13 / 98
結婚相手が決まりました
03
しおりを挟む
☆★☆ ★☆★ ☆★☆
撫子のところに毎日のように文が来る。
保憲からの文が来なくなって数日、
『これで安心』
と思っていたのに、降るように求婚の文が来るのだ。
普通の姫ならば良縁で、後宮の女御さま方でも参内している彼らに競って声をかけて華やかさをアピールしたりする、将来有望な公達たちだ。
勿論姫に文のことは云わないが、最近また屋敷に来たばかりのように床に臥せっていると云うではないか。
あの人も身体が弱かったので仕方ないかと思うが、入内できるか心配である。
わたしに仕えている女房に毎日様子を見に行かせているが、どうもあまり良くないらしい。
わたしが行きたいところであるけれど、屋敷に移られて直ぐの頃に、毎日のご機嫌伺いで気を使わせてしまったのではないかと女房に云われて、やむなくの名代である。
「四の君のご機嫌は如何ですか?わたしも目通り願いたいものです」
息子の兼房が部屋へ入ってきた。
婚家で大切にされていると聞く。今は、頭の中将であるが、もっと出世をするだろう。わたしと同じであちこちの女には手を出していなくて、舅である内大臣は喜んでいた。
子供も姫が一人に息子も一人いる。これも内大臣は喜んでいた。
三条邸に思う女房でもいるのかと思ったこともあったけれど、以前女房が『兼房さまは女房には見向きもされないので、働き甲斐がありません。どちらかに思うお方がいらっしゃるかと思うとこんなに近くで仕えているわたくしは、悔しいです』とこぼしていたのを聞いたことがある。なんのために仕えているのかと思ったものだ。
「あまり、良くないようなんだ」
「そうですか。それは心配ですね」
兼房にはまだ、女御入内の話はしていなかった。
内大臣の三の君が弘徽殿の女御だ。撫子の入内の話はしておかなければならない。
「お前にはまだ云っていなかったけれど、実は、四の君はいずれ近いうちに女御の宣旨を受ける。今は、こちらに慣れるまで待ってもらっているのだけれどね。勿論本妻腹としての格式で後宮に上がられる。主上が珍しく姫に興味を持たれたんだ。嬉しいじゃないか、なあ兼房。お前も違う屋敷で育ったとは云え妹だから、後宮に上がられたら慣れない生活を支えてあげておくれ。弘徽殿の女御の事もあるからよく見てあげて欲しいんだ」
「…えっ?」
驚いて、言葉が続かないようだ。
そんなに驚く事だろうか?
撫子のところに毎日のように文が来る。
保憲からの文が来なくなって数日、
『これで安心』
と思っていたのに、降るように求婚の文が来るのだ。
普通の姫ならば良縁で、後宮の女御さま方でも参内している彼らに競って声をかけて華やかさをアピールしたりする、将来有望な公達たちだ。
勿論姫に文のことは云わないが、最近また屋敷に来たばかりのように床に臥せっていると云うではないか。
あの人も身体が弱かったので仕方ないかと思うが、入内できるか心配である。
わたしに仕えている女房に毎日様子を見に行かせているが、どうもあまり良くないらしい。
わたしが行きたいところであるけれど、屋敷に移られて直ぐの頃に、毎日のご機嫌伺いで気を使わせてしまったのではないかと女房に云われて、やむなくの名代である。
「四の君のご機嫌は如何ですか?わたしも目通り願いたいものです」
息子の兼房が部屋へ入ってきた。
婚家で大切にされていると聞く。今は、頭の中将であるが、もっと出世をするだろう。わたしと同じであちこちの女には手を出していなくて、舅である内大臣は喜んでいた。
子供も姫が一人に息子も一人いる。これも内大臣は喜んでいた。
三条邸に思う女房でもいるのかと思ったこともあったけれど、以前女房が『兼房さまは女房には見向きもされないので、働き甲斐がありません。どちらかに思うお方がいらっしゃるかと思うとこんなに近くで仕えているわたくしは、悔しいです』とこぼしていたのを聞いたことがある。なんのために仕えているのかと思ったものだ。
「あまり、良くないようなんだ」
「そうですか。それは心配ですね」
兼房にはまだ、女御入内の話はしていなかった。
内大臣の三の君が弘徽殿の女御だ。撫子の入内の話はしておかなければならない。
「お前にはまだ云っていなかったけれど、実は、四の君はいずれ近いうちに女御の宣旨を受ける。今は、こちらに慣れるまで待ってもらっているのだけれどね。勿論本妻腹としての格式で後宮に上がられる。主上が珍しく姫に興味を持たれたんだ。嬉しいじゃないか、なあ兼房。お前も違う屋敷で育ったとは云え妹だから、後宮に上がられたら慣れない生活を支えてあげておくれ。弘徽殿の女御の事もあるからよく見てあげて欲しいんだ」
「…えっ?」
驚いて、言葉が続かないようだ。
そんなに驚く事だろうか?
14
あなたにおすすめの小説
発情薬
寺蔵
BL
【完結!漫画もUPしてます】攻めの匂いをかぐだけで発情して動けなくなってしまう受けの話です。
製薬会社で開発された、通称『発情薬』。
業務として治験に選ばれ、投薬を受けた新人社員が、先輩の匂いをかぐだけで発情して動けなくなったりします。
社会人。腹黒30歳×寂しがりわんこ系23歳。
特等席は、もういらない
香野ジャスミン
BL
好きな人の横で笑うことができる。
恋心を抱いたまま、隣に入れる特等席。
誰もがその場所を羨んでいた。
時期外れの転校生で事態は変わる。
※エブリスタ、ムーンライトノベルズでも同時公開してます
僕の居場所も、彼の気持ちも...。
距離を置くことになってしまった主人公に近付いてきたのは...。
転生エルフの天才エンジニア、静かに暮らしたいのに騎士団長に捕まる〜俺の鉄壁理論は彼の溺愛パッチでバグだらけです〜
たら昆布
BL
転生したらエルフだった社畜エンジニアがのんびり森で暮らす話
騎士団長とのじれったい不器用BL
人気作家は売り専男子を抱き枕として独占したい
白妙スイ@1/9新刊発売
BL
八架 深都は好奇心から売り専のバイトをしている大学生。
ある日、不眠症の小説家・秋木 晴士から指名が入る。
秋木の家で深都はもこもこの部屋着を着せられて、抱きもせず添い寝させられる。
戸惑った深都だったが、秋木は気に入ったと何度も指名してくるようになって……。
●八架 深都(はちか みと)
20歳、大学2年生
好奇心旺盛な性格
●秋木 晴士(あきぎ せいじ)
26歳、小説家
重度の不眠症らしいが……?
※性的描写が含まれます
完結いたしました!
王子殿下が恋した人は誰ですか
月齢
BL
イルギアス王国のリーリウス王子は、老若男女を虜にする無敵のイケメン。誰もが彼に夢中になるが、自由気ままな情事を楽しむ彼は、結婚適齢期に至るも本気で恋をしたことがなかった。
――仮装舞踏会の夜、運命の出会いをするまでは。
「私の結婚相手は、彼しかいない」
一夜の情事ののち消えたその人を、リーリウスは捜す。
仮面を付けていたから顔もわからず、手がかりは「抱けばわかる、それのみ」というトンデモ案件だが、親友たちに協力を頼むと(一部強制すると)、優秀な心の友たちは候補者を五人に絞り込んでくれた。そこにリーリウスが求める人はいるのだろうか。
「当たりが出るまで、抱いてみる」
優雅な笑顔でとんでもないことをヤらかす王子の、彼なりに真剣な花嫁さがし。
※性モラルのゆるい世界観。主人公は複数人とあれこれヤりますので、苦手な方はご遠慮ください。何でもありの大人の童話とご理解いただける方向け。
【短編】抱けない騎士と抱かれたい男娼
cyan
BL
戦地で奮闘する騎士のキースは疲れ果てていた。仲間に連れられて行った戦場の娼館で男娼であるテオに優しい言葉をかけられて好きになってしまったが、テオの特別になりたいと思えば思うほどテオのことを抱けなくなる。
純愛とちょっとのユーモアでほのぼのと読んでほしい。
[BL]憧れだった初恋相手と偶然再会したら、速攻で抱かれてしまった
ざびえる
BL
エリートリーマン×平凡リーマン
モデル事務所で
メンズモデルのマネージャーをしている牧野 亮(まきの りょう) 25才
中学時代の初恋相手
高瀬 優璃 (たかせ ゆうり)が
突然現れ、再会した初日に強引に抱かれてしまう。
昔、優璃に嫌われていたとばかり思っていた亮は優璃の本当の気持ちに気付いていき…
夏にピッタリな青春ラブストーリー💕
産卵おじさんと大食いおじさんのなんでもない日常
丸井まー(旧:まー)
BL
余剰な魔力を卵として毎朝産むおじさんと大食らいのおじさんの二人のなんでもない日常。
飄々とした魔導具技師✕厳つい警邏学校の教官。
※ムーンライトノベルズさんでも公開しております。全15話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる