撫子の華が咲く

茉莉花 香乃

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番外編ー参 藤壺の女御の疑問

07

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帝の着物に手をかけて脱がそうとしているのに、帝の唇と手はわたしの裸の身体をあちこち刺激していく。

「あん…主上…待って…」
「だめ、待てないよ」
と云いながらご自分で脱がれる。

いつもなら、『わたくしが…』と云うのだけれど、今日はわたしも早く帝と一つになりたくて、されるがまま任せてしまう。

「主上早く…」
「ああ、分かっているよ」

いつの間にか帝の手には陶器の小瓶があって中身を出して自分の手で温めて下さる。
秘部に触れるとそれでも少し冷たくて、「あっ」と声が出てしまった。

「大丈夫だよ。直ぐ良くなる」

何度経験してもまだ慣れない帝を受け入れる為の『解す』行為は恥かしい。それでも途中から帝の手がどこにあるのかさえ分からなくなる時があって、喘ぎ声を上げ、しがみつくのがやっとだ。

その時、今まで口付けていた唇から離れて帝の顔がわたしの胸の辺りまで下りていった。
途中できつく吸ったり、ベロペロと舌先で転がすように舐められると一層大きく声が出て、手で口を塞ぎたくなる。

ぼんやり見ていると、わたしの屹立を掴んで擦り始めた。

「やっ…主上、あっ…ずるい。わたしも…」

帝をもっと感じたい。
帝にもっとよくなってもらいたい。

「触ってくれるの?」
「…はい」

そっと帝の屹立に触れる。

すでに形を成しているそこはわたしの身体を触っていて感じてくれていたのがわかり喜びを感じる。

喜びが後から後から溢れ、心と身体を満たした後身体から溢れ出る。
そして、帝の香りで閉じ込められ甘くわたしを縛る。

そう云えば帝の屹立に初めて自ら触れたのは、初めて七日を開けた時だ。

それまでは恥ずかしさに帝に促されてしか触れることは出来なかったけれど、ようやく訪れたその時間が甘味なものになって自分から触れた。

帝にこうして抱かれるまで、わたしには誰ともそのような経験がなかった。女を抱くことも、男を抱く…いや、抱かれることも。

全て初めての行為はどれが正解かわからない。
女房の右近や弁の君があれこれ教えてくれるけれど、途中で耳を塞ぎたくなる。

「…はっ…んっ、主上、い、良いですか?気持ちい?」

わからなければどうして欲しいか聞けば良いと二人は云っていた。

「ああ、良いよ…」

帝の上擦った声は色気があり更に愛おしさが増していく。
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