱き合っているのがいたたまれない。裸というのが更に羞恥を覚える。

今まではすることが終われば追い出して、一人で泣いたり、ため息ついたり…。とにかく、終わった後でこんなにまったりとした時間を送ることはなかった。

「いつでも伊月の事、抱けるってことだな」
「うん」
「でも、本当は伊月がこの腕の中にいるだけでいいんだ。身体だけが欲しいんじゃない」
「…っ…うっ…うん…うん」
「今まで、ごめんな」
「うん…」
「ありがと…」




「で?収まるところに収まったってこと?」
「うん」

美都瑠は、今、ちょっぴり不機嫌で、同時にちょっぴり機嫌が良い。そして、疲れている。

「だから、言ったじゃん!朗の好きな子はツンデレの可愛い子だって」
「いや、それ!僕の事じゃないよね?」
「何言ってるの?伊月の事でしょ?他に誰がいるっての?文世もそう思うでしょ?」

美都瑠の勢いに若干引きながらも森山はうんうんと頷いている。

今僕たちは五人で朗の部屋に集まっている。美都瑠と森山、朗と朗の同室者の中原、そして僕。森山に勉強を教えると言うと、二人きりになるのは許さないと言われたので、朗の部屋で三人で勉強することになった。美都瑠は、どうしても僕と田丸に文句を言いたいらしく、付いてきた。でも、セフレだったことを森山と中原には言えないので、きっと改めて『心配してたんだ』と怒られるだろう。甘んじてそのお叱りを受ける覚悟だ。

「そうか、田丸と岩佐は付き合い出したんだな」
「うん、中原くんにはちゃんと言っとかないとと思って」
「昨日は、安田の事は知ってたのか?」
「ああ、智親から聞いて探してた」
「じゃあ、その…安田の無事は知ってから…だったんだろうな?」

きっと、田丸の部屋で何をしていたかは知られている。そのことだろう。ううっ、恥ずかしい。

「うん。碧空がプラチナブロンドの子を勘解由小路さんとこに連れて行くの見たから。紺野先生があの子は安田くんだって教えてくれた」
「それなら、いい」
「えっ?」
「いや、クラスメイトが大変な時に…その、なんだ…いや、してはいけないと言っているわけでは…」
「あっ、うん。無事だってわかって、朗は安心してたよ!」

森山がびっくりした顔をしたから、必死に目配せして黙らせた。中原は安田が連れ去られたかもしれない時に、それを知っていたにも関わらず、探しもせず、心配もしないとはなんたること!と思っている。

花蓮かれんなんて女の子みたいな名前と、女の子みたいに可愛い顔だけど、中身は凄く男前。怒らせたら怖いと言うのはみんな知っている。
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