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番外編ー伍 それぞれの未来 《麗景殿の女御編》
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☆★☆ ★☆★ ☆★☆
後宮に出仕してようやく落ち着いて、今の生活にも慣れたころ醜聞があった。
それは秘密裏に処理され、後宮でもその話は大きな声では、いや、小さな声でも口に出すのも憚られるものだった。
多くの女房には知らされなかったけれど、知っている女房でも噂好きのその口から、その事が漏れることはなかった。
新年の行事は元日の寅の刻、清涼殿の東庭で行われる儀式《四方拝》に始まり、辰の刻から太極殿で群臣からの賀を受けられる儀式《朝賀》、午後からは紫宸殿にて元日節会へと続く。
帝のお召しがあり節会の宴に伺候した。中宮が亡くなられてから女御の伺候はなかったので、父上が喜んで新しい衣装を用意したりと年末から慌ただしく日々は過ぎていった。
新年の行事が滞りなく終わり、桜の華が綺麗に咲き乱れる中で今年はここ、飛香舎で宴が催された。
その桜は父上が用意して下さり、大きな壺に咲き誇る桜が秀麗であった。
ある日父上がいつもと違い不機嫌な顔で飛香舎にいらっしゃった。
「如何されたのですか?」
「いや、本当は女御さまにわずらわしいことをお聞かせしたくはなかったのですが…六条大納言が煩くてね」
「はい…」
「麗景殿さまの話相手になって欲しいと…」
「えっ?」
…いやいや、それはできない。
嫌いと云う訳ではないけれど、あちらの方がわたしに数々の嫌味を向けてこられるのだから、話すことは無いのではないだろうか。
「女御さま、歌合など如何ですか?」
わたしの困惑を推し量って、衛門が提案をしてくれるけれど…、
「そうですね…お話をしたことのない方の相談なんてねえ…ところで、父上、何の相談なのでしょう?」
「……それが、わからないのです。なんだか気分が優れないと、床に伏してばかりでいらっしゃるそうです。父である六条大納言にも会いたくないと仰って、困っていると…」
帝に会いたいのではないのだろうか?
近頃は、昼に麗景殿に渡られていると聞いたことはない。夜も女御がお渡りにはなられていないと聞いている。
大納言もきっと帝に会わせたいと思っているのではないだろうか?
衛門を見ると頷いてくれた。
「お殿さま、麗景殿の女御さまは主上にお会いになりたいと思ってらっしゃるのではないのですか?大納言さまも主上に会わせたいと…」
「それが麗景殿さまは主上には会いたくないと仰るから六条大納言が困っているらしいのだ」
そんな話を父上としたけれど、わたしには到底麗景殿の女御がわたしと話したいと思われているとは思えなくて困ってしまった。
衛門が、麗景殿に仕えている女房と連絡を取ってくれることになり、取り敢えず父上も衛門に任せると仰った。
普段なら六条大納言の事を嫌っておられるのにほとほと困り顔を見かねたらしい。
父上に相談されて幾日か過ぎたころ、夜に異変があった。
何やらざわざわと騒がしい。
宿直の者の大きな声に桔梗が直ぐにわたしの側まで来てくれた。
日向は何があったのか見に行ってくれている。
戻って来た日向の話は麗景殿に仕えている女房が猫に驚いて騒いでしまった、と云うものだった。
『三条』ではないだろう。
子猫に驚くことはないだろうし、梨壺で大切にされている。
帝からの使いで女蔵人が来て、『危険なことはないので安心するように』と伝えてくれた。
後宮に出仕してようやく落ち着いて、今の生活にも慣れたころ醜聞があった。
それは秘密裏に処理され、後宮でもその話は大きな声では、いや、小さな声でも口に出すのも憚られるものだった。
多くの女房には知らされなかったけれど、知っている女房でも噂好きのその口から、その事が漏れることはなかった。
新年の行事は元日の寅の刻、清涼殿の東庭で行われる儀式《四方拝》に始まり、辰の刻から太極殿で群臣からの賀を受けられる儀式《朝賀》、午後からは紫宸殿にて元日節会へと続く。
帝のお召しがあり節会の宴に伺候した。中宮が亡くなられてから女御の伺候はなかったので、父上が喜んで新しい衣装を用意したりと年末から慌ただしく日々は過ぎていった。
新年の行事が滞りなく終わり、桜の華が綺麗に咲き乱れる中で今年はここ、飛香舎で宴が催された。
その桜は父上が用意して下さり、大きな壺に咲き誇る桜が秀麗であった。
ある日父上がいつもと違い不機嫌な顔で飛香舎にいらっしゃった。
「如何されたのですか?」
「いや、本当は女御さまにわずらわしいことをお聞かせしたくはなかったのですが…六条大納言が煩くてね」
「はい…」
「麗景殿さまの話相手になって欲しいと…」
「えっ?」
…いやいや、それはできない。
嫌いと云う訳ではないけれど、あちらの方がわたしに数々の嫌味を向けてこられるのだから、話すことは無いのではないだろうか。
「女御さま、歌合など如何ですか?」
わたしの困惑を推し量って、衛門が提案をしてくれるけれど…、
「そうですね…お話をしたことのない方の相談なんてねえ…ところで、父上、何の相談なのでしょう?」
「……それが、わからないのです。なんだか気分が優れないと、床に伏してばかりでいらっしゃるそうです。父である六条大納言にも会いたくないと仰って、困っていると…」
帝に会いたいのではないのだろうか?
近頃は、昼に麗景殿に渡られていると聞いたことはない。夜も女御がお渡りにはなられていないと聞いている。
大納言もきっと帝に会わせたいと思っているのではないだろうか?
衛門を見ると頷いてくれた。
「お殿さま、麗景殿の女御さまは主上にお会いになりたいと思ってらっしゃるのではないのですか?大納言さまも主上に会わせたいと…」
「それが麗景殿さまは主上には会いたくないと仰るから六条大納言が困っているらしいのだ」
そんな話を父上としたけれど、わたしには到底麗景殿の女御がわたしと話したいと思われているとは思えなくて困ってしまった。
衛門が、麗景殿に仕えている女房と連絡を取ってくれることになり、取り敢えず父上も衛門に任せると仰った。
普段なら六条大納言の事を嫌っておられるのにほとほと困り顔を見かねたらしい。
父上に相談されて幾日か過ぎたころ、夜に異変があった。
何やらざわざわと騒がしい。
宿直の者の大きな声に桔梗が直ぐにわたしの側まで来てくれた。
日向は何があったのか見に行ってくれている。
戻って来た日向の話は麗景殿に仕えている女房が猫に驚いて騒いでしまった、と云うものだった。
『三条』ではないだろう。
子猫に驚くことはないだろうし、梨壺で大切にされている。
帝からの使いで女蔵人が来て、『危険なことはないので安心するように』と伝えてくれた。
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